昨夜の日本ハムvsオリックスの試合、面白かったですねー。4点リードされて途中までは一方的な劣勢に見えたオリックスが8回になんと満塁弾で一挙に追いつく。流れを完全に持って行かれたかに見えた日本ハムが、それを断ち切ってもう一度突き放す。終盤から俄然緊張感漲る好ゲームに。
ピックアップしたい選手ばかりなんですが、真っ先に心惹かれたのはオリックスの福田周平と日本ハムの松本剛です。ふたりのキャプテンシー、背中でチームを鼓舞する姿がえらくカッコ良かった。
まずはスーへー(福田)ですよねー。
ポテン気味のヒットで始まり、エラーも絡んだラッキーな満塁での打席。パテレ動画では省略されてますが、2球目がすっぽ抜けで頭を掠める危ない球。本人は体に触れたと思いリクエストになったものの通らずに判定はボール。完全に動揺した相手投手が真ん中付近にしか投げられなくなっているのを見越して引っ叩いての今年初ホームランでした。
なんかこの、危ない球を投げられた後に、チャンスもらったぜとカッと目を見開いて踏み込んでいくところが「ああ、スーへーだなあ」という感じでしたねえ。その闘争心ていうんですかね、ガッツがね。2021だか2だかでも確か、頭に死球くらって、カーブのゆる球だったら平気な顔して1塁に歩き、その後ヒット打ってた時があったはず。腰が引けるどころか、相手の投げる所を狭めさせるくらい突っ込んでくファイター。
今年はチームの打撃陣の調子が軒並み上がらない中、開幕からひとり気を吐いている感じです。不調でファーム暮らしが続いた去年から、ムキムキの体に鍛え上げ、打撃も守備もレベルアップして戻ってきました。10回裏の守備で打球を見誤って三塁打にしたことを「捕れた」と悔いてましたけど、一直線でもギリギリだったんじゃないかなという打球で、今年守備範囲もすごく広くなってる努力の矜持からのコメントだったように思うし、これまでの守備の貢献を考えたら攻める人はいないんじゃないですかね。
とにかくいつもやる気満々な姿が、今年はずっと1軍で見られるというのが何よりのこと。先日、那覇でのロッテ戦を現地観戦したんですが、やっぱり一番雰囲気があるんですよ。その時チームは、底だなあっていうぐらい沈滞ムードがあったんですけど、練習で素振りしている時から目立つ。何かやってくれるなら、打ってくれるならスーへーだろな、という雰囲気でしたね。実際打ちましたし。
もともと、根っからへこたれない雑草魂のキャプテンシーの選手です。チームが苦しい時ほど存在感が増すタイプ。今回の同点満塁本塁打は、その本領発揮でした。8回までなんとなくどんよりしていたチームを一瞬で活気づけ、その後の仲間の好プレーも呼んだように感じました。
<那覇の試合のスーへー>
その満塁同点ホームランで完全にムードがオリックスに流れるのを防いだのが、日本ハムのセンターを守っていた松本剛選手会長のファインプレー。投手交代したけど、1死から中川圭太の凄い打球が頭上を襲います。それを一直線に走った松ゴー(松本)、ほぼ後ろ向きでジャンピングキャッチ。
<松ゴープレーは1:30頃>
抜けてたらたぶんこれも三塁打で、オリの勝ち越しは間違いなかったような気がします。思わぬ同点劇にショックを受けてチームのみんなが浮き足立ちそうになる中、沈着冷静に技術の全てを発揮した凄みのあるプレー。しかも、プレーを終えた顔は口元をキリリと結んで緩まない。
そのプレーと表情を見て、若手が多い日本ハムの選手全員が、試合が継続中で振り出しに戻っただけだとハッと我に返った感じ。勇気をもらい、ここからまた盛り返して仲間の傷心も癒すぞ、負けないぞと奮い立った感じ。
松ゴーといえば、多くのベテランや主力が抜けた後の日本ハムで、ここ数年はどん底だったチームをずっと引っ張り続けてきた若き苦労人です。ケガもあったりした中、色々なことをたくさん背負いながら先頭に立ってきました。仲間にいじられることが多いスーへーとはまた異なって、若手にはちょいちょい辛口モードも発揮する兄貴分。
<2024エスコン、ベルド試合前の松ゴー>
昨年までは少し動揺するとミスを連発するなどガタガタと崩れたチームが今年は逞しく変身していて、彼も本当に手応えを感じているのでしょう。今回のファインプレーは、ここ大事だぞ、集中力切らさんぞ、という松ゴー会長のキャプテンシーと執念が凝縮されたプレーだったように思いました。
こうして、8回に両チームの素晴らしいキャプテンシーの応酬があった後は、仲間もそれに応えるプレーを連発します。ファームから1軍に上がってすぐなのに、サヨナラを防ぐファインプレーや素晴らしい打撃を披露したオリックスの "時代" 山足しかり。松ゴーのファインプレーの直後に地面ギリギリのライナーをキャッチしたり、山足のライト線のヒットを爆肩で二塁送球アウトにしたまんちゅう(万波)しかり。その他の選手たちも皆、高い集中力を見せ、気迫のプレー満載な好ゲームとなりました。こういう試合を見せてもらえたらファンは本当に幸せですね。
強いキャプテンシーをプレーで表現できる選手がいて、それに続ける選手がいるならきっとチームは良い方向に向かいます。オリックスは今は苦しんでいるけれど、ひとつふたつの狂いが調整できてきたら、きっと巻き返してくるでしょう。日本ハムはもちろん、今の好調を維持するだけでなく、もっともっと向上していけるでしょう。
希望の持てる試合というのはこういう試合だなーと思えた、日本ハムvsオリックス戦だったのでした。