雨中の対戦だった昨夜(8/14)のロッテ対オリックス戦。先行された直後にロッテが逆転勝ち。決勝点は、ヒットで同点に追いついた直後の初球を叩いた藤原恭大の逆転2ランホームランでした。打った瞬間の女性たちの歓声(というか悲鳴)が凄かった。女性ファン激増したパ・リーグとはいえ、中々珍しい。これはアイドルですわ、と思いました。
でも、藤原ってスイートな方向のアイドルじゃないな、と感じるんですよね。爽やかでルックスも抜群だけど、シンプルに「イケメン」とか「かわいい(ハート)」とかで表現できない、ダークな強(したた)かさを感じる。もちろん良い意味で。
最近の才能溢れる若い選手たちは、素直で朗らかでひた向きで、正統派の明るさの選手が多い。例えば、この五輪の侍JAPANの若手選手たち、森下や山本、村上などを見ていると、思わず「いい子だね〜(岩合光昭氏風)」って言いたくなっちゃう。物語なら、正しい側の仲間達。対する藤原はというと、もっとワイルドな役も与えたくなる。時代劇の野盗の俊敏な青年とか、もしかしたらカッコいい敵役さえできそうな。
野球をやってても、転んでもただでは起きない、雑草のような強さを感じます。ナンバーウェブのインタビュー記事があったのですが、その最後に紹介された、先の夢についての彼のセリフがいいんです。ホームラン王か首位打者かと聞かれて「ホームランはパワーヒッターには敵わない」と言った直後、自分で掲げたこともあるトリプルスリーという目標についての問いには、「まだ絶望してません」と笑って答えたとか。「まだ行けると思います」と素朴な答え方をしない所に、内心の反骨精神、へそ曲がっぽさが滲み出てると思いませんか?
アイドル性100%のくせに、キャラは意外と面白みを感じさせる藤原。彼に感じるワイルドさは、狼よりコヨーテの魅力。昨夜のホームランは、そんな彼の個性がよく出た、ちょっとダークで味わいの深い1本だと思いました。雨がかなり強くなり、それでなくてもピッチャーにとって厄介な状況の中で、相手の田嶋は同点打を打たれてガッカリしている。そのそぞろな気持ちを見透かしての初球狙いがまんまとハマった。しかも、心を砕くにはもってこいな特大と来てる。爽やかイケメンらしくもない「いけず」な1本でした。
春先は絶不調で2軍送り。しかし戻って来てからは、バッティングでの下半身の送り方などに、松中臨時コーチの教えをとうとう体得したかと思わせ動きを見せています。五輪期間中に鍛え直したそうですし、今年こそ、このまま突っ走っていただきたい。
「○○君かわい〜」じゃなく、コロナ自粛さえ忘れるほど熱狂的に「キャーーッ!」って叫ばせるアイドル選手って、滅多に出るもんじゃありません。どんどん畜生なホームランやヒットを増やし、「いけずやわぁ」ってファンをうっとりさせほしい藤原です。