10月21日、東京は曇り空。天気と同じような、少々沈んだ気持ちで乗った大阪に向かう新幹線。今年のオリックスのホーム最終戦(対西武)を見届けようとチケットを買ってあったのですが、前日夜からすっかり気持ちが塞いでしまっていました。
というのも、前夜はオリが負け、しかもそれが、あとひと息のところで希望の梯子を外されるような負け方だったからです。ケガ仲間としてすっかり推し選手になったトライ(伏見)がヒーローを掴み損ねた、というのも失望度マシマシ。その前のホーム連敗のように、翌日の先発投手・宮城の投球にまで尾を引きそうな展開で、「ああ、大阪まで行って、球場中が落胆に包まれるゲームを見ちゃうのかもなあ、、、」と、心はすっかりペシミスト。窓の外の防音壁まで、行く末を暗示するかのように視界を塞ぎます。
クヨクヨと考えるのは、落胆旅となる展開ばかり。またまた負けられないプレッシャーがかかった宮城君が、初回早々から打たれて大量点。あとは試合が終わるまでひたすら凡打の山を見続ける、、、。あるいは、前夜と同じくかろうじて1点か2点リードして、なんとかかんとか継投で凌ぐも、9回2死から平野が逆転を許し、裏も追いつけずに終了する、、、。シーンとなったお客さんの前で、仕方なく開催される最終戦のご挨拶、、、。はぁ、やれやれ、、、。
しかし、野球の結果のがっかりなんて、そんなに引きずれるものじゃないですね。コーヒーを飲みながら、神奈川が過ぎ、静岡が過ぎ、名古屋が過ぎするうちに、少しずつ野球を見に行くワクワクな気持ちが湧いてくる。次々に今日の試合がやってくる。それがプロ野球の良いところ。窓の外でもそのうちに、雲の切れ間から光が射してきました。
ちょっと残念なゲームがあったからといって、スタが鬱々するって意味がないすね。ずーっと応援してきたファンや選手に近い人たちは、もっと口惜しかったり残念だったりしているはず。今年のオリの躍動に、こちらは楽しませてもらってる方がはるかに多かったのだから、そのことを感謝。もう試合も本当に残り少なくなってしまったことを惜しみながら、最後の観戦を味わわないと。後は、選手が精一杯やれたという気持ちになれるゲームになりますようにと、それだけを神様にお祈りしておくか。
ホテルから京セラドームに向かう頃には、すっかりいつもの観戦気分。宮城は今回も立ち上がりふらふらだったものの、前回登板とは違い、途中から立ち直りを見せます。やはりこの辺りがただ者ではない。スタの方も最初のうちは「あ、危なっかしい、、、が、頑張れ〜、、、」なんて冷や汗モードだったんですが、だんだん開き直っちゃいましてね。「もう、プレッシャーとか調子悪いとか言ってる場合じゃないんじゃ!しっかりせい!」と、ゲキ飛ばしてる感じ。もちろん心の中ですが。
背後の席では、野球をやっているらしいオリファンの男性が、お仲間の男性に1球ごとの配球を説明している。ピンチの度に言葉数が多くなる。おしゃべりで緊張を緩めようとしているんだろーなあ。ハラハラして、とてもじゃないけどじっと見てられないのだろーな。気持ちはわかる(笑)。
結果はご存知の通り、3対2でオリックスの勝利。相手のエラーで得点し、しょっぱいと言えばしょっぱい試合。それでも、宮城君が二度目のプレッシャーを乗り越えたこと、打線も投手も幸運の尻尾をつかんで離さなかったこと、希望を自分たちの力で明日につないだという明るい雰囲気が、球場内に溢れていました。
※ゲームセットの瞬間の宮城があまりに可愛いかったので、一般の方のツイートですが記録で貼ります。
おりほーーーー!!
— まっ🐮♡ (@38_tomtom_33) 2021年10月21日
寅威さんと宮城くんのハグに号泣。
2人で乗り越えられて良かった(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)#伏見寅威 #宮城大弥 #松井雅人 #ジョーンズ #オリベンチ pic.twitter.com/rujT1vJbgS
宮城くんをかけたとらいさん vs Tさんの対決は、とらいさんの勝ちです✊🏻🌟
— 🌟 (@13_mystar) 2021年10月21日
ぴょんぴょん可愛すぎる😭💖#宮城大弥 くん #伏見寅威 選手 #T岡田 選手#太田椋 選手 #Bs2021 #全員で勝つ pic.twitter.com/vye7mVvIH1
ご挨拶はサプライズ登場の吉田正尚で、ファンの喜びも最高潮。正尚の方も意外や意外、朗らかな声でユーモアたっぷりな謝辞を披露し、ファンも思わず笑い声。まだ試合を残しているのであっさりと、しかし、温かく和やかにホーム最終戦は終わりました。
こんな最終戦を今年迎えることができるなんて、誰が思っていただろう。こんな最終戦を、どれだけ長く選手やファンは待っていたのだろう。そう思うと、場内に溢れていた笑顔と明るい雰囲気がすごく得難いものに感じられます。
余韻を楽しみながら外に出たときは、「大阪まで来て良かったあ!」と伸び伸び深呼吸していました。朝の鬱々はなんだったんだ。現金なものです。翌日は、あべのハルカスに行ってオリックス応援セールをそぞろ歩きしたり、プリンめぐりでプリンを食べたり(動物園前のタマイチさんのプリン、ナチュラルでつるりんとして極上です!)。去年から始まった大阪行きの中でも、指折り楽しい観戦旅行となりました。
オリックスのチームの方は、その後のシーズン最終戦も見事な勝利で終え、後は天命を待ちます。最後の2試合は、全ての後悔を「次のステージへの糧だ」と割り切ることができる、そんな戦いをしたと思います。最後の結果がどうあろうと受け入れて、体勢を整えられるでしょう。
優勝を争う相手のロッテも、あと3戦、やり尽くしたと言える試合をしてほしい。本当に今年も、最後の最後まで楽しませてもらってる。ありがたいことです。とりあえずはあと数試合のシーズン大詰めのドラマを、ドキドキしながら見守りたいと思います。