フィールド オブ パリーグ           -パ主義野球ブログ-

なが〜く愛してきたパ・リーグをゆる〜く語るブログ、フィルパリです。

【エースの風格】佐々木ロウキ、『国民のおとうと』から巣立つ【成長記録】

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昨日、オリックスとの首位攻防戦を制したロッテに、51年ぶりのマジックが点灯しました。「この試合に勝てば点灯」を逃し続け、数えきれなくなっていた(笑、、、笑えない)。3連戦初戦の先発・小島の涙に奮起した打線が連日爆発。最後の直接対決で念願を叶えました。


野手も素晴らしかったけれど、この記念日的勝利の輝きが増すのは、見事なピッチングで相手を押さえ込んだ先発投手が佐々木朗希だったこと。本人の口からは、緊張で前夜金縛りにあった、という衝撃の告白(これは笑)。でも、投球にはおくびにも出さなかった辺り、やはり只者ではありません。

 

中継を見ていましたが、さすがに試合開始時はベンチの前で顔が強張っていた。けれど、初回の味方の先取点で表情に余裕が出ます。マウンドに立ってからは、最初からサインに首を振るなど落ち着き払い、ヒットや四球にも動じることなく自由自在な投球でした。いや、本当に華がある! 立派にエースの風格が漂う。

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全くもって彼は、初めての球場だの緊張する場面だのというシチュエーションに揺らがない。舞い上がることなく、練習してきたことを繰り返し再現できる。これはスポーツ選手として大変な美点です。昨日の最初にサインに首を振っていたのも、相手打者を考えての駆け引きというより、自分がまだちょっと落ち着いていないから、慣れるためにこう投げたい、というプラクティスとしての意思表示に感じられました。


成長記録を思い返してみます。ロウキについて最初に書いたのは3月のこと。彼が初めて観衆の前で投げたオープン戦の記事でした。1年間黙々と体力トレーニングをしてきた彼が、晴ればれとした表情でデビューを飾る様子に、良い大人の目もつい潤んだものです。投球もただただ一生懸命という感じだから、見ている方は1球ごとに息を詰め、1アウトだけでふぅーっと安堵する。解説者や記者の反応も、皆そんな感じ。見守らずにいられない。だから、最初の記事で彼を「国民のおとうと」って呼びました。

 

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そして5月、この「おとうと」はとうとう1軍公式戦でもデビューします。本人は落ち着いているのに周りはドタバタ、のスラップスティック試合でした。まだ足元おぼつかぬ産まれたての仔鹿のようでも、台風の目になってしまうスターの素質がキラキラしてました。交流戦では、お兄ちゃん選手たちに守られながら初勝利を挙げました。

 

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その後は、他の話題の多さとスタの筆力の無さも相まって、ピックアップ記事は書けずにいました。1本だけ他の選手と一緒に取り上げた記事は、もう初々しさに注目する記事ではなく、技術の方で書いています。フォークボールを投げる手指が美しい。

 

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後半戦に入ってからは、ぐんぐん大人のピッチャーになっていったロウキ。雨中の試合で乱れ、敗戦投手となった7月9日の日本ハム戦では投球もまだまだ粗く、動揺が顔に出てもいました。あれ?と変化を感じたのは、ジョーンズにホームランを打たれた8月15日のオリックス戦です。これも雨中の投球でした。

 

ジョーンズに打たれた回までは、ボールを投げる瞬間に胴体が止まって、的(キャッチャーミット)から外れないように加減しながらの投球。ジョーンズには、甘く内に入った球を打った瞬間の豪快ホームランにされました。それが、次の回の投球では踏み込み足を蹴り込み、胴体に前への推進力が出てから腕を振っているように見えたのです。この後は少しずつ腕の振りに勢いが増し、球にキレが出るようになりました。

 

そして、8月28日の楽天戦では、首まで使って思い切り腕を振るロウキがいました。この日は四球や暴投もあったのですが、7月の時とは違い、困惑顔は全く出ずに集中した表情が続きます。荒れていたけど1失点で勝利投手。「強気に投げる」という感覚を掴んだような気配がありました。

 

以後、試行錯誤は続いているでしょうが、ピッチングはさらに安定。直近は無双状態です。そんな風に飛躍するきっかけは、夏の間のこの3試合辺りじゃなかったのかなあ、と思っています。わかりにくいですが、3試合のハイライト動画貼りますね。

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そして昨日の、チームに歴史的勝利をもたらす頼もしいピッチング! エースのオーラが満ちていました。頼もしくて、もはやハラハラ見守りたい「おとうと」のキャラではない。もちろん、実質的な本格稼働は始まったばかり。まだまだ試練はこれからでしょう。でも、相手からしたら顔も見たくない絶対エース、憎たらしいほど強いラスボスキャラに、もうすぐなってしまいそう。

 

つい半年ちょっと前までは、あんなにひ弱そうなだったのに、、、。仔鹿の自立は驚くほど早い。みんなに見守られる『国民のおとうと』のポジションからあっという間に巣立ったロウキを、眩しく眺めたスタでした。