フィールド オブ パリーグ           -パ主義野球ブログ-

なが〜く愛してきたパ・リーグをゆる〜く語るブログ、フィルパリです。

【満を持して】おっとりマツゴー、突如ヒットマシーン化する【日本ハム・松本剛ウォッチング】

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暑くなりました。夏至も過ぎ、6月ももうすぐ終わり。早いです。でも、実を言うとこのフィルパリブログ、じりじりしながら6月の終わりを待っていました。書きたくて仕方ないけど、6月終盤までは触れないぞと決めていた選手がいたからです。

 

開幕から絶好調で今も打率トップの日本ハム・松本剛。4月も5月も爆当たり。固め打ちはする、長打も出る。おまけに一時は盗塁までトップという八面六臂の大活躍。書きたい、記事にしたい、という誘惑に駆られたことも二度三度。でもそこを、6月の様子を見るまではと、我慢に我慢を重ねました。

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なぜかというと、5月まで絶好調だからウキウキして推したのに、6月以降急降下してそのまま浮かび上がって来ない、という選手が過去にあまりにも多いから。このフィルパリブログでも去年5月、上林でやらかした😅。

 

そもそもね、5月終わりまで活躍できる選手って、力はあるはずなんですよ。だからたいてい彼らはチーム期待の星で、ちゃんと活躍することもある。なのに、なぜかその活躍はいつも一時的。良い時は光り輝くけど調子が落ちると長引いて、そんなこんなでなかなかレギュラーや1軍に定着できない。「6月過ぎたら別人」タイプは、そんな選手が多い気がする。

観察してると、実績の少ない選手の調子は、だいたい1ヶ月単位くらいで変化しますよね。新人やぽっと出の若手選手は、波が結構わかりやすい。開幕直後にやけに調子が良い場合なら、まずは4月中までかな〜と思うし、そこを乗り越えたら、じゃあ5月まで頑張れ〜って思う。大体その通りになります。でも「6月過ぎたら別人」タイプについては見極めが難しい。調子がいい時に何か触れておけば良かった、と思う場合もあったりする。

ちょっと悩んだけど、今年の松剛(マツゴー)については満を持して書こう、って思いました。11年目の選手です。同期の近藤と上沢は、片や代表常連のヒットメーカー、此方チーム投手陣のエース。松剛だってもう、開幕直後の成績程度で「やっと爆発した〜!、わ〜い!」ってはしゃぐようなキャリアじゃない。少なくとも今年はずっとチームを支えて行くだろう、という目処が立たなきゃ持ち上げる意味はないな。


松本の同期の仲良しぶりや上沢の子供時代が伝説の動画

www.youtube.com

 

だから6月末までは見てみないふり。

 

実を言えば、6月はヒヤヒヤしてたんです。月間打率下がってたので😅。やっぱり「6月過ぎたら別人」になっちゃうのか?。ですが、22日に出た超技ありのホームラン。これが良かった。「あ、持ちこたえるな」って感じがしました。で、今記事を書いています。


20220622ホームラン

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同期がコンちゃん(近藤)と上沢と書きましたが、ドラフト順位は松剛が上です。日本ハムが菅野強行1位指名で大騒ぎになった年、2位が松剛でした。最初は内野手だったんですが、2015から外野を守り始めました。

内野手で足速い→ファームでショート守るもエラー続出→別の内野にコンバート→やっぱりエラー出る→いつの間にか外野手 


「金子誠の低く見えて超えられぬ壁」の時代から、陽岱鋼や西川遥輝などなどにも受け継がれたハムのよくあるパターンコンバート。で、2013年に初1軍。入団4年目の2015年に初安打で2016年が初打点。で、2017年は1軍定着して初規定打席到達。コンちゃんが上昇が凄かったので目立ちませんが、まあゆっくりだけど着実にステップアップしてるかなという感じでした、ここまでは。しかし、2018年から行き詰まってしまいます。

draft.npb.jp

2015初安打動画

youtu.be


詳しい履歴記事
sportiva.shueisha.co.jp


この行き詰まってる間の彼がねえ、ほんっとにもう歯がゆい。なんせ、元々からおっとりしているせいか、やることなすことにワイルドさが欠けてきます。中途半端なバッティングも、スマートだけど覇気が表に出ない走塁や守備も、全部おっとりして見えちゃう。悔しがっていると思われる表情でさえ、どこかおっとりしてる。ディズニーアニメのリスのチップみたいな可愛い目鼻立ちなので、ガツガツした厳しい顔付きにならない。

チームの成績も落ちてきて彼には中堅としての活躍が期待されるのに、どんどん存在感が薄くなる。そんな状態が3年も続き、正直そろそろ忘れそうになりかけてた(すまん)昨年後半。やっと調子が戻った姿が見られました。


2021年9月の活躍

www.nikkansports.com


2021年2年ぶりホームラン

www.youtube.com

 

なのにやっぱり、監督&ユウちゃん引退ブーストのムードに乗っただけでは?と思ったり、年が改まればまた元の黙阿弥じゃないかなあと疑ったりしちゃう。安定して活躍した時期が少な過ぎて、今ひとつ信用しきれない。ところが彼の今年のインタビューを聞くと、昨秋の久々の打棒爆発は、本当に何かコツを会得しての出来事らしいのです。そこにさらにガソリン注入となったのが、新たに就任した新庄監督のアドバイスとのこと。

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「強く振るより速く振れ」

 

これが新庄監督が松剛に与えた言葉の魔法。何だかめっちゃピンと来る。松剛の初安打の動画とか「ああ、これかあ」って思う。ライト前にすごい上手な流し打ち。彼は巧みなんですよね、バッティング。きれいに滑らかに運びます。スラ〜っとしたスイング。これをただ ”強く” 振ろうとしても、ブ〜ンって感じになりそうですよね。「〜」が入る。

「速く振れ」って、この「〜」を取りなさいってことじゃないかな、って思いました。そしてできるだけ「ッ」を入れる。「シュッ」とか「ブンッ」とか。なんでもおっとりしてしまう松剛のスイングから、エレガントな「〜」を取り除いてキビキビさせたい。そういう意味じゃないかしら。

 

技術で大きな改良をした松剛には、さらに気持ちにも火を付ける出来事が2つ、今年の開幕前にありました。ひとつは西川、太田の移籍です。同じ外野の実力者。一気にポジションをものにする可能性が広がります。そしてもうひとつはお子さんの誕生です。年明け早々にはパパとしての並々ならぬ意欲を語っていますね。

hochi.news

 

これまでの努力や工夫、人の縁、私生活の喜びごと。レンズが光を集めるように、様々な良い変化の焦点が合って、彼の才能に火がついた感じでしょうか。ここまでのエピソードを全部結びつけるような、同期のコンちゃんとの対談があります。2018年のものですが、今年の彼と照らし合わせると感慨深い。松剛のおっとりぶりも伝わってきます。


2018年の松本と近藤の対談(3回) 

その1. 
対談中に流れる2017年の千賀からの2打席連続ホームランのうちの2本目が、冒頭に紹介した今年のキレそうでキレないホームランと同じ打ち方。

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その2. 自分がパパになった時の気持ちに思いを馳せてます。

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その3. レギュラーを取ることへの思いを語っています。

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おっとりしていて苦労のにおいがしない松剛。でも、紆余曲折は山ほど合ったし、忸怩たる思いもたっぷり味わったに違いありません。傍目にはおっとりし過ぎなように見えていたけど、コツコツコツコツ悩みながら、確かな技術と身につけようと努力を重ねました。私生活でも少しずつ重い責任を背負って励みに変えていきました。

 

今年の爆発は決して偶然ではないのです。もちろん、今後は不調期も来るでしょう。でも、調子の変わり目の6月に落ちかけながらも盛り返してきたからには、フェイドアウトはもう無いと予想します。後は、ダメダメな時にも自分を見失わず、集中力が切れた時のケガに気をつけ、一年乗り切って行ってほしい。

 

最後の最後におっとり齧歯類笑顔のマツゴーが見られるといいな。そう願っているスタであります。