あと3つ勝てば、という所までたどり着いていたロッテ。しかし、そのひとつ目の試合で楽天に負けて、優勝を逃しました。残り2つは直前で連勝できていた日本ハム戦だったので、この楽天戦を乗り切れたら流れは一気に、と思われたのですが、、、。
優勝のくす玉を割る紐を、自分の手に掴ませてもらっていたロッテ。でも、大事に大事に扱わないと、切れたり手から離れたりしてしまいます。楽天戦では、大事な紐を扱う緊張感が回を追うごとに高まって、だんだん選手たちの動きが硬くなっていくのが伝わってきました。そして、紐は8回裏に突然もつれ、9回表に儚く千切れてしまいます。
同点で進む中、ロッテの継投は当然の勝ちパターン。盤石で抑えきるつもりでしたが、8回に佐々木千隼が捕まりました。シーズンの最初から中継ぎで頑張り続け、逆転の勝ち運さえ誇ってきた千隼に付いた、初めての黒星。涙に暮れる彼を見て、誰もが「泣かないでよ。君のせいじゃない」と言葉をかけたくなったでしょう。
得点差はたった1点。でも、最後の最後、1点を勝ち越せず、守り切れず、追いつけませんでした。「この1点を、つかみ取る」という今年のチームスローガンが、呪縛のように頭の中にこだまする。真実を突き過ぎた言葉って、人の運も翻弄するのだなあ。
ロッテは去年も、途中まで首位を奪う勢いに乗りながら、詰めのところで急降下しての2位でした。かなり残念な準優勝で、それを踏まえ、今年は相当な計画と備えでペナントを戦っていました。なのにまた、指が届きかけていた優勝を逃してしまった。今年の悔しさは、きっと去年の比ではないと思います。
去年の転落の発端は、明確にコロナ禍でした。発生の原因は、備えの不足、気持ちの緩みや油断です。これは対策が立てやすい。もう絶対やらないよ、と自信を持って言える種類の失敗です。対して今年の優勝の逃し方は、備えは万端、途中の失敗にも挫けぬ精神力も培ってきた上で、くす玉の紐を握らせてもらえていた。にも関わらず、目的を果たせませんでした。敗因は己れの力量、としか言いようがない。去年の後悔とはタチが違う。段違いの悔しさだろうと思います。
こういう心底からの悔しさは、骨身に沁みて体の中に残ります。でも、忘れられない分、思いは必ず晴らせます。オリックスの今年だって、ちょっと長くかかったけど7年前の悔しさを晴らした優勝ですものね。
ロッテの選手たちは、次回こそきっと、今年の思いを晴らすでしょう。デッドヒートになってもものにして、誰もが「おめでとう頑張ったね!」と讃えたくなる優勝を果たすに違いない。不甲斐なさに唇を噛み締める選手たちを見て、本当の強さを身につけていく彼らの未来に思いを馳せたスタでした。