フィールド オブ パリーグ           -パ主義野球ブログ-

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【2022パCS:総合振返り】紙一重の差= ”選手メンテナンス力” と ”甘えられる雰囲気” の差?【オリックスとソフトバンクの運】

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パ・リーグの対戦、CSにて全て終了。パ・リーグ史上でも指折りなデッドヒートになった最終盤で残ったオリックスとソフトバンク。CSが終わってからの感想は、

ああこの両者がやっぱり ”2強” だったな〜

リーグ戦の勝敗引分け数が全く同じでCSも、

もし引分けひとつ違ったらオリが2位?➡️オリが1stステージからスタートなら?➡️3位西武とは相性悪いから負けたかも?➡️もし勝ち抜けても投手ローテがキツい?➡️Finalステージは逆の結果に?

などなど考えると、オリックスがリーグ連覇して日本シリーズまで進んだ経緯は、まさにミラクル。両者本当に互角で、局面でほんの少しずつ有利になる強運をオリックスが持っていたのかな。

ただ、CSの戦いが終わった時、「オリックス強いなあ」という感想が増えていた。ミラクルが起こるポイントポイントで、オリックスの備えや対策がしっかり施されていたことが見えたから。紙一重の勝負所で運が微笑みかけてきたのは偶然ではない。ちゃんとふさわしい強さがあったんだな、と皆が感じたに違いない。

”強さ” のひとつを挙げてみると、例えば、作戦がよく当たる。後半戦はソフトバンクをターゲットにし、山本由伸を当てまくったりして5球団で唯一勝ち越し。山場の9月半ばには総力を挙げて3連勝。その結果、直接対決の勝ち数で優勝をもぎ取ったのは象徴的。そういえば後半戦は、ファームから上がって起用された選手が必ず活躍したり、中継ぎ投手の配置転換も大成功したり、打つ手がズバズバ当たっていたっけ。

そんな作戦が成功するのも、選手がたくましかったから。前半戦は、スランプありまくり、ケガ人出まくり、コロナ罹りまくりで、朗希に完全試合をくらうなどどん底。でも、選手たちの心は折れずにじわじわ調子を上げていき、勝負所の試合では失敗があってもビビることもなく、ぎりぎりのプレーを次々に決めていくことができていた。その強気な様子は、ソフトバンクの若手たちがジリジリと追い詰められて、表情が青ざめ強張っていった姿と対照的で、なおさら印象的だった。

オリックスの選手も去年はずいぶん切羽詰まった表情を見せたけど、今年は目が泳ぐ選手がいなかったな〜。去年を直接体験していない選手でさえ、神経の太さを感じさせることが多かったし。

さてさて、何が彼らをこう変えたのか?🤔。

もちろん、優勝体験で自信がついたというのが一番大きいことは間違いなし。でも、優勝の翌年ガタガタになるってよく見る光景で。突発的な優勝は勢いだけの場合も多く、自信なんて翌年ちょっと上手く回らなければ音を立てて崩れてしまったりする。気持ちと裏腹な現実につきあたっても自信を維持し続けるためには、自信を支える何かが必要。

その "何か” は、数字だったり猛練習だったりメンタルトレーニングだったり様々だけど、オリックスで大きかったのは、チーム内の ”選手メンテナンス力”"甘えられる雰囲気”  だったんじゃないかと思うのですね。この2点において、オリは断然他チームを引き離していたな、と感じちゃう。

選手メンテナンス力とはもう字面そのまま。選手のケア、調整、構成整備などなど。オリのこれ、すごかったすね。すっかり知れ渡った「中継ぎ投手は3連投なし」ももちろんそう。すごく慎重に選手を扱う。そして、ファームの修理力がめちゃめちゃ高かった。

誰かがファームに落ちても、しばらくするとほとんどの場合戻ってくる。しかも戻ってきた時には弱点を克服しているし、下手すると別人レベルでパワーアップしてくる。山﨑颯一郎がいい例で。「え?どうしたん?」「何食べさせたん?」。落ちる前を知っていると、目を白黒させてしまう。終盤スランプだった福田周平も、ファーム落ちから戻ってきたらV争いの試合で大活躍。オリのファームはF1チームばりの修復力。

そして、適性を見抜いて適所に配備するという首脳陣の選手構成力も際立ってた。バリエーション豊富にお試しを繰り返して、少しずつ配置を整えるという手法。最初は何度も失敗するしまどろっこしく見えるけど、選手が自信を失うことがないようにフォローしつつというやり方が、結局はピースをはめていくためには適切だったみたい。

甘えられる雰囲気については、もはやオリの独壇場の感がある。SNS類を見ても、オリの選手同士といったら、ほんとに女子学生かと思うくらい距離が近くてベタベタ。誰かが不調や失敗でへこたれてたら、ベンチでは必ずフォローに入る仲間がいる。冷ややかな視線や突き放す厳しさなんて微塵もない。スポーツでありがちなパワハラ的な先輩なんてどこの世界の話やら。オリでは年長の先輩たちが一番ほんわかと優しい存在。

何より、この甘えられる雰囲気を首脳陣が持っているのが特徴的。練習の時などに親しみやすい、という接し方だけの話じゃなく、采配でも優しい。作戦の中でミスしてもファーム落ちから戻って上手くいかなくても、やり直しのチャンスは根気よく与えてくれる。例えばルーキーの野口。ファーム落ちから上がる度に、ファンが溜息をつきたくなるよな大振り空三を繰り返したけど、最後の最後はしっかりミートしてホームランまで打てた。

1回で100%できずとも、その前よりも良い兆しを見せられたなら、きっとまた次のチャンスが貰える。チャンスが与えられない時はきっと練習でも次への兆しが表出してない。見て貰えてるという信頼と希望が、選手の気持ちの切り替えと明るさを呼ぶ好循環。首脳陣への親しみやすさと明るい安心感が、萎縮の気持ちを消し去って伸び伸びプレーを招いたなって感じます。リーグ戦やCSの最後、コーチや監督に抱きつく選手たちの表情が、甘えられる雰囲気の良さをよく表してたな。

 

かつては緩さが弱さと結び付けられてしまったけれど、勝てる自信を持った今は、むしろ選手たちの自立心を育てている感じ。今年の最初の頃、「風の時代(より自由に向かう)」というスピリチュアル方向のワードで記事を書いたけれど、オリックスは一番その風に乗っているチームに思えて仕方がない。

 

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こんな風に乗れたオリックスに対峙したソフトバンク。”選手メンテナンス力”"甘えられる雰囲気” という2点で運を掴み損ったかなって思うのです。

日本一になった頃は、前半続々ケガ人が出ても秋にはみんな戻って勢いに乗っていた。そういうリカバリー力は残っていたのだろうけれど。いっとき活躍した若手や投手が調子を落としてファーム落ちした時に、ブラッシュアップして戻ってくるようなメンテナンス力までは至らなかったな、と。

そして、元々厳しさ=強さだったチームだから、どんなに皆が明るく振る舞っても、甘えちゃいけないムードが骨の髄に残ってる。最後の最後、若い選手や経験の少ない選手たちに必要以上の責任感を感じさせ萎縮させたのは、その目に見えない厳しさのムードだったんじゃないかな、と。

もちろん、全部のチームがオリックスと同じカラーになる必要はないわけで。というか、みんな同じじゃつまんないわけで。ソフトバンクもオリジナルなカラーで再出発に臨むのだろうし、きっと立て直してまた恐るべき強さになって帰ってくるに違いない。

それでも2軍での小久保監督の様子を見ると、去年までの有無を言わさぬ厳しさの雰囲気が柔らかになったりしているし、世代が変わる若者たちの変化を思うと、今後の指導者はなんらかの形で "甘えられる雰囲気” について頭の片隅に置いておく必要があるかもしれないと思ったりするのです。

そして、”選手メンテナンス力” に関しては、これはもうオリックスの良い面はしっかり見習う必要があるだろうという感じ。1軍においての観察(具体的な問題点と改善点の発見)、2軍においての調整方法と試合での技能発揮方法の確立、全体的な情報共有、などをシステマチックに実施する。オリックスの場合は、1軍2軍の区別なしコーチ陣という画期的な手法の採用に踏み切って、これが大成功。ソフトバンク始め、他のチームも今後はしっかり「手法」で改革して行きたいですね。

次代のパ・リーグのためには、良い衝撃になったかな、と思うオリックスの勝利。ここを境に、またパが発展していってくれたらいいなと考えるスタであります。

 

 

 

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