パ・リーグの新人王受賞者の今シーズンを振返ります。
今年現地観戦したオリ戦5戦の内、3戦が宮城先発で3勝。
プチご縁を感じております。
開幕当初、交流戦頃、五輪期間、後半戦、終盤戦。
そういえば、彼らはそれぞれ、どんな一年を過ごして来たのだっけ?
自分の記事も遡りながら、振り返りたいと思います。
宮城大弥(オリックス・投手)
最優秀新人賞(防御率・勝利数・勝率各2位)
総評
圧倒的な票数でパ・リーグ新人王となったオリックスの宮城大弥。
まだ高卒2年目で、開幕から日本シリーズまで投げ抜きました。
投手主要3部門では、他チームの名だたるエースを押さえて全て2位。
彼を上回ったのは、今年は神懸かりだった同僚エースだけ。
勝ち星では13勝4敗と、9つもの貯金を自チームにもたらしています。
オリックスの25年ぶりの優勝は、彼なくしてありえなかったでしょう。
申し分のない働きでした。
前半戦に見せた、強打者をきりきり舞いさせるキレッキレの緩急。
さらには、仲間のお兄ちゃんたちと丁々発止でやりとりできる頭の良さと愛嬌。
投球術とお茶ココ動画で一躍人気者になり、オールスターのファン投票先発投手部門で堂々の第1位。
※やはり今年の公式動画の白眉お茶ココは載せざるを得ない。
子供時代の苦労が入団時から話題になっていた宮城です。
一気にスターダムに上り詰めた活躍は、球界のシンデレラストーリー。
後半戦では壁にもぶち当たりましたが、一生懸命の努力と工夫で乗り越えました。
図太い投球とは裏腹に、意外に心細げな姿をみせるところも健気でしたね。
彼については書きたいことが山ほどあるのです(私情に流れるタイプ)。
一番最初に彼が目に留まったのは、去年の5月のオリックス紅白戦。
野球が無い時期にパテレで中継があって(見放題パックこういう時用におすすめ)。
で、ニュースではドラフト1位の宮城君が投げたとある。
高校野球見ない主義のスタですが、宮城君は知っていたんですね。
「ああ、ダルビッシュがベタ褒めしてた子か」と。
じゃあってことで見てみたら、まあ本当に素晴らしくってびっくりしたわけです。
何がびっくりって、マウンド捌きですよ。
なんかね、2ヶ月前まで高校生だった子の物腰態度じゃないんです。
登板していきなりヒット打たれたけど、落ち着き払ってる。
動揺した素振りもなく、「ふーん、これは打たれるんだ」みたいな顔してる。
その後の打ち取り方も堂々としたものでした。
ダルの言う投げ方の良さなどは詳しくわからないけれど、コントロールとかもめちゃしっかりしてる。
ハイライトだけじゃわからないですね。(見放題パックいいっすよ←しつこい)
びっくりし過ぎて、当時の会社で周りの野球好き同僚に言いまくりました。
「ダルが褒めてた宮城君がね、あの子すっごくいい! もう、今すぐ使える!」
、、、、まあ、すぐには使えなかったわけですが、、、、、、😅。
ファームの試合動画など見ると、球が上ずって打たれたりしていました。
1軍初登板は秋までかかりましたけど、勝利投手にもなりましたのでね。
すぐ使える、は当たらずと言えども遠からず(自分に都合よく考えるタイプ)。
紅白戦動画の実況で、プロ入り後に150Km超える球を投げられるようになった、という説明をされてました。
吸収が速いのでしょうね。
今年の振返りなのに去年の話が長い😅。
まあそんなわけで、今年もそこそこやりそう、とは思ってました。
3月に書いたブログの初期のオリ推し記事、ちゃんと彼も出しております。
でも、まさかここまで活躍するとは予想できなかったです。
そうそう。
紅白戦のダブルプレー後、ベンチ内で寅威(伏見)が宮城をニコニコ顔で迎え、2人で奥に下がっています。
あの頃から、投球へのアドバイスなどをしていたのかもしれませんね。
今年のみやとらバッテリーを思い出しつつあの頃の動画を見ると、また感慨深いです。
開幕当初
オープン戦から好調を維持して、開幕2戦目を任され勝利投手。
先制点を奪われ7回2失点でしたが、味方逆転後は相手に勝ち越しを許さずに粘りました。
今季初登板初勝利が自信につながったと、インタビューで語っています。
4月は軽い無援護で3登板で1勝(無敗)のみ。
それでも3試合ともハイクォリティスタートで防御率1点台と、見事な投球。
さすがに疲れたようで、最終週に体調不良で1度登板を飛ばしました。
ローテに戻ると快進撃が始まります。
5月は3勝0敗で、体調不良の影響か防御率はちょっと悪かった。
しかし、多少打たれても味方の援護が入るようになってきます。
戻った最初の西武戦を観戦して、ブルペン練習の宮城君を撮りました。
練習投球だけでも「こいつは只者じゃない」って感じでした。
「19歳にしてベテランの風格のピッチング」の凄み。
一部パ・リーグファンだけでなく、じわじわと世の人の口に上るようなってくる。
負けがつかないこともあり、ぼちぼちと記録の話題も出始めます。
縁起を担いで伸ばした長髪が、ブルーウェーブ時代のマスコットの「ネッピー君」を彷彿とさせました。
交流戦頃
6月、交流戦の最中に「なんだか凄い若手投手」は一気にブレークしていきます。
最初の方で、全国区人気球団の阪神・読売に投げたのが今思えば大きい。
阪神戦で今ひとつな投球で敗戦投手。
からの、翌週の読売戦ではあわやノーノーかという7回1安打ピッチング。
人気No.1チーム相手に名刺代わりの快投を見せた直後に、「事件」が起きます。
まだ、読売戦の余韻が残る2日後、衝撃の丸刈り変身動画公開。
TIKTOK風の短い動画だったのもインパクトが強かった。
阪神戦で負けた後、あれ?髪長いままかと思わせておいてのこれですから。
その後の宮城を見ていると、どうせ切るなら全国放送の読売戦で顔を印象づけてから、としっかり計算してても不思議ではない。
坊主頭がよく似合い、中学生のような可愛らしさで人気急上昇。
その後は「神様仏様宮城様」グッズをすぐさま発売。
7月頭ですが「お茶とココア」動画発信。
この神動画で人気爆発。
ここぞとばかりに畳みかけたオリックス広報、遣り手婆あ並みの剛腕だな。
宮城様グッズが発売されたオリ姫デーの6月27日も現地観戦したんです(自分誕プレ)。
人だかりでグッズは買わず、席が遠くて写真は小さく、多忙で記事も無しでした。
でも試合はオリが10得点する快勝で、宮城も得意の西武相手に5回無失点で勝利投手。
前週の仙台の楽天戦で8回投げていたし、点差もあって早めに降板させたのでしょう。
交流戦優勝のMVPは由伸(山本)でしたが、宮城の貢献も素晴らしい。
月間成績は、3勝1敗、防御率は驚異の 1.08 。
グラウンド外のあれこれで人気沸騰した6月は、成績も立派なもの。
7月は1勝のみで、少し防御率を悪くしました。
五輪期間
五輪期間はお休みでした。
そもそも、年初規定の候補に入っていなかったので選出される資格が無かった。
去年そこそこの投球とは言え今年は未知数枠でしたしね。
同じ新人の栗林や伊藤と違って不安定な10代ですし、無理はさせられません。
でもこの期間、きっとトレーニングだいぶやったんじゃないかな。
公式の練習動画を見ると、彼はランニングの量がただ事じゃないんですよ。
ダッシュなども、他の選手が往復で1本のところを宮城は2往復で1本にしてたり。
守備が上手なのも、そういう脚力・筋力があるからでしょうね。
後半戦
お休み期間の調整が効いたのか、8月はまた防御率が良くなります。
試合を壊さないので、負けがつかない。
由伸の15連勝が眩過ぎて目立ちませんが、この頃の宮城の11勝1敗も凄かった。
誕生日月直後の試合は勝ち負けつかずでしたが、いい内容。
二十歳になっても中坊みたいな愛嬌は健在です。
11勝したお祝いに、Tさんにおねだりしていたスニーカーを後でプレゼントされて嬉しそうでしたね。
終盤戦
9月、チームの優勝争いが本格的になってきます。
乗り切るための策のひとつとして、ローテーションが組み直されました。
それまで、開幕頃は山岡と、山岡離脱後からは山本と一緒のローテだった宮城も、裏ローテの頭を任されるようになります。
実はこれを見て、ちょっぴり不安になりました。
そのことをそれとなく記事に書いています。
エース級投手と同じローテならいい影響がたくさんありますよね。
山岡も山本も右投手なので、彼らの残像が残る後なら左の宮城は打ちにくくなる。
それに、彼らが1勝はしてくれる確率が高いので、かなり気が楽なはず。
そういう絶対的な投手と離れることが、宮城の気持ちに微妙に影響を与えるんじゃないかなって懸念しました。
ローテが変わった試合、負けはつかなかったものの初回から打ち込まれます。
自分がしっかりしないと後の2人の投手に影響が出る。
こちらのローテの勢いが落ちてしまう。
そんなプレッシャーを感じたのかどうかはわかりません。
けれども、やっぱりここから調子が落ちていきます。
ずっと頑張ってきた疲れも溜まっていたところです。
だからといって休み過ぎても、かえって感覚が掴めなかったりする。
体にもボールにもキレが無かったりして、ますます悩んじゃったんでしょうね。
これからの課題でしょうが、判定に苦しんだことも多かったです。
後に公式動画BPBで、ラオウ(杉本)が宮城について「チームを背負い過ぎてるよな」って言ってました。
子供の頃からご家族を背負っていたし、すごく責任感が強いのでしょう。
そして、気持ちは強いけれど周囲の気配にとても敏感で繊細。
10月頭に1度由伸とローテを組んでまず1勝。
しかし、再度裏ローテになった14日に、切羽詰まった気持ちのピークが来ます。
ロッテとのホーム首位争い。
引分け、黒星ときて後がない3戦目。
相手は高校時代に仲良しだった同級生で、後半無双している佐々木朗希。
宮城君、マウンドの立ち姿だけで「バクバクバク」という心臓の音が聞こえる。
ボールを受け取る仕草だけで「ギクシャクギクシャク」という体の音が聞こえる。
そんな感じ😅。
もうこれはどうにもならないんじゃないか?
こんな状態から立ち直れないだろう、、、、、。
と思われた時に助けてくれたのが、キャッチャーの寅威でした。
味方攻撃中に虚な表情でキャッチボールをしている宮城の肩を抱いてのひと言二言。
プロ野球では見たことがないような、衆人環視の中での励ましです。
これで落ち着けたのだ、と宮城は語っています。
9月のマーティンといい、チームメイトといい、宮城のストーリーには、若者を支えたいと願う優しいお兄ちゃんたちがたくさん登場しますね。
そして、周りの心遣いをキャッチして自分の心に反映できる宮城の素直さもいい。
負けたけれども開き直れたこの試合をきっかけに立ち直り、本拠地最終戦を勝利で締めました。
由伸に繋ぎ、優勝に大きく近づく貴重な勝利です。
でも「足震えるのやめてほしい、、、」って思うほど緊張してたんですね。
この試合も、ふと思い立って見に行きました。
いい年してめちゃめちゃ気持ちが浮き沈みしてました。
宮城の先発に当たることが多く、だんだん感情移入しちゃって、最後は完全に親戚のおばちゃんです(笑)。
いやはや、こうやって振り返っても彼の一年は波瀾万丈だった。
よくぞあれだけ投げ抜いたものです。
そして、よくぞあれだけ、チームに笑いや暖かな雰囲気を運んだものです。
今年のオリックスは楽しいチームでした。
その中でも特に宮城には、久しぶりに親戚気分の高揚を味わわせてもらいました。
みやとらバッテリーにもずいぶん感情移入できました。
もうね、年取ってくると情が干上がってきますから。
感情移入できるって大変に稀、非常に貴重(笑)。
オフになってもベニー(紅林)との中坊コンビで楽しませてくれている宮城。
ああ見えてしっかり者なんで、2年目ジンクスは無いと信じたい。
来年も、宮城に対してはツンな由伸と競い合って頑張って。
タイトル奪取期待しましょう!
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