オフのプロ野球関連ニュースをそこはかとなく読んでいると、「あ。前にもこんな話誰かがしてたな〜」って思うことがしばしば。今回は、「あ。」と思ったことが二度三度もあって、俄然気になっちゃった用具のトレンドのお話。
しまーち(楽天・島内宏明)がバットを変更した、って記事が出たのが1月4日。太めにして、重さを10g軽くしたとか。その目的が「扱いやすく」すること。
あら?。こんな話前にも見たな、と次々頭に浮かぶバット話題。
シーズンが終わって間もない10月29日には、ギータ(ソフトバンク・柳田悠岐)がバットを変えるという記事があったっけ。グリップの左手部分のみを1mm細くする変更。目的はやっぱり「操作性を上げる」こと。おや、操作性をあげたいのにグリップは補足するのか。
基本的には、グリップは太い方がミートに重点を置いた操作性重視型と言われ、細いと遠心力利用の長打重視型のはず。ギータの記事が一瞬不思議だったけど、よく読むと、ギータのバットは昨年リーグ戦終盤にグリップをタイカップ型(グリップが太いミート力重視型)に変えていたそうなので、それを少し加減するということなのかも。ギータも。とにかく基本は「操作性」。
そして、年末にはほたぴ(西武・山川穂高)のバット変更報道が。12月22日に出たその記事では、山川はバットを2cm短く20g軽くするそうで、そのためにバットのヘッドをくり抜いてグリップを太くするという(彼がゲスト出演した野球YouTubeでも言及)。変える目的はやっぱり「扱いやすさの追求」。なぜ扱いやすさを求めたかと言えば、理由は疲労軽減と、そして何より今の投手の球の速さへの対応のため。そこを対策しないバットは「時代遅れ」とまで言っている。山川が参考にしたのは村神様(ヤクルト・村上宗隆)にもらったバット。
その村上は、昨シーズンの5月末にバットの先のくり抜きを職人さんに依頼していて、そうかあ、5打席連続ホームラン(8月1日達成)の陰にくり抜きバットがあったのか。5月末といえば交流戦に入って2カード終わったところ。パ・リーグ投手の速球で感じるところがあったに違いあるまい、うん(パ好きの我田引水)。
とにもかくにも、村上くん、開幕して2ヶ月で操作しやすいバットでコンパクトスイングを目指すとは切り替え速いね、さすがだね。と、思ったら、我がパ・リーグにいましたよ。もっと速くそこに目をつけていた先見の明の持ち主が。
それが、今年からはメジャーリーガーの吉田正尚(前オリックス)。
なんと2019年11月23日に、「先端くり抜き」についての記事があった。昨年には、同じメーカーのバット(アンダーアーマー)を使用するギータに先んじて、いい木材を買い占めたというこだわり屋さん。先端もただくり抜くだけじゃない。くり抜く深さは規定ギリギリの3cm(規定は3.2cm→規定も細かい💦)。で、重量は変えない(密度の高い、重い木材を使う)。
彼のバット変更の目的は「速いスイング」。その後も毎年変更はしているようだけど詳しいニュースは無し。でもやっぱり、操作性やバランスが相当良くないと、小柄な正尚があんな振り抜きやフォロースルーはできないだろなあ。本人の条件もあるから、用具の機能に関してひと足早い対応ができたのかも。
「速いスイング」と聞いたら今度は首位打者、マツゴー(日本ハム・松本剛)が頭に浮かぶ。「強く打つより速く打て」と昨春のキャンプでビッグボス(新庄監督)にアドバイスされて実践したことで、突如開眼したマツゴー。いやもうね、スタはほんとにマツゴーだけは心底ノーマークでしたよ。土下座もんですよ。予想できませんてば、あんな大変身。
調べてみたら、彼の「速く打つ」を1年継続させた1要因として、ここでもバットの変更エピソードが浮かび上がって来ちゃうんだなー。
彼がバットを変更したのは5月。ヤクルトの村上らが太いグリップを使っていると聞いて試してみたら、自分にも合ったのだそう。そしてその結果、何が起こったかというと。
「バットの操作性が増しました」。
やっぱり基本、「操作性」に話は行き着く。のだが、、ここで異端児をひとりご紹介。、この記事のために情報探したら、ひとり真逆に行った選手見つけちゃって。彼はグリップを細くして、操作性より飛距離重視のバットに変えていくという。トレンドの逆の自覚はあって、でも、そこは果敢に我が道を行くのだという。
その勇敢な選手は、パ・リーグじゃないけどパ・リーグの選手たちにも大人気のサトテルくん(阪神・佐藤輝明)。スタも大好き。周りの選手の動向を知りながら、自分の気持ちに忠実に挑戦をする。彼が非トレンドバットでどんなバッティングをしていくか。交流戦で見守りたいな。
てなわけで、もちろん全員が全員ではないし、 もちろん打者の力量で変わるかもしれないが、何はともあれ、プロ野球打者の間でバットのトレンドは「操作性」がキーワードらしいってことは感じるのである。飛距離やパワーは二の次で、とにかくバットをコンパクトに速く振れることだ大事みたい。
そりゃそうだ。パ・リーグだけ見たって、投手たちは150Kmをフツーに投げる。150Km後半や160Km投げる投手も少なくない。打者はみんな、テニスや卓球みたいにスパン!と前で捌かないと差し込まれてしまう。少し前のような、遠心力を利用するエレガントな円月殺法的スイングが廃れていくのは寂しいけれど。
飛距離は出にくくなるというけれど、相手の球が速いならその分当てれば打球も飛ぶとも言える。まあ、上で話が出た選手たちは皆、技術で飛ばせる選手たちなのでちゃんと長打にできるしね。
バットは操作性を追求し、グリップは太めで先端はくり抜き型が今はトレンド。ちょっと覚えておいても悪くない小ネタかも。
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