フィールド オブ パリーグ           -パ主義野球ブログ-

なが〜く愛してきたパ・リーグをゆる〜く語るブログ、フィルパリです。

【本塁タッチプレー】コリジョンルールが生んだ新しいスリル【1点凝視】

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順位争いも佳境を迎え、各チーム、一かバチかというプレーをする場面が増えてきました。そんな中、パ・リーグのゲームでは連日、走者の果敢な本塁突入と、野手の精密な連携・送球のスリリングな対決がファンを沸かせています。特に、レフトオーバーのヒットを本塁と3塁でWプレーに取るという、文章では理解し難かったオリックスの中継プレーは凄かったですね。オリはこの前にもいい中継がありましたね。中嶋監督のインタビューではだいぶ練習しているらしい。また、昨日のソフトバンク栗原(元々は捕手)の正確な本塁送球も見事でした。

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栗原の送球は3:30頃⬇︎

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これらの素晴らしいプレーを見ながら、スタはつくづく、「ああ、本塁クロスプレーのコリジョンルールができて良かったなあ」と感じています。ホームベースを目指す走者の、必死の走りやスライディングのスピード感。捕手のミットをめがけて投げられたボールの、糸を引くような球筋。両者が交錯するタッチプレーを凝視して息を詰める瞬間。判定に「うわあ!」と思わず声を上げる(歓声にしろ悲嘆にしろ)瞬間。ホームベース上の1点に視線が集中する攻防は、まさに野球の醍醐味。

 

この醍醐味が研ぎ澄まされたのは、コリジョンルールのおかげかな、と思うのです。コリジョンルールは、本塁突入プレーに関する規則で、大雑把に言えば、「タッチする側の捕手や野手は走者の走路でブロックしない、走者はブロックしていない捕手や野手に接触(突き飛ばすなど)を目論まない」ということです。

 

ルール制定以前は、捕手はホームベース辺りをブロックし、走者は回り込んだり捕手の足の隙間から手を差し伸べたりして掻い潜る、という形が普通。しかし、ギリギリのタイミングや捕手が既にボールをキャッチしている時には、走者が体当たりして落球を狙うケースが増えて大けがをする選手が続出し、2014年にメジャーリーグが、2016年にはNPBが禁止ルールを採用しました。

 

日本で採用の当初は、迫力あるプレーが減るという反対意見も多かったルール。スタもちょっと寂しい気持ちもなくはなかったです。第1回WBCでのムネリン(川崎宗則)の神の手ホームインや、確か日本シリーズだったと思うのですが(記憶曖昧)、里ちゃん(里崎智也)が膝を寄せた蟻の這い出る隙もないブロックをして、足の間から走者の手が必死にホームを探して動いていたサヨナラ阻止などの名場面は、見れなくなるんだなあ、と思ったので。

 

でも、やっぱりあの頃は、あまりにも本塁突入が乱暴になっていっていました。走者はほとんどアメフトかプロレスのようにショルダータックルする感じ。捕手も、滑り込み阻止のために、走者の手や足の上に膝や腰を落としてしまったりする。

 

里ちゃんは、外国人選手のタックルで肋骨折れたってエピソードをよく話しますが、あの時ほんとに交通事故みたいな飛ばされ方でした。日本ハムの鶴ちゃん(鶴岡)もよく吹っ飛ばされていたし、大リーグで城島がやられた時はムチウチ症になるんじゃないかってぐらいな感じ。こりゃ酷いと思ったのは、高校代表の日米戦で、現西武の森友哉がやられて動けなくなって退場したケース。高校生で完全に故意のラフプレーやっちゃうのか、とびっくりしました。走者の方だって、前述のムネリンはあのプレーで結局手を痛め、以後の試合に差し支えが出たし、昨日引退したソフトバンク長谷川も、原因となった右足のケガはブロックされている本塁への突入時に発生したものです。

 

選手同士の接触が前提のスポーツではないのに、痛ましい事故が多発するプレーが迫力なのだ、と解釈するのってどうなんだろう? そういう疑問も随分と感じていたタイミングでした。なので、ちょっと寂しいけれどもこれはやっぱり必要なルールだよね、と、賛成する気持ちの方が強かったです。

 

コリジョンルールが採用されて5年。逸れた送球を取りに動いた捕手の位置の解釈などについて、まだちょっと不明瞭だよねという課題は見えます。でも基本的には、このルールのおかげでランナーがぶつかってくる体勢やら選手が大怪我をする心配やら、余計な情報にもやもやすることなく、タッチプレーの瞬間に視線も気持ちも集中できる。

 

これからも、野手の中継の連携や送球、捕手の受け取り位置やタッチの技術、走者のベースランニングやコーチの判断など、技術はどんどん精密になり、白熱したクロスプレーが生まれて来るのでしょう。ルール変更で生まれた新しいスリル。楽しみたいです。