深堀りしない軽いログ記事。七夕短冊企画やら花火大会やらで彩られていた先週のパ・リーグ。打席が回ることさえ少なく、一番地味な役割を担っている選手が、目一杯自分を表現してしぶとくきらめきました。彼らの活躍は、七夕の星や夏の夜空の花火のように特別な印象を残します。
■メークするのはムードだけじゃない熊代(L)
７月９日(土）西武・くましー(熊代聖人)。同点で迎えた８回無死の場面でヒットを打ったオグレディの代走に出てバントで２塁に進むと、この日のヒーロー長谷川のヒットで一気に本塁生還のナイスラン。ホーム上のタッチプレーは、一度はアウトの判定がリプレイ検証でセーフに翻るギリギリの攻防。
滑り込んできた熊代は、判定された瞬間にベンチに向かってセーフのサイン。表情も確信に満ちていた。若い選手だと自分の気持ちが先走ってしまうことも多いけど、くましーがあれだけ落ち着き払っていると間違いないんだろうと思えるものね。ムードメーカーのイメージが強いくましーだけど、今年はことさらに冷静沈着でいい仕事連発中。そこら辺りをよくご存知のパテレ、冒頭動画のサムネでくましーの名前が大きい。さすが。
くましーのこの冷静さは９回裏の無死３塁というピンチの場面でも発動。レフトを守っていた彼の所に飛んできたのは、犠牲フライとしては微妙なライナー。走者は一応タッチアップをしたもののホームは無理と見て３塁に戻るも、そこでタッチアウト。このプレーは、走者のボーンヘッドもあるけれど、素早く低くベース寄りにドンピシャ送球したくましーの好判断でもある。サードの平沼がちょっとでもジャンプしたりするような送球ならセーフになってた。
代走と共に守備固めが多いくましー。内外野守れて、しかも出てくる度にファインプレーしてる。状況判断が素晴らしい。出場は終盤が多いからダレてしまいそうなのに、ずっと試合に入り込んで流れに乗っている証拠。試合前からずーっとチームのムードメーカーしながらのこの切り替え。簡単に真似できやしません。これこそ彼が長きに渡って重宝されている理由かな。
そんな彼だけど、打つ方はなかなか任せて貰えない。１軍登録となった５月は４打席貰ってノーヒット。６月は打席無し。それでも今月６日のオリックスとの試合では、守備固めで出て延長戦となったが故に回ってきた10回の打席にチャンスを広げるヒット。この回の得点はならずも、くましーの久しぶりのヒットは大いにベンチは盛り上がり、それが勝利を呼んだ一因でもあり。
試合でのいい仕事が目立つくましー。もちろん、ムードメーカーとしても誰も真似できない味わいを醸し出す。今年はまあ、なんと言ってもナツオとの絡みが一番だな。少ない出番の中で、回ってきた役割を全部玄人仕事で果たすプロフェッショナルよろず屋さん。がんば。
⚾️ 夏央は正真正銘本来の意味での「可愛い」である
— スタジエンヌ・裕子 (@Stadienne) 2022年6月7日
枕草子の「うつくしきもの」。カワイイとかかわゆとかニュアンスではないな。くましー、ナツオのパパかい。 https://t.co/Ll5YzuRJHS
■スタイリッシュ弾で溜めまくってた思い解放の小田(B)
７月10日(日）オリックス・おだゆ(小田裕也）。久々に回ってきたフリーな打席で久方ぶりのホームラン。しかも、その１球前に特大ギリギリファウルを放ってからの打ち直し弾というのがスタイリッシュ。”小田裕也”と検索すれば、ふた言目には "イケメン” が付いてくるおだゆ。やっぱりやることがカッコいい。
2020年以来の１発。ランナー置いてとなれば2019年以来。優勝した去年からは完全に渋いバイプレーヤーの役目を担い、打つ方では犠打を任されることがほとんどで、好きなように打てる打席はほとんど回ってこないおだゆ。昨年のCSで脚光を浴びたサヨナラバスターも、彼が打つことは100パー無いと誰もが思ったからこそのミラクル。そんな立場にすごく複雑な思いを抱いてる。葛藤がある胸の内も、インタビューでは明かしている。
今年もずっと縁の下の力持ちの役割。去年よりさらに打席は減っている感じ。チームの不調に巻き込まれたか、ソツが無いはずの彼が走塁を失敗する場面もあったりして、フラストレーションがきっとずいぶん溜まっていたに違いない。そんな中で昨日彼に回ってきたのが、伸び伸び打って構わないフリーな打席。溜まってたモヤモヤをぜーんぶ吐き出すようなフルスイングが生んだホームランだもの、そりゃあ見てる方もスカッとするわ。
いつも自分を抑えて地味な仕事に徹しているおだゆに、いいお天気の屋外球場とびっしりのお客さんと楽勝のお祭りムードと甘いストレート連続２球。野球の神様が贈ったバラの花50本みたいな粋なプレゼント。イケメンは受け取り方までイケメンとわかった花火大会のナイター。ファンの人には最高な夜だったなー。羨ましいなー。
