8月26日(金)オリックスvs西武戦。オリ・山本由伸と西武・今井達也の同い年若エースが2週続けて対決。前回は先に降板の敗戦で唇を噛んだ今井が、今回は9回144球の熱投でリベンジに成功。由伸も勝ち負けつかず7回2失点と十分な好投でしたが、本人もコメントしているように、ちょっぴり後悔を残しての降板。前回の対戦が底流に流れた、ストーリーのある投げ合い。見どころたっぷりでした。
※試合動画(有料)
※前回(8/19)の両者の記事
西武は前回の森から柘植にキャッチャーを変更。柘植はここのところオリックス打線をよく抑えていたし、今井の気分転換にもなった感じ。柘植が年上とはいえ1歳違いと近くて気楽だからか、今井がすっかりマイペース。「ハァやれやれ」みたいにため息ついたり表情に気分出しまくり、間は取りまくり、おまけにサインには首を横に振りまくり。
そんなわがまま若君モード全開なエース様を受ける柘植が、また辛抱強い。どんなに首を振られても、困惑のそぶりも見せません。
「このサインでどうかな?だめ?、、、これは?、、、そーかあ、いやかあ、、、ん〜、ならばこれかな?、、、ピンとこない、、、じゃあ、、、」
と、若君がお気に召すまで延々とサインを出し続けてあげる。試合の流れや空気以上に、投手の気持ちを最優先。なだめすかして寄り添って、という献身女房役に徹します。でも、この日の若君、わがままなだけじゃありませんでした。最後に自分がうなずいた結果には、しっかり責任を持ったピッチングで応えましたねえ。そこがすごく立派だったと思います。
4回こそ、先制点を取ってもらった直後に四球がらみですぐに逆転されるという悪癖が出ちゃったけれど、その後は本当に我慢強く投げ通した達ちゃん。1点差や同点という拮抗した状況が続き、投手交代に試合が動くリスクがあるなと誰もが考える雰囲気です。球数過多を承知の上で9回を投げ切り、しかも相手に流れを渡さない力強いピッチングを最後まで全うした姿が、確かに仲間を勇気づけました。エースに無理させてヘロヘロになられちゃったら、野手にも負い目の気持ちが出ちゃいますものね。
去年も今井は、由伸との対戦のリベンジマッチに勝っています。球の力、スタミナ、負けん気。今回も、やっぱりそのポテンシャルが只者ではないことを知らしめた達ちゃんでした。
一方の由伸には、いつも以上のプレッシャーがかかった試合でした。前日に、なんと中嶋監督のコロナ陽性が判明。その肩には、水本代理監督の急遽の初陣を担う重責がずしり。1回は素晴らしい立ち上がりを見せた由伸。しかし、チームの空気は初回・2回と立て続けのエンドランの失敗から急激に重くなり、由伸の表情にもどこか硬さが漂い始める。そして4回、先頭打者の天敵・源田にヒットを打たれると、内野ゴロの間に1失点。
さらに、仲間が逆転して勝ち越した1点を守る7回、先頭の山川に痛恨の同点ホームランを被弾。完全に抜け球の失投でした。その前の6回を3凡で終えてベンチに座った由伸の表情に、ちょっとだけエアポケット感があったんですよね。すっごいホッとしてるんです。パテレなどの動画が確認できる方はご覧になってみてくださいな。6回は西武打線は1番から。前回打たれまくった外崎や天敵・源田、この日も既にヒットを打たれている強打者の森と続きます。この打順を至極あっさりと切り抜けたことでものすごく安堵したんじゃないかな。そして、6回裏の仲間の攻撃は走者を2塁まで進めて時間がかかりました。
この、ホッとした直後にまた少しベンチで気が抜ける時間があった、というところがアヤだったかなあって思います。マウンド上での集中力を出すには少しラグが生じちゃったんじゃないかなって。7回の先頭打者の山川と対峙しても、いったん抜けてしまった空気をすぐに戻すことができなかったようにスタは感じました。
失点としてはわずかに2点。でも、どちらも由伸なら防げたようにも思われる。きっと本人もそう思ってる。とはいえ、彼ほど優れた投手の手元を狂わせてしまうほど、チームの状況や試合展開が与えるプレッシャーは大きいのです。そして、優れた投手ほど、周囲の状況を敏感に察知する繊細さを持ち合わせているのです。
2週続いた若きエースの対決は、五分五分の結果となりました。その若さでチームの柱となる投手が、どれほど意地っ張りでデリケートな生き物か。そのことを教えてくれた2試合でした。前回試合の記事に貼ってなかったので、前回試合の動画もこちらに貼っておきます。
今後も熱い戦いを見せてほしい達ちゃんと由伸。同い年の良きライバルです。