今年、3塁で毎試合ワンダー守備を披露しているオリックスの宗 佑磨。柔らかなグラブ捌きに強肩際立つ送球など、確実なのに、何をやっても華がある。もちろんパ・リーグを見ていれば「ゴールデングラブ賞間違いなし!」と思うのだけど、記者のとんでも投票が……と心配しているファンも多く、Twitterなどでみんな推しまくっていす。昨日は、いよいよオリックスの公式サイトが、独自に特集動画を披露しました。
この動画では、グローブの中でボールを持ち直すのではなく、グローブからいったんこぼれたボールを素手で掴んで投げる様子がいくつか紹介されています。たぶん専門用語は無いと思うから、スタは勝手に、「ワンタッチベアハンド(ベアハンド=打球を直接素手で処理する)」と呼ぶことにします。
0:26頃の、三遊間ゴロに飛び込み、ボールだけ自分の前に転がして拾って投げるプレー凄い。持ち直ししてたら間に合わないタイミング。グローブ引っかかってボールが偶然こぼれることもあるでしょうが、彼の視線を見ると、絶対意図的に転がしている感じ。
そして、その直後の三塁線の逆シングルがもっと凄い。グローブに当たって(当てて?)フワッと浮いた(浮かせた?)ボールを、素手で掴んで投げている。捕球の瞬間、どれだけソフトにグローブを扱っているのやら。並みの選手だったら弾いているか、浮きすぎて投げるまで時間がかかっていたでしょう。
あんなにキャッチしやすい位置にボールが浮くのが、偶然の賜物ってありえない。まるでバレーボールのトスみたいに、ボールの勢いを殺してコントロールしてる。
宗のワンタッチベアハンド見た瞬間、スタの頭に浮かんだのが、なぜか9人制バレーボールの凄技でした。やってる人しか知らないと思うのですが、9人制って、6人制とはワンタッチの数え方のルールが色々違うんです。例えばブロックの手に当たったワンタッチを、6人制は数に入れないけど9人制は入れます。ブロックの手に当たった後、2回で相手コートに返さないといけません(昔は6人制もそうでした)。
これとは逆に、味方のレシーブなどがネットに当たったのを拾う場合は、6人制は1回に数えるけど9人制は数えない(ややこしい)。ここで9人制バレーの凄技登場です❗️
味方のレシーブがネットめがけて勢いよく飛んでくると、アタッカーにいいトスをあげられません。そこで、ボールを触る時にネットの中腹にわざと掛けて勢いを殺し、ネットから落ちてきたボールを改めていいトスとして処理するのです。言葉じゃわからないですよね😅。ちょうど、社会人チームのすごく詳しい動画があったのでご紹介。
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これねえ、練習でゆっくりやってるからできそうに見えるけど、慣れないとできるもんじゃ無いのです。スタは経験が少ないのですが、9人制バレーってネットも低いし3回でボール返ってくるし、めちゃくちゃラリーのスピードが速いんです。その中で、瞬間的に「あ!これはネット使お!」って判断するのがまず大変。そして、うまいことネットがクッションになる場所で処理するのも大変。
これが華麗にできるのは、すごくボールの扱いが上手な人。どんなに勢いのあるボールでも一瞬でタイミングを合わせ、革のボールを紙風船みたいに扱っちゃう。センスがいいとしか言いようがない。羨ましくて、見とれてしまう。
宗のワンタッチベアハンド見た時、「ああ、あの人たちと同じだあ……」って感じました。ボールの時間と自分の時間を、スッと合わせてしまう人。野球の打球は、硬いし小さいし道具で打つし。バレーボールの何倍もスピードが速く、変化が鋭い。でも多分、彼の中では、捕球の瞬間に止まって見えてるのじゃないかなあ。だからあんなに柔らかく扱えて、石つぶてのような硬球を手鞠にしてしまえるのじゃないのかな。
バレーを始めた時に、仲間がよく言っていました。「ボール扱いの上手い下手ってさあ、運動能力とか運動神経とかじゃないんだよな。センスなんだよな」。久しぶりにこの言葉を思い出す、宗の守備なのです。