2014年10月2日のソフトバンク対オリックス戦は、パ・リーグで10.19と並んで忘れられぬ日です。ペナントレース最終試合の直接対決で決まる優勝。あまりに厳しくて、スタはこの試合を見る勇気がなかった。本当に久しぶりに上位に食らいついていたオリックスに勝ってほしかったけど、心の奥底ではやっぱりソフトバンクだろうな、という気持ちがどこかにあって、その通りなるのを見るのが辛かったのです。
でも、家にいると見たくなる。現実逃避にメットライフドーム(当時は西武ドーム)で西武の最終戦、日本ハムとの試合を観戦しに出かけました。この試合も中々盛り上がりました。西武が7点取られてすぐ7点取り返す。引退表明した稲葉が打席に立つと、西武ファンまで稲葉ジャンプをして盛り上がる。結局西武が勝利しました。
後は最終戦セレモニーです。せっかく来たのだから、それも全部見てから帰ろう。そう思った時に予想外のことが起きました。セレモニー準備の待ち時間、バックスクリーンでソフトバンク対オリックスの中継が始まったのです。見ないつもりだった試合を、もう見ずにはいられませんでした。これを見届けないでどうする、と言っている神様の声が聞こえるようでした。
ちょうどあのソフトバンクの攻撃の場面から始まりました。球場内の西武ファンも日ハムファンもシーンとなり、固唾を飲んで画面を見守ります。サヨナラ打が抜けていった時、歓声もどよめきもなく、「ああ……」という溜め息が場内に満ちていきました。崩れ落ちるオリックスの選手達は、横長の大画面の中で、すぐそこにいるようです。嗚咽が聞こえてくるような気がしました。ただただ、かわいそうで、肩を抱いてあげたくて。でも、ソフトバンクの選手や秋山監督の涙を見ると、本当にこちらもしんどかったことだろうと思い、おめでとうという気持ちが素直に湧き上がるのです。すごく心が乱れたので、家で一人でなくて良かったと思いました。同時に、辛い場面だったけど、見られて良かったと思いました。
あの後、また低迷が始まってしまったオリックス。でも、今年はあの時よりもたくましい。みんなそう思っているはずです。スタも春先は、期待しながら優勝までは口にできなかったけど、今年の力はフロックではないと感じる。他のパ・リーグチームのファンも「オリックスなら悔しいけど喜べる」と思っている人が多いでしょう。
どうぞこのまま、頑張れオリックス!