フィールド オブ パリーグ           -パ主義野球ブログ-

なが〜く愛してきたパ・リーグとファイターズをゆる〜く語るブログ、フィルパリです。

【田宮裕涼】ただ今首位打者ゆあたん&寅威先輩のバディぶりウォッチング【伏見寅威】

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🔸絶賛売出し中のゆあたん

 開幕して10日ほどですが、日本ハムのゆあたんこと田宮裕涼(ゆあ)捕手が大ブレイクで目立ちまくりです。打っては5割超え(〜4/6)でただ今首位打者。リードもしっかり無難にこなし、売りの爆肩ゆあビームはもちろん健在。まつ毛の長いキラキラお目々と白い歯輝く大きな口がニコニコマークみたいなチャーミングな笑顔。きゅん!とかわいい上に足も速い、アニメの主人公のような野球小僧で、人気者要素満載な選手です。

 千葉の成田高校から日本ハムに入って6年目23歳のミレニアム世代。今1軍の野手はこの世代の同期連中が花盛り。ジェイ(野村佑希)やまんちゅう(万波中正)、にゃらま(奈良間大己)、たつき(水野達稀)らが一斉に頑張っています。

 その中でゆあたんは遅咲き組。5年間はほぼ下でじっくり技術を磨いてきて、去年の最後の最後に1軍に上がり、10試合で抜群の結果を残しました。そして、開眼ぶりはオフにリセットされることなくそのまま今年に引き継がれ、大抜擢の開幕スタメンマスクからこっち、バットが打ち出の小槌状態。チームの大事なポジションの未来が希望に満ちている、と感じさせてくれているのです。

 

🔸春キャンプのカルガモ親子

 そんな今年のゆあたんを、スタは図らずも春キャンプの時から目に留めることになりました。というのも、1軍スタートだった彼が、スタのケガ仲間(アキレス腱断裂)で推し選手の寅威(伏見寅威)のそばにいることが多かったから。

 いや、「そばにいる」なんてもんじゃなかったですね。「ベッタリ」でしたね、後半は。182cmで肩幅が広いがっちり体型の寅威の後ろを、175cmで少し背中を丸め気味のころんとした背格好のゆあたんが付いて回る姿は、まるでカルガモの親子。

 スタは今春の日本ハム沖縄名護キャンプを、1日からの開始当初数日と21日からの終盤数日の2回見に行ったんです。大体の場合、捕手陣は数人ずつグループで練習を回りますが、移動などの際は最年長の寅威が先頭で動いていることが多い。で、その後ろに誰がいるかで、なんとなく選手の立ち位置というか、上層部の意図が見えたりします。

 1日からの開始当初、寅威のすぐ後ろにいたのはルーキー捕手の進藤(しんとう)勇也。練習に付いていけると判断されての1軍スタート。実際、始まってすぐの時には、セカンド送球の強さで沸かせましたし打撃にも良い所を見せてました。そんな期待のルーキーにベテラン捕手の後ろ姿を見せ、エリート教育を施すといった感じでしょうか。

 もちろん初めてのプロの練習はやり方もわかっていないのですから、まずはこなし方を先輩に付いて回ることで覚えていくのでしょうね。守備練習などで順番で並んでいる間には、たぶん技術的なことも寅威が進藤に教えているような様子もしばしばでした。

 

 


 ところが、キャンプ終盤に再訪した時には、この「寅威の後ろ」の選手がゆあたんに変わっていたのです。だからスタは、到着してすぐに「あれ?」と思いました。練習試合などの実践も増える時期ですからね。もうチームの方針も固まりだして、練習の進行にもそれが反映してきるはずなので。ゆあたんへの上層部の期待が、「寅威の後ろ」に表れてるなと感じたのです。

 もちろん名護にいた時は、ゆあたんが開幕スタメンマスクになるという事態までは想像が及ばなかったです。が、開幕後の新庄監督のインタビュー(有料記事※《SHINJOの信条》道新スポーツ )  では、キャンプ中盤からもうそういう方向性を内心で決めていたとのこと。それを読んだ時に、キャンプでの「寅威の後ろ」という位置は、現地で感じた以上に大きな意味があったんだなあと思いました。

 かくして、推しを追いかけるスタの寅威ウォッチは、結果的に、カルガモ親子のような捕手ズを観察するゆあとらウォッチと化しました。ずんずん歩く四角いフォルム寅威の後を、俊足くん特有の軽い足取りで付いていく丸っこいゆあたんという構図はなかなかに愛らしい。

 しかも、トップ写真でもおわかりのように、ふたりとも定評のある良い笑顔の持ち主。自ずとハッピーな観察になるんですよ。その雰囲気はキャンプ後もずっと続いていきました。

  

 



🔸ゆあとらのほのかなカップルみ

 今年春キャンプ後半のカルガモ親子行動から始まった、フレッシュ若手田宮裕涼と経験豊富な日本一経験者伏見寅威のゆあとらコンビ。ウォッチしていて感じたのが、時々親子感を通り越して漂うカップルみ。写真整理しててしばしば「おいおい」ってなるんです。

 



 ゆあたんがね、遠慮なのか敬意なのか、ちょっと照れたようなはにかみ仕種が多いんですよね。で、寅威は、基本的にリーダーシップ溢れた表情やガハハという感じのおおらか笑顔をするのだけど、元来かわいいものに目がない人。かわいさ満点(by山﨑福也)なゆあたんの様子についつい和んだ気持ちが滲み出てきてしまうらしい。そこで、彼らの間になんだか初々しい雰囲気が漂っちゃう。

 とにかく、10歳離れたこのふたりがお互いを気に入ってることは間違いない。春キャンプから、という短い時間だとしても、一緒に行動するうちに捕手仲間として相通じる所がたくさんあったのだろうし、情緒的な部分でも相性が良さそうなことが伝わってくるのです。

 

🔸先輩から吸収するもの

 名護キャンプでルーキーや1軍常連狙いの子たちが「寅威の後ろ」をついて回っていた意味。それは、ミーティングやコーチの指導だけでは伝えきれない扇の要としての捕手の素養を、先輩から吸収してほしいという配慮でしょう。捕手は、自分の技術を高めるだけでなく、投手や野手全員をまとめるために意志を伝える表現力が必要なポジションで、寅威はとてもそういう表現力に長けている先輩なのです。

 スタは今年生まれたゆあとらコンビの様子をほんの短時間の一面しか見ていない部外者です。が、現在既に、ゆあたんの振舞いにそこはかとなく寅威の影響を感じなくもないのです。「あ、なんか名護キャンプの時と変わったよね?」って思う部分がそこかしこ。ええ、気のせいかもしれませんね。去年まで下にいた時も、ゆあたんは試合で今年のように振る舞っていたかもしれませんし、もちろん推しである寅威へのスタの贔屓目も入ってますね、きっと。でも、たぶん……たぶん……。

 ファンの皆さんはご存知でしょうが、寅威の通る声やら落ち着いた態度やら豊かな表情やらってすごく印象に残るのですよ。そのあれやこれやがゆあたんの深層心理にサブリミナル効果を与えてるんじゃあるまいか、と妄想してしまうわけですよ。

 例えば、野手への声がけの姿です。なんの先入観もなかった名護キャンプの練習では、ゆあたんについて何度も「ああ、まだ声の通りが小さいな」って感じました。外野まで一直線に届きそうなほど通る寅威の声と比べるのはかわいそうだけど、どうしても少しくぐもる。

 だけど今年の開幕戦(ZOZOマリン開催)の試合前、練習の区切りを他の選手に伝えるゆあたんの声にびっくりしました。スタンドにいるこちらにまでピーンと通ってきましたから。下の写真①の時なんですけどね。ちょっと息を吸ってからの発声に、声を通すぞっていう意思が見えました。

 あと、サインを送る際に捕手が「みんな聞いて〜」と両手を広げる合図。寅威のあれは広い肩幅もあって鷲の羽ばたきみたいにスケールが大きいんです(写真②)。ライン際の選手まで包みこむような合図。

 で、ゆあたんは名護キャンプの時は腕の幅がV字の万歳のように少し狭い感じだったんです。正面方向だけ対象な感じ。が、開幕戦で相手に点が入った後の「みんな聞いて〜」は、鳥の羽ばたきになってたんですよね(写真撮れなかった泣)。

 何が言いたいかというと、ゆあたんの意思を伝える表現力が高まったという点です。「聞いていただけます?」「見ていただけます?」みたいに控えめに送る合図じゃなく、「ほら聞いて!」「こっち見て!」と、明確に相手の注意を引く表現力になってきた。そこに寅威のサブリミナルを感じたわけです。

開幕戦練習で声張るゆあたん(2024.3.29)

寅威の「みんな聞いて〜」(2024.2.6)

 

 表現力の次にもうひとつ感じたのは本塁での送球待ちの姿勢。チームでの守備練習の中で、捕手が突っ込んでくる走者を想定してタッチをする際の、野手の送球を待つ姿勢です。名護キャンプの時に、これが捕手によってだいぶ違うものだな、と思いました。

 寅威は、片膝を立てて壁を作り腰を落とした同じ姿勢をきっちりやります。どんな練習でも毎回必ず、です。なんならキャッチボール遠投でもやります。とても格好がいい。

 

 

 

 それがルーキーの進藤になると、落ちてる物を拾うような不安定な姿勢になっちゃいます。手だけでタッチに行きます。進藤は今2軍ですが、試合中の所作についてもつい先日雑さを指摘する記事が出ました。きっと素質だけで野球ができたタイプかもしれませんね。まだまだなんですね。みっちり地味な所を鍛えてきてほしいです。

【田村藤夫】日本ハムのドラフト2位・進藤勇也の返球シーンに覚えた違和感 - 田村藤夫のファームリポート - 野球コラム : 日刊スポーツ

 

 さて、ゆあたんはどうでしょう。名護キャンプ中は送球にばかり目が行ってこういった写真を撮っていませんでしたが、3月7日のオープン戦の時のがあります。彼はもちろんプロでやってきているのである程度しっかりしています。でも、この時はまだ出してる足が左足でそちらにすごく重心が偏って見え、バウンドの変化等への対応力がちょっと不安定かも、タッチしにくいかも、な感じ。同日の寅威と比べるとわかりやすいかな。

 

 

 しかし、しかしです!。それから1ヶ月後の4月6日の試合でまんちゅう(万波中正)からのバズーカ本塁返球を受けて見事なタッチを見せた時のゆあたんは、きっちり右足立て膝で構えていたんですよ!。ここにスタは、寅威パイセンのサブリミナル効果を妄想しちゃったわけです。

 去年は寅威が同じような状況で素晴らしいタッチをしたんですよね。まんちゅうの返球はそれこそ剛球なので、バウンドするとキャッチするのも大変です。油断すれば逸らしてしまいます。ゆあとらが同じようなタッチを見せてくれたことは、大変感慨深かったですね。

今年のゆあたんの本塁タッチパテレ動画

youtu.be

去年の寅威の本塁タッチパテレ動画

 

youtu.be

 

🔸刺激し合って最高のバディへ

 開幕に向けてしっかり調子を上げてスタメンマスクを勝ち取り、現在無双状態でレギュラー出場し続けているゆあたん。攻守に渡って大車輪の活躍なので、寅威のほうは今の所、出番がほとんどありません。それでも試合では複数安打を放ったり、アピールを怠りませんでした。

 彼は選手生命も危ぶまれたアキレス腱断裂という大ケガの崖っぷちから這い上がってきた選手。もちろんこのまま終わるつもりもないはずです。監督は独特な感性で采配する人ではありますけど、いずれ必ず、投手陣の信頼絶大なリードができる寅威が試合で必要になってくるでしょう。その時見せる姿がまた、成長著しいゆあたんの追肥になるに違いない。

 ゆあとらはきっと切磋琢磨を続け、「最強のふたり」になって行けると思います。そういえば名護キャンプの時に撮った写真で、「めっちゃバディ(相棒)感あるなあ」と感じた1枚がありました。サングラスをかけていたこともあるのでしょうが、醸し出す雰囲気に一体感があったんですよね。

 さらに、シーズンが始まってからのベンチでも、ふたりはよく似ているなと感じさせることがしばしばあります。試合でマスクを被っている時、ゆあたんは時々そっと寅威の隣に座って何か聞いたりしています。そこでグラウンドやファウルボールを見たりする時、動きがめちゃシンクロして、兄弟のように似た表情になるのです。

 苦労を重ねて培ってきた捕手の基本技術や経験を、負けじ魂と包容力のミックスでチームに浸透させている寅威。 溢れるセンスと身体能力でチームの未来を担いつつあるゆあたん。複数捕手が当たり前になってきている今、チャーミングなふたりの出会いは野球の神様の配分のようにさえ感じられる。

 刺激し合い、競い合い、助け合い、リスペクトし合って、最高のバディになっていってほしいと思います。

 ゆあとら、がんば!。