フィールド オブ パリーグ           -パ主義野球ブログ-

なが〜く愛してきたパ・リーグをゆる〜く語るブログ、フィルパリです。

【CS開幕】心に刻まれ続ける不条理の魅惑【故に生まれたパの名場面】

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いよいよCS(クライマックスシリーズ)が始まります。ワクワクします。
興行上の利はわかっていてもどこか納得できない、と、未だ反対の人も多いCS。
不覚の敗北に涙する方はいたたまれない。
シーズン勝利者の苦労の価値が下げられるようで理不尽だ。
そういう声はきっと消えることはないでしょう。

 

でも、スタは好きですねえ、CSが。
その不条理が生むドラマを、心の底から愛しています。

 

2004年、CSの前身のプレーオフが始まった時は、さすがに懐疑的でした。
不公平とかそういう正義感ではなく、懸念したのは興業としての魅力。

 

「えー?プレーオフ?、、、あの前・後期制の時の二の舞じゃないの?」
ほんの一瞬だけあったパの前・後期制時代。各期それぞれの優勝チームの決戦は、後期優勝チームが圧倒的に有利になることがわかって、あっという間に廃れました。
まーた、しょうもない制度になっちゃうんじゃない?と、心配のタネはそこでした。

 

ところが新しい制度の第1ステージは、始まった途端、嵐みたいな試合です。
一瞬にして、虜。
忘れられないなあ。日本ハムvs西武の、ストリートファイトの様な殴り合い。

www.seibulions.jp

 

シーズンでは1位にも2位にもかなりの差を付けられていたハムが、予想以上の反発力や粘りを見せて、短期決戦の魔力をいやというほど見せつけられてしまった。
「この闘いは、これから凄いことになっていく」って直感しました。

 

第1ステージは3戦とも手に汗握る試合。そして、第2ステージでは、すぐにこの制度の不条理爆弾が炸裂しました。ほんの少しの差(それも球界再編騒動の煽りを受けて)でアドバンテージを取れなかったダイエーが、2位の西武に捲られたのです。
本当にホークスは、親会社がダイエーからソフトバンクに変わっても、制度がプレーオフからCSに変わっても、当初は憂き目を見続けて、この制度が性質として孕む不条理の象徴みたいな存在でした。

 

それでも、制度の落とし穴は絶対的なものではなく、死力を尽くせば回避ができる。
不条理のプレッシャーは嵐。戦うチームは巻き込まれる船。
ひと夜の嵐を乗り切って港に着くのか、波に飲まれて沈んでいくか。
スリリングですよ、たまらなく。

 

細部のルールを調整しながらでも、CSには、その不条理には続けるべき魅力がある。
スタはすぐにそう感じたし、今でもそう思い続けています。

 

パのプレーオフやCSには、思い出せば胸が詰まるシーンがいっぱいです。
崩れ落ちた和巳(斉藤)の涙、まだ若かった成瀬の涙、表の杉内・裏の涌井の涙。
勝者敗者混じっての野村監督や稲葉たちの胴上げ。
「サト〜‼︎」とベンチから叫ぶ福浦、T-岡田の逆転3ラン、大谷の二刀流、、、。
激闘とは違うけれど、すっかりトラウマを払拭した近年のソフトバンクの秋ブーストだって、名物化してハイになる。

 

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2010年のCSで配られたポスターです。引越しの度に端が破れるけど捨てられない。
見ただけでおおっ!てなりませんか?このメンバー。

行ったのは西武vsロッテの初戦です。
おかわり君の滞空時間の長いホームランを、フィールドシートから見上げました。
まるでふわふわと飛ぶ人工衛星のようでした。
4点離された9回表のロッテの攻撃。
満塁で里崎が打席に入った時の、ロッテファンの大歓声も忘れられない。

www.youtube.com



なぜこんなにも、パのCSは熱くなるのか。

 

それはパの歴史が背景にあり、CSが宿命を背負ったからだろう、と思います。
プレーオフ(CS前身)初開催は、パの存続を揺るがす再編騒動とストライキの直後。
あれは「パには生き残る価値がある!」と、世に知らしめなきゃならない闘いでした。
初戦からの大激闘を呼んだのは、究極の意地だったに違いありません。

 

さらに遡れば、不人気で集客に四苦八苦していた時代。
パは、少しでもお客さんを増やそうと、前・後期制やマンデーパ・リーグ、DH制、予告先発などの制度の改変にも取り組んできました。下地があるのです。
失敗したことも多いけれど、とにかくやれることは一生懸命やってみる。
そういう中で、予告先発はすっかり根付いて先発投手のプライドを育てることにひと役買い、その後のスーパーエース百花繚乱時代に結びついたと思います。

 

初の試みが簡単に行かないのは重々承知。
それでも、精一杯やればお客さんは喜んでくれるはず。
だから、決まった以上は必死に頑張る。
そういう覚悟が、パ・リーグのDNAとして脈々と受け継がれてきたのだと思う。

 

多少の不条理なんかに負けない反発精神と、目の前の試合に疑念を抱かず全力を尽くす闘争心がパ・リーグCSの魅力。今年も心置きなく堪能させてもらいましょう!