去年から、各チームのU24 (24歳以下) 選手の1軍試合での起用法に興味を持っているスタ。今年は開幕からの約1ヶ月をチェックしようと決めていました。
なぜなのか理由は曖昧なんだけど、プロでの経験に関わらず、25歳になったとたんに選手は体と精神の両面で一気に大人になって落ち着く感じがするのです。その両面がまだちょっと不安定で、でもその分意外な伸び代を見せるのがU24。
もちろん25歳以上の選手が多ければ成熟したチームは強い。だからこれは完全に個人的好みなのですが、U24選手が目立つチームはすごく活気が出てくる印象を、スタは持っているのです。そして、長期のシーズンを乗り切るのに必要ながむしゃらな体力も、同時についてくるイメージもあったりする。
もちろん、ただ出場しているだけで結果がしょぼかったら意味なしなんです。だけど、出場しなかったら成長もありません。まずは彼らが出場していることが大事。まだまだ未熟で失敗も多い彼らの起用は、チームとしての意志が必要です。多少のことには目をつぶらなければ、我慢できなくなるのです。
今起きる失敗を糧と考えて起用するチームは未来に賭けている。しかし、もちろん、完成度の高い選手で目の前の勝利を確実にものにしていく、という姿勢も大事なこと。どちらがプロの組織の利益追求姿勢として正しいか、きっと永遠に結論は出ないでしょう。その時置かれたチームの状況にも左右されますものね。
だから、この記事は正否を論じるものではありません。客観的にデータ的に今年の各チームの状況を見て、そこにどういう意図が垣間見えるか、その現状は何を示唆するか、その辺りを考えてみたいなって思いました。
というわけで、スタは開幕から4月までのパ6球団が起用したU24選手の延べ人数を、投手と野手それぞれで数えてみました。そうしたら、積極起用チームと消極起用チームがくっきりと2分されたのです。今までの試合を見てきた方々なら想像がつくと思いますが、ご想像の通りです。
この具体的な内容をこれからご紹介します。データ的なんて偉そうに言ってますが、やり方は、毎試合のスポナビの記録をネットでコツコツ数えて「正」の字書いていくという、いつもながらめっちゃアナログな手法であります😅。多分少々の数え間違いあります。ご容赦ください。
前置き長くなりましたが内容見て行きましょう。まずは起用された延べ人数と起用された選手たちを表にしました。それから各チームの印象を書きます。これはスタの好みの偏見が入っているので、皆様それぞれの視点から考えてみてくださいね。
①U24(満年齢)選手起用延べ人数(2023年3〜4月)
総数(順位) チーム 野手(順位) 投手(順位)
102 (1) F 97(1) 5(6)
80(2) B 58(3) 22(1)
80(2) M 70(2) 10(5)
37(4) L 17(5) 20(2)
36(5) H 22(4) 14(4)
32(6) E 15(6) 17(3)
②U24(満年齢)起用選手(2023年3〜4月)
<野手(*は新人)>
F:清宮 野村 万波
水野 矢澤* 奈良間*
B:太田 宜保 紅林
野口 来田 茶野*
M:安田 山口 藤原
松川 友杉*
L :古賀 滝澤 山村
H :正木 増田 三森
リチャード
E :安田 黒川
<投手(*は新人)>
F:北山 金村*
B:宮城 本田 山下
東 大里 曽谷*
M:朗希 中森 横山
L :平良 隅田 佐藤
青山*
H :田浦 大津*
E : 内 荘司 伊藤*
いかがでしょう?。起用数については多いチームと少ないチームがきれいにふたつに分かれました。多いのは、日本ハム、オリックス、ロッテ、少ないのが、西武、ソフトバンク、楽天です。
起用多数になっているチームは、野手にレギュラー組がいるのが大きい。去年までに経験を積ませ、今年は常時起用できる選手が複数いるのです。起用が少ないチームより、若返りに早く着手していた結果とも言えます。
<U24起用多数組3チーム>
どこも数年前から高卒野手などを1軍で積極的に起用してきたチームです。より若くて不安定な時期を我慢して1軍出場させたことで、レギュラーとして毎試合出られるようになった選手が多い。彼らが疲れた時に代わって出てくる選手がどのくらい穴を埋められるかが、最終的な順位に影響する構成のチームとも言えます。U24選手の活躍で勢いに乗った時には、傍目から見ても目立つし魅力がありますね。
■日本ハム
U24選手起用の総数ではダントツ。ベテラン野手が極端に少ないチーム事情のやむを得なさもあり、野手の若手起用は圧倒的。中軸3人がこの年代というのが大きかった。清宮のケガ離脱はありましたが、新人の矢澤と奈良間の頑張りでぐんと差をつけました。
去年から起用されていた中軸選手が今年は固定で使われて、4月までは空回りも多かったものの、5月に入って歯車が噛み合ってきました。U24選手が活躍しなければチームの浮上が無いチームです。まだ波が大きいけれど、彼らが順調な成長を見せているのは希望が持てますね。
ただ、投手のU24は非常に少ないのが気になります。ケガの金村と、ファーム落ちの吉田と根本が戻ればだいぶ巻き返せるでしょう。今後は投手の若手育成が課題かも。
■オリックス
投打ともに多数起用できているのが素晴らしい。しかも、半数ぐらいの選手がリーグ優勝や日本一の経験できているのが強い。若くして、どうやって1年戦い抜いていくかを、多くの若手が知っているのは他チームにとって脅威。野手の方で目立つのはなんと言っても新人の茶野。出ずっぱりで大活躍。彼が起用数に大貢献しています。
投手の方ではローテ先発が2人もいて、しかも成績抜群。中継ぎもそこそこ活躍。投打両方に若手が活躍していて、バランス的には一番です。去年のAクラスでは唯一若手起用が多い。育成の計画性を感じさせます。
5月に入って首位に立ち、勢いがついてきました。そこをしっかり若手が支えていますね。控えには実力あるベテランもいて、今のところ、若手起用について懸念要素が無い感じです。
■ロッテ
実は途中まで総数で日本ハムと競っていました。松川の降格と山口のケガ離脱で差がつきました。総数を稼いだのは、ハムと同様、既に1軍経験を重ねた野手主軸。安田、山口、藤原がレギュラーで活躍したのが大きいです。
投手も朗希がエースとしてしっかり柱を務めています。野手3人と合わせた4人が、起用数のほとんどを占めているので、フレッシュなチームとして暴れていくには、もう何人か、起用したいと思わせるU24選手がいてもいいかもしれません。先の3人はU24の割にはもう熟成感があるんですよねw。松川や中森もファームで鍛え直して早めに昇格してほしい。
ケガの山口は仕方ありませんが、安田と藤原は今までより高いレベルの活躍を少しでも長く維持できるよう期待したいと思います。
<U24起用少数組3チーム>
U24の起用が少ない3チームを見てスタが感じるのは「そこそこ強いチームだからかな?」というところ。昨年の2、3、4位なんですよね。今年はちょっと戦力を足したり整えたりすれば昨年を上回れるし優勝も可能、と考えるのはまあ仕方ないのかも。今あえて不安定な若手をフォローしながら使っている余裕はない、というところかもしれません。でも、その感じで本当に今充実してるかな?。若手がスパイス起用だけになってるのいいのかな?。へそ曲がりスタはその辺りをじーっとウォッチしてみたい。
■西武
栗山様とおかわりくんのアラフォーレジェンドが凄すぎて、ここ数年で出てきた選手がみんな若手に見えてしまうけど、意外にもU24選手の1軍起用はかなり少ない。今年の野手は、捕手の古賀が唯一回数を稼いでいるだけ。ショートの滝澤も源田のケガでお鉢が回って来た感じで、もし源田がいたら出ていたかどうかわかりません。惜しいのは大活躍してる新人の児玉。今年25歳なんですよね。
西武は野手はじっくり育てて、というところがあるので仕方ないのかな。5月には西川が出始めてますが、やはりもう少し抜擢があってもいいかも、とは感じます。
投手の方は、今のところ皆がっちり主力の使われ方ですね。チーム防御率1位を支えているのは大したもの。
源田と山川をケガで欠いていたので、順位争いをするためには実力把握できている中堅で固める構成になるのはうなずけます。レギュラーが揃ったところで、どうU24を使うのか。そこを見て行きたいなと思っています。
■ソフトバンク
ソフトバンクも、若手は下で鍛え上げてから上げる方針のチームです。上で使われ始めた若手と思ったら、26、7歳であることが少なくありません。ちょっとキラめいた、程度じゃチャンスが回ってこない層の厚さ。「若手」の基準が他と違う感じがします。それでも時々、スッと頭角を現すU24が出てきます。去年の三森がそうです。
今年はその三森が不調でファーム落ちしたのが、U24選手起用数に響いたかな。ソフトバンクの若手起用法でうーん…と思うのは、出場させてもチョコチョコ使いなところでしょうか。数回起用してちょっとでも物足りなさが見えたらすぐ落とされてしまう。それが毎年です。今年出場のU24野手も同じ。これだとなかなかプライドが育たなそうなので、もう少し気長に使ってあげては?とは感じます。
投手は中堅選手の数が多いせいか、野手以上に起用が少ない。中継ぎで安定している大津が数を稼いでいます。千賀が抜けた分、もっとどんどん起用してみても良さそうですよね。ちょっと開幕早々から、チーム全体が「今年こそ優勝せねば」という呪縛で硬直している感もある。
とにかく順位争いがシビアになってからの起用は火傷の元。前半戦で少し起用を増やさないかな。そこが注目したい点です。
■楽天
びっくりするほどU24選手を使いません。それが毎年です。今年は延べ起用数はなんとか2桁に乗っていますが、内容を見るとそのほとんどが同じ選手。野手は捕手の安田ひとりが頑張っていると言っていい。投手は新人中継ぎ投手の伊藤のフル回転で数を稼いでいるのです。
どうなのかなあ、この状況って。若手が試合に出る実力不足なのだから仕方ない、と考えるしか無いのかなあ。スタは毎年頭を傾げております。今年も開幕時にU24選手が少しでもスタメンに名を連ねないかなあ(具体的には黒川)、と期待しましたが起用はありませんでした。
⚾️プロ野球開幕戦楽天スタメン
— スタジエンヌ・裕子 (@Stadienne) 2023年3月29日
ずっと言ってるけどとにかく黒川スタメンに入れよう、話はそれからだ(結構ここ今年の未来の分かれ目ポイントじゃないかと思ってる)
開幕時に、というのはやっぱり若い選手に経験積ませるなら春かなと思うから。オリの中嶋監督は4月は結構徹底して起用しますよね。他所は他所、だけど参考にはなるんじゃないかな。
シーズン後半の切羽詰まった場面で起用されても、経験の少ない若い選手が力出せるとは思えない。そうして疲れたベテラン主力の穴埋めできなくなって、いつも楽天は後半失速するんじゃないかなあ、と、ど素人は憶測してしまう。
首脳陣や球団としては若手を使う時相当我慢しているつもりでも、チームの構成を若返らせるためには辛抱強さが足りないんじゃないかな、なんて。まあ、こんなところでブツブツ言っていても方針が変わることはないわけですが。
楽天に何人ものU24選手がイキイキ活躍する時を待って、見守りたいと思います。