フィールド オブ パリーグ           -パ主義野球ブログ-

なが〜く愛してきたパ・リーグをゆる〜く語るブログ、フィルパリです。

【2021パ・リーグ】コロナ禍の急激変貌に対応できた上位チーム【振返り前半】

<
にほんブログ村 野球ブログ パ・リーグへ
にほんブログ村 野球ブログへ

f:id:Stadienne:20210531190041j:plain


日本プロ野球の長かった1年が終わりました。
順位を誰も予想できないような激動の展開になったパ・リーグを振り返ります。
前半は、今年の上位3チームから。

 

総評

明らかにコロナ禍の影響に翻弄された展開でした。
コロナ禍が始まった去年から、大きく変わった流れに各チーム対応に追われました。

 

その中でパ・リーグの球団は、この機会に一気にチームの構成を変える道を選んだように見えました。
数年前に主力選手のピークが来ていて、若手への切り替え時期だった所も多かった。
通常であれば補強などして少しずつ切り替えるのが、コロナ禍の影響で思うに任せないし、収益減少も非常に大きい。
たとえ今年が手薄になっても、自チーム内の若い選手の活用で以降に備えていこう。
そう割り切って徹底した感じです。

 

去年のトライアウトが厳しい結果だったのも、自チーム内育成傾向が強くなった影響があるかなと思いました。
パ・リーグにトライアウト入団選手は、オリックス採用の若い田城1名でした。
その田城も1年後の先日は戦力外となっています。
テレビ番組などで注目を浴びたトライアウトですが、今後採用は一段と厳しそう。
延長戦が復活すれば、投手のチャンスは増えそう。
助っ人選手も入国制限の影響が大きく、元々あまり頼っていなかったり、NPB経験者が回遊していたりが多いパは、新規の実力者を発掘し損ねました。

 

そんなこんなで、今年は若手や新興勢力の選手が目立ったチームが上位でした。
逆に、去年まで強さを維持する必要があったチームは、変革し損ねてしまった。
順位表を見ると、そんな印象が強いです。
各チームを、まずは上位3チームから振り返ります。

1位 オリックス

オリックスは、去年からいち早く若手や新興選手への切り替えができました。
去年早々とペナントレースから脱落したおかげ?で、一番過激な改革に着手でき、しかもそれがほぼ全員当たるという奇跡的な成功で、最後まで頑張れました。
頑張った若手や新興選手、多過ぎて書き出せないくらいいました。

 

交流戦優勝まではありそうだけど、部外者は誰もが後半は息切れすると思ったはず。
それが、

・コロナ禍ルール変更(延長なし)や五輪休みで層の薄さ、経験不足を乗り越えた。
・弱みを見せた2強を叩く戦法(エース当て)で、ゲーム差を縮めさせぬ策が当たった。
・投手陣は勝ち頭2人以外弱かったのに、休むと復活してくる魔法の抹消も効いた。

などなど、
大向こうを唸らせるような試合運びで、混パ(古い)を勝ち抜けてしまいました。

 

元々から投打に、山本由伸と吉田正尚という、頭抜けた柱がいたチーム。
そこにさらに、帆をかけ櫓を漕ぐ選手が増え、加速する船になりましたね。
時流に乗り、風を読み、幸運の尻尾を掴んで離さなかった見事な優勝でした。

 

日本シリーズまで行くのは、戦力的にはさすがに計算外だったかもしれませんね。
パの過酷さ考えると、来年またこの選手層で勝ち抜くの大変だよなー。
勢いで運命的・劇的な日本一になっておきたかった、って思う人の気持ちもわかる。
でも、勢いだけでは勝てなかったこと、心底悔しい思いをできたことは、本当に強いチームになるためには良かったんじゃないかな、と思います。

 

2位 ロッテ

ロッテも去年から若返りに着手していたチームです。
去年は、ぎりぎり最後の方まで安田を4番に置き続ける一方、佐々木朗希や藤原恭大は安易な起用をせずに大事に使うなどして備えていました。
安田は今年は不調でしたが、佐々木や藤原は活躍を見せ、山口という有望株も登場。
また、新興選手としては、チーム状態を早め早めに見極めて中途補強した選手(国吉、加藤等)が、非常に適切に配備されて活躍しました。
生え抜き新興選手としては、後半の小島の覚醒っぷりが目立ちました。

 

ただ、彼らが1年間定着して活躍できなかったというのは、地味に弱みかと感じます。
特に若手選手の一瞬の活躍はよくあることで、チームに勢いをもたらすほどの力になるには持続力がほしい。
藤原なども、月間MVPを取った勢いがあと半月でも続いていれば、と思う。
不運なケガもあったとはいえ、その後の沈み方が激しすぎるのですね。
また、朗希のたくましさがもう少し早く表出してローテに入れていれば、投手に絶対的な柱がいないチームなだけに、後半の戦いがずいぶん変わったでしょう。

助っ人選手がパ・リーグで唯一機能していたし、縁の下の中村奨吾や藤原もそこそこ通年頑張ったし、荻野が妖精から現人神に変身して通年大活躍したからこそ、その間を埋める若手や新興選手が、もう少しでも長く活躍できていたら優勝行けただろうに。
マーティンのケガにしても、代わりに思わぬ活躍をして目を引く選手が不足してた。

去年も今年も、首位になるチームの勢いにまくられて2位のロッテ。
しぶといし、安定した力はついてきています。
コツコツ持続力のある選手が多いので、あとは弾ける力が線香花火にならないように。
悔しい連続2位を経験した若い選手に期待ですね。

 

3位 楽天

去年も今年も、優勝争いの戦力と予想されながら、結果は期待を下回りました。
どうしてもすぐ目に見える結果が欲しいということで、補強をまず頑張っている。
だから新戦力はいつもあって、今年も、マー君や炭谷などの実績組が加わりました。

 

だけど、新戦力イコール「新興」じゃないんですよね。
「新しいものが興ってくる」っていうパワーが少し足りないかなあ、と感じてしまう。
実績十分な補強組が多いせいか、その落ち着き払った雰囲気に支配されがち。
若手もおとなしく感じてしまいます。

 

今年は、新人投手の早川がすごく頑張ってたけど、彼ももはやベテランの雰囲気。
投球術タイプで、周りまでポカポカする若いエネルギーを発散する感じではない。
投手陣の新興選手と言えたのは、瀧中と安楽の2人でしょうか。
瀧中はロッテの小島的な活躍。
9月に突然開眼したかのように、防御率が0点台突入。
去年大車輪の涌井がバテた代わりを十分務めました。
安楽も、松井離脱の穴をカバーしましたね。
ただ、この2人もちょっとおとなしいかな。

 

野手の方もなかなか、パーっと明るくなるような若手や新興組が目立ってこない。
そんな中で、本当に後半の後半になって、ベンチを明るく照らす選手が出ました。
山﨑剛ですね。
チームの雰囲気に巻き込まれない弾け感があった。
それと、渡邊佳明もいいタイミングで活躍できました。

 

この2人の活躍したタイミングがすごく良かった。
2人とも瀧中と同じく9月から。
8月までの月別打率を見るとわかりますが、本当に9月突然ブレイクした感じ。
マークされたりして落ちてくる前に最後の順位争いを戦えました。

 

ロッテは、新興選手の活躍のばらつきが惜しいなという感じでしたが、楽天の場合は、短い期間だけれど、9月からに3人も集中して大活躍したのが良かった。
3人の新興選手の活躍が、ソフトバンクとの3位争いに勝った要因と思います。
彼らが出てこず、落ち着いた大人しいムードのままだったら、Bクラスだったかも。
毛利元就の3本の矢、みたいな感じですね。

 

3本矢組も来年同じように活躍できるかどうかは、まだわかりません。
楽天が来年こそ優勝につき進むためには、やはり、1年通して活躍するエネルギーの高い若手や新興選手たちが伸びてくる必要があると思います。