フィールド オブ パリーグ           -パ主義野球ブログ-

なが〜く愛してきたパ・リーグをゆる〜く語るブログ、フィルパリです。

【思い出】西武時代の土井正博コーチとサシでお喋りした話【選手思いの名伯楽】

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一昨日でしたか、土井正博さんと阪神の近本選手の対談のニュースがありましたね。
土井さん、美しく波打つ白髪とお髭が立派で、仙人か古典に出てくる老軍師の風格。
現役時代からガチッとした濃い顔立ちのハンサム。
引退後はドラマに出たほどですものね。
対談の内容も非常に熱意に溢れ、今も心に野球愛がたぎっている感じが伝わります。

www.sanspo.com

 

土井さんは2000本安打の名球会メンバー。
選手時代も凄い実績の持ち主ですが、打撃コーチとしても多くの強打者を育て上げた名伯楽です。

koken-publication.com

 

西武時代には、清原から浅村まで主軸はほぼ土井さんの指導で育った感じ。
みんなに慕われていましたねえ。
本当に選手思いの方ということを、スタは偶然実感できる機会を得たことがあります。

 

2012年9月6日のメットライフドーム、西武がソフトバンク相手に快勝した試合をぼっち観戦。
ちょっと急いで帰りたくて、所沢から全席指定の特急列車に乗りました。
その車両に乗客はスタともうお一人の2人だけ。
そのお一人が土井さんだったのです。
2011年に西武コーチに復帰なさって2年目の時ですね。

 

斜め後ろにお見かけし、「失礼ですが、、、」と思わず声掛けしてしまったのです。
「おめでとうございます!今日は良い試合でしたね!」と。
一度は着席しましたが、その時なぜか、土井さんが隣の席に呼んでくださいました。
快勝でご機嫌が良かったのかな。

 

30分足らずの間の他愛もない話。
通り道の車窓から見る景色に、その近くに子供の頃は住んでいたとスタが言ったら、ああ、そこら辺は昔は球場に行くのに毎日車で通ってた、なんて土井さんも懐かしそう。
幹線道路の脇に大きな浄水場があるのです。
その辺りは、土井さんが現役の頃からでもあまり景色が変わっていません。
同じ光景知ってらっしゃるんだなあと思って親しみが増しました。

 

やがてチームの話題にもなり、ふと土井さんが選手の名を挙げられます。

 

「秋山には頑張ってほしくてね」
「ものすごく努力家ですよ、あいつは」
「僕と同じ母子家庭だからね、母子家庭の人間の気持ちは強いからね」

 

高校中退してプロ入りし、2000本安打まで達成した苦労人の土井さん。
同じように子供の頃にお父さんを亡くした秋山をなんとしても一流選手に育てたい思いが、穏やかな口調の中にも滲み出ていました。
2012年といえば秋山はまだ1軍にようやく定着し、売り出し始めた頃。
前年低打率だったものの土井さんが手塩に掛け、それが開花し始めた頃ですね。

 

ほんの二言三言の言葉で、選手を思う気持ちの強さと温かさが伝わってきました。
教え子たちみんなが、お父さんのように土井さんを慕うのがなぜかわかったように思いました。

 

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先に降車するスタがサインと写真のお許しを伺うと、快く受けてくださった土井さん。
1ヶ月後、西武は惜しくも2位となり、土井さんの退任も発表となります。
単身赴任のことも少し漏らしてらしたので、最初から決まっていたのかもしれません。
それでも、わずか2年間で土井さんが与えた秋山や浅村への影響の大きさは明白です。

gendai.ismedia.jp

 

冒頭の紹介記事の土井さんの姿を見て、きっと野球への情熱は最後まで枯れることは無いのだろうとホッとしました。
そして、今土井さんからアドバイスを貰えたり、褒めて貰えるチャンスがあった選手は、その機会を宝物にしてほしいな、と願っています。

 

いつまでもお元気で、その風格と熱いコメントを見せ続けていただきたい土井さんです。