2021五輪侍JAPAN、個々の選手の活躍振り返り、野手編です。セ・リーグの選手については、初めて知った、という調子になってしまうところがありますが（実際そうだったりする）、ご容赦ください。
＜金メダル戦士振り返り：野手編＞
山田哲人（MVP）
絶対出たい、出場するためならなんでも頑張る！と、ファーストミットも自前で作ってた山田。無欲でおっとりしてた頃も可愛かったけど、出たい、勝ちたい！と、目の色変えてからの姿は本当にカッコ良かった。気持ちが乗り切った天才君は無敵ですね。初戦の進塁やホームタッチアウトの走塁を見て、どこか痛いのかなと心配したけれど、すぐに次の試合でガンガン走り始めて、心底負けん気が強いなあと感心しました。ここは俺が打ったる！って考えてる時には、背中からオーラが光ってる。でっかい村上君との超強気凸凹コンビも、まるでマンガの主人公達のよう。プレミア12の映画で配られたピンバッジ、哲人君が当たったんですよ。五輪映画でも当たるといいな。
坂本勇人（ベスト９）
オトナになりましたねえ。以前はクールなイメージで、まずは自分の仕事をしっかりやるのが役目だしっていう雰囲気だったけど、今回は周りまでちゃんと引率する雰囲気が伝わってきました。坂本は、それでも自由な匂いがあって、押さえつける厳格さを感じさせないのがいい（この世代共通な雰囲気ですね）。プレミア12の時は序盤大不振で苦しんだけど、打ち出したら凄かった。今回は、経験を生かして、しっかり最初から打てるよう仕上げましたね。そのあたりの調整能力が天才。流石でした。彼の打ち方、2018年の後半すごく変わった（体重移動とか）、って感じたんですけど気のせいですかね。あと、誰かの動画の中で彼が考えたJAPANスタメンが現実的で、周りをちゃんと観察してる子なんだと思いました。そしてフェアな見方をするな、とも。でっかい口で笑う顔が人懐こいけど、やっぱり根は相当クール。監督さんでも成績残しそう。
吉田正尚
安定した活躍でした。２ストライク取られてから真骨頂のバッティング。決勝戦の追加点が「これぞ！」って感じでした。低めを詰まりながらセンター前だったけど、フライやゴロにならないように、バットに乗せて運んで、狙って擦って詰まらせてた感じ。振り切らないとあそこまで飛ばない。派手なヒットじゃないけど、彼の技術とパワーならではの凄技でした。プレミア12の時はさほどじゃなかったけど、今回は見事に目立った。京セラでダンベルキーホルダー買ったスタは嬉しいです。部屋やロッカーがめちゃくちゃで、寮のエレベーターに全裸で乗り、一人行く先を間違えて別行動で移動し、チームメイトに規格外と呼ばれていたマサタカさん。この五輪はホテル詰めだったから伝説無いのかなあ。何か出て来ないかと、未だに期待しているスタです。
鈴木誠也
今回はバッティングに苦労した鈴木。でも、大活躍だったプレミア12に負けず劣らずの名４番だったとスタは思ってます。絶対彼も、運の流れを持って来てくれた。全員好調なんてありえないですもん。他の打者に配分される不調まで、彼が背負ってくれたと思う。それでも、全然暗くならなかったのが凄いですよ。青ざめたりやつれたり、みたいな悲壮感を全然出さなかった。そして、その状態でも少しずつ上向きになってるよという姿を見せていく。周りの選手も気を遣わずに応援できますよ。当初バットに当たらない所から、最後はちゃんと複数安打しましたもんね。プレミア12の映画で、いつも悪びれない顔でミーティングに遅れてたセーヤ君。愛される４番なんですよね。
浅村栄斗
チーム内での職人仕事、投では岩崎、打では浅村が担っていた感じがしました。インタビューなどでは相変わらず表に出ない。検索しても、まあエピソードが少ない少ない。でも、４番鈴木が不調の中で、雰囲気を重くしないで行けたのは浅村が頑張ったからですよね。かなり気持ちの負担はあったのでは、と思います。チャンスで凡打しても、その後できっちりチャンスメイクしたり、一日一善黙々と仕事するって感じでした。もっと表に出ればいいのにとも思うけど、気性ですもんね。今回のチームは周りがみんな明るいし、無理矢理表に押し出されたりしなかったから、あさむー的には居心地よかったんじゃないかな、と思っています。喜びコメントもあまり流れて来ないけど（笑）。
柳田悠岐
やっと、やーーーっと代表チームで試合ができましたねえ。代表の中心打者の器でありながら、呼ばれる度にケガに見舞われて辞退してきて。直前に脇腹を傷めたかも……というニュースで、「うわ、またか？」と正直覚悟しました。でも、何とか動けて本当に本当に良かった。本職センターの招集は彼一人っていう賭けを、神様が認めてくれたのかも。でも、実際万全じゃなかったんだろうと思うんですよ。最初はフルスイングしてたけど、後の方では少し猫背になってたし。珍しく緊張してる感じもしました。あんなに打席で硬い表情なギータも、なかなか見られない。でも、仲間への賛辞も喜びのコメントも、彼なら本音です。遠回りしてやっと出場できた代表の試合で金メダル。「めちゃくちゃ重い」という言葉が、ギータの気持ちの全てかなと思うのです。
菊池涼介
見る目があるんですね、菊池は。代表が集まった瞬間に、青柳をムードメーカーに指名した眼力が凄いですよ。プレミア12ではずっと秋山をいじり続けてたけど、確かに秋山はケガをした後までチームのムードに関わっていた。菊池、言葉や態度は結構軽いんですけどね（笑）。青柳にハッピーバースデーを歌わせたりして、心配りも細やかでした。今回、大会自体ではあまり活躍したとは言えません。でも、ポジションが山田と被る中、今シーズン前半は首位打者をずっとキープして、招集に文句をつけさせない活躍を見せていました。その準備を見せてくれるだけで、指揮官は頼りになると感じるでしょう。チーム稲葉の内野守備の中心は、ずっと彼だったと思いますよ。フォーメーションの要として、坂本を立てながらまとめて来たんだと思います。彼は、今回も、期待される仕事をちゃんとやってのけた。そう思います。
村上宗隆
いーですよね〜、村上君。キャラ最高。侍JAPANの金太郎。大好きです。また、８番という打順が良かった。もお、好きにやれ。振り回して来い。全打席三振でもかまわん。っていうね。それに応えて、チャンスが回ってきたら「俺が決めたる！」っていう貪欲な目つきをして振りますからねえ、この21歳は。太々しいけど鈍重ではない。見ていて飽きない選手ですね。若輩者の新参者だけど、精神的疲労とか緊張によるストレスとか気を回してやる必要がない。これって、周りにとっては本当に助かると思います。しかも、最後に一番目立つところをさらっていく技術と運を持ってる。頼もしいぞ、若者！
源田壮亮
試合運びのプランニングの中で、欠かせぬ役割を担った源田。代走では的確なスタートを切り、慣れぬ３塁守備も万全な動きでこなし、初対戦の相手にも警戒感を抱かせる選手だと証明しました。出番に物足りなさを感じたファンが多かったかもしれないけど、試合数少ない中で、これも巡り合わせ。何かひとつ違っていたら、WBCでの川崎ムネリンの神の右手走塁のようなことが起きたかもしれなかった。守備も、もったいないような気はするかもしれないけれど、個人の見せ場を優先してたらキリが無い。日本は三振取れる投手が多く、意外と内野ゴロ少なかったし。でも、同点スクイズでの甲斐との見事な連携は、源田の素晴らしさを見せつけましたよ。初戦だから忘れられがちだけど。菊池同様、今年絶対選ばれたいと、コロナにもめげずにバッティング頑張ったのは大したもの。まだ国際試合では非力感が否めないから、今後も打撃向上に努めて、代表ショートに名乗りを上げてほしいです。
近藤健介
頑張ってた。絶対頑張ってたんですよ、近藤も。代打でヒット打ったり、韓国戦のアンダースロー投手の変化球に真っ先に合わせてみせたりしてた。のに、「今回の勝因として、日本はミスが少なく……」という話が出る度、あの１回の試合が頭に浮かんじゃうんだろなあ。練習試合で目測誤ったのがあったし、何かミステリーゾーンにハマってたのかも。でも、川上が動画で言ってたように（ちょっと茶化しながらだけど）、誰か一人のせいで運命が暗転するようなジンクスや負のイメージを払拭する役目が、彼に回ってきただけだと思うんです。だって、あれだけ彼にヒヤヒヤシーンが集中したのに、その後は全部しのいで結局勝っちゃうなんて神がかりでしょう？ 今回は癒しタイプのコンちゃんが神様に選ばれた、間違いない！ とはいえ、今後は神様に目をつけられぬよう、チームでも「ビシッと隙がない」路線でやってってね〜（大将で大変なことになってるから😅）。
栗原陵矢
試合に出た１打席のたった１球で、忘れられない仕事をやってのけた栗原。 あのソフトバンクで掴んだポジションを離さなかった実力と根性を、代表チームでも見せてくれましたね〜。おまけに、参加できなかった先輩マッチ（松田）の日の丸鉢巻芸まで受け継いで披露してくれて。朗らかな笑顔で、凄い働きぶりでした。ファンは打たせてあげて欲しかったな、と思うでしょうが、練習で不調だったのかもしれない。今回のスタメンで、簡単に代打を出せるレベルの打者はいませんから、よほど練習で好調か実績が無いと代われない。外野守備も、変えた途端に難しい球が飛ぶことはよくあるので、緊急メンバーに中々リスクを負わせられない。これも巡り合わせ。むしろ、あのバントで彼の強運が際立った。次回の代表で常連になるよう、頑張って行ってほしいです。
