プロ野球で今や欠かせないポジション。毎日のように坦々と準備を繰り返し、短い出番に力を尽くす。いかにもプロなしぶとさと味がある、この役目の選手達が大好き。ということで中継ぎウォッチングとしてシリーズ化しています。
前回記事の、オリックスの選手メンテナンス力を示す一例として、山﨑颯一郎を挙げました。今やすっかり噂の主。まああ、そりゃそーですわ。元々ルックスの華やかさは天下一品。それが春にファーム落ちして消息不明に。数ヶ月後ひと回りがっちりした逆三角形サイボーグ体型になって戻ってきたと思ったら、バンバン豪速球投げ込むわ、課題の制球はすっかり改善されてるわ、ピンチでニヤリと笑う強メンタルになってるわ、現状は非の打ち所がない状態。仮面ライダーレベルの魔改造だもの。
モデル並みルックス投手の華麗なメタモルフォーゼ。どんな風に変わっていったか探らずにいられましょうか。探りますよ、フィルパリは。
■彼の今年の動向を辿る!
※添付した動画や成績等資料で、パ・リーグcom.の試合イニング動画とオリックス公式ファーム情報はたぶん有料閲覧です。ご覧いただけない皆様は悪しからずご承知おきください。
開幕直後
先発で不安定な投球が続く。
4月17日
先発で4回1/3で降板。
4月25日
1軍登録抹消。
※この間もう1試合登板あったらしいのですが記録見つかりません。
5月8日
ファームで先発し、その後消息がぷっつり。
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— イージースポーツ (@easysportsjp) 2022年5月8日
見逃し公開中🌹
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⚾️ウエスタン・リーグ⚾️
オリックス #山﨑颯一郎 投手‼️5回を投げ無失点🐮
ここまでわずか1安打に抑える好投😎✨
🆚オリックス vs ソフトバンクhttps://t.co/hTU3LHvWDZ#プロ野球 #ファーム#イレブン・オリックス pic.twitter.com/6bVpagSvI8
7月31日
久々ファームで中継ぎ登板。
8月3日
ファーム2度目登板は先発で2回を好投。
8月9日
ファーム2度目登板は先発で2回を好投。
🧢夏の甲子園2回戦🚩
— イージースポーツ (@easysportsjp) 2022年8月12日
オリックス #山﨑颯一郎 投手🐮
京セラドームで関西対決‼️🏟️
力強い直球を投げ込む🔥
初回三者連続三振の立ち上がり✊❤️🔥
📅8月9日(火)
🆚オリックス vs 阪神https://t.co/5tEHpc9aMG#プロ野球 #ファーム #イレブン・オリックス#敦賀気比 pic.twitter.com/yqYEFaJUA8
8月14日
ファームで中継ぎ登板1回2失点(自責1)
※試合動画イニング再生は有料配信pacificleague.com
8月20日
ファーム中継ぎ登板2回無安打無失点5三振
8月24日
ファーム中継ぎ登板1回無安打無失点
8月28日
1軍登録。
緊急代役先発で3回好投。
動きが活発になったのは8月20日から。急に20日、24日と間が詰まり、そのまま28日に1軍へ。28日が先発になったのは、予告先発だった椋木が試合前に負傷したための緊急措置。その日とその後のリリーフも3イニングくらい投げて、非常に安定した投球。チームはちょっと先発が苦しくなっていたので、颯ちゃんも先発に戻すかなと思ったけれど、中継ぎでピタッとハマっちゃった。宇田川とのリレーがあまりにも強力で絵になって、動かす理由がみつからんですわ。同い年の宇田川とはいつも一緒で仲がいい。同時期にそういう仲間が周りにいたのも良き巡り合わせ。
※颯一郎と宇田川の関係性がわかる記事
開幕時の不調からのファーム落ちした後に心配された、5月8日から7月31日までの間のブランクについて、優勝インタビュー動画では、肩を少し痛めていたとのこと。その間はトレーニング(体作り)の方をたくさんやった、と本人談あり。
つまり、試合で結果出ない➡️ファーム落ち➡️力み投げで肩痛くなる➡️投げられないからトレーニングで体鍛える➡️モデル体型が完全にサイボーグボディになる➡️痛み取れたのでフォーム修理に入る(たぶん)➡️体強くなってるからいい投げ方できる➡️元々の速球が豪速球になる➡️体強くなってて制球も良くなる➡️安定投球➡️1軍登録➡️中継ぎやってみたら加減なしで投げられる➡️最初からアドレナリン全開で行ける➡️目立ちたがり気性にもぴったし➡️無双中継ぎ爆誕←イマココ
さて、この過程で一番の謎は「痛み取れたのでフォーム修理に入る(たぶん)」。
8月28日に戻ってきた彼のピッチングを見て、誰もが「あ、なんか変わった⁉︎」と感じたはず。体がデカくなった。でもそれだけじゃない。なんか投げ方のスケールもデカくなってる。じゃあスケールって何?って話ですよ。どこがどう変わったのか、具体的に把握したい!。
■フォームの変化を探ってみる!
ということで、春キャンプのブルペン投球と直近秋CSでの投球を比較して、目立つ相違点を挙げますネ!。その後、動向中のどこでメタモルフォーゼしていったか探りましょう。写真では、左足膝と右腕肘の位置にご注目!。
<山﨑颯一郎(B):春キャンプ(2月)と秋CS(10月)のフォーム比較>
※記事内容説明のため下記引用元動画を一部写真で提示
●A(紺ユニ):春キャンプ2月6日投球
(オリックスバファローズ公式YouTube動画クリップより)
●B白ユニ姿:秋CS10月14日投球
(パーソルパ・リーグTV公式YouTube動画より)
●ABフォーム比較写真①:踏込み足を引き上げた時
![]()
●ABフォーム確認②:足を踏み出す直前
![]()
いかがですか?。
前もってご注目くださいと書いた左足膝と右腕肘の位置が、スタが一番変わったなあと感じた箇所。
●左足(踏込み足)膝
・膝をグッと胸に引き寄せ高い位置に。
・足首の力が抜け踵位置が体の近くに。
・①の背筋と左足での形が緩んだ「ん」
からキュッとタイトな「N」に。
●右腕(投げる手)肘
・過剰な脇締めを止めて前方に出す。
・胸前で固めず足の動きと合う動き。
・①で背筋と腕での形が窮屈な「ト」
からゆとりのある「ん」に。
●足上げ時の左膝と右肘の位置関係
・右腕肘と左足膝が接するほど近くに。
・左足踏み出す際グラブより膝が内側。
つまり、軸はシャープに細く、より1本芯が通る感じになり、懐はゆったりと深くなった印象。肘の位置は脇の締め方と関係ありそ。
スタはバレーボールやってたけど、レシーブの際、あまりギュッと脇を締めると腕の自由が利かない。脇の下にタオルを挟んで落ちないぐらいに締めるけど卵を割らないくらいゆったりと、って意識したんですよねえ。そうして懐が深くなると腕の扱いが楽になりイレギュラーバウンドにも対応しやすい。なんか颯一郎の脇の締め方に同じようなニュアンス感じる。
余談でした。
こうして颯一郎の左膝と右肘の位置が変わったら、投球の何に影響したのかな?。ここから先は妄想の羽を広げましょう。
●フォームがちょっぴり変わった結果
・体近くから足を降ろす踏込みで
足の振り幅が小さく済む。
⬇︎
踏込みのブレが安定し制球改善。
・高身長者の胸まで足を上げた踏込みは
位置エネルギー大きい。
⬇︎
勢いつける足や腕の振り少なくて済む。
膝も深い曲げ不要。つまり、
突っ立ち投げで高い位置から
投げ下ろせるようになる。
・膝が高く上がる分踏込み幅も広がる。
⬇︎
前への推進力が上がり球速アップ。
・脇締め緩めたら腕の余分な曲げ伸ばし減。
⬇︎
腕の動きが安定して制球が良くなる。
・脇締め緩めたら、腕旋回のスケールが
肩〜肘の長さ分伸びる。
⬇︎
無理に腕を引いたり力んだりしなくとも
自然にスピードが乗る。
考えてみたら、自分で片足上げて振ってみても、体から離れるとぐらついちゃう。で、お尻を下げてバランス取りますもんね。なるべく体の近くに足があったほうが安定するに決まってる。
でも、颯一郎のように長い足を体の近くに、胸の高さまで引き寄せるって大変💦。今年、ロッテの佐々木朗希を現地で見られたけど、彼もあのとんでもなく長い足を胸まで上げる。それでも後半戦は、解説者の牛島氏に「フォームがほどける」って言われてた。春の颯一郎も、いわばフォームがほどけた状態だったんでしょうね。
⚾️ 朗希いい時に比べるとタメがない評につき
— スタジエンヌ・裕子 (@Stadienne) 2022年9月15日
生で見たら、あのとんでもなく長い手足をキュッと縮めてタメること自体がただごとでなく凄いわ、と感嘆したし、それをほどかずに投げ込み続けるのは並大抵のことではないとつくづく思いました、ハイ。https://t.co/1j3OOmEWnG
■フォーム変化の過程を追う!
さて、春と秋で華麗にメタモルフォーゼしたオリックスの投手、山﨑颯一郎のフォーム。最初に書いた彼の動向のどこでフォームが変わっていたか、できる限りで追ってみます。
4月17日、5月8日
ファーム落ち直前の試合とファームの試合。
パ・リーグcom.の試合イニング動画をGoogle Chromeでスロー再生して確認。
当然ながらキャンプと同じようなフォーム。
その後肩痛で体強化トレタイム。
7月31日
ファーム3試合目、5回から登板。
熱心なファンの方のありがたい写真ツイートがありました!。
逆位置から取っているのでわかりにくいですが、ツイートした方には変えようとしていた印象が伝わった模様。
試合イニング動画スロー確認したところ。膝は高いが長くキープできておらず、踵の位置も遠目で、まだまだ「ん」の字形。「ほどける」感じがありますね。でも、その動きの中の最後の方に、膝を胸に引き寄せる瞬間があって、それが動きのダイナミックさを生み出し初めていたのかも。
未放出はここらへんになるけど、颯ちゃんが変わったと感じたのがこの富田林のファーム。
— 桃カワウソ (@happytry_east) 2022年10月4日
春先に見た時よりも球威が増していて、なんかわからないけどレベルアップしていたのは感じた。
後半戦、大事な試合にたくさん登板して、ここまで中継ぎで活躍して嬉しかった。
(2022.7.31富田林)#山﨑颯一郎 pic.twitter.com/Rn9vBbK8w0
8月3日
3回から登板。パ・リーグcom.の試合イニング動画スロー再生確認。
まだ、膝はちょっと遠回り。でも前回よりは高い位置キープできてる感あり。
8月9日
先発で1回、2回と2イニング。
無走者でもクイックモーションで投げていて、膝位置確認できず。
が、イージースポーツさん動画見て!。
ほら、肘位置に変化が!。
脇締めが緩くなり、肘位置が前になってますよ。
この緩やかな肘位置をキープしようとの努力に違いないところを、またまたファンの方が貴重な動画に収めてくださっているツイートを発見!。ありがたいですね😭。なんていい時代なんでしょう。これでレシーブ練習のタオルとタマゴも思い出したのです。
🗓22.10.15
— ソ1️⃣ (@so_ichi63) 2022年10月17日
1人でこのトレーニング黙々とやってたそちゃん✊🏻🌟#山﨑颯一郎(#山崎颯一郎) pic.twitter.com/M8eE2ThW9s
8月14日
7回に登板。イニング動画スロー確認。
膝寄せが早くなり、肘の位置と近くなってました。
失点しましたが途中経過で心配ない事象ですね。
8月20日
7回8回に登板。イニング動画スロー確認。
ハッとしました。
❣️👉足上げがスムーズになりスッと膝を胸まで引き寄せる!
前回まで左足が地面から離れる瞬間に蹴るような動作があったんですが、この日はとうとうこれがほとんど無くなりました。
❣️👉右肘の位置も自然に離れてる。
脇締めゆったりで左膝と右肘の位置はぶつかるくらい近い。
❣️👉踏出し直前は膝をグローブの内側まで引き寄せる!
ここまでの動作を全然力む感じなくスッと自然にしてました。
颯一郎の蝶のように華やかなメタモルフォーゼはこの日完成!、、、したに違いない、とスタはまたまた妄想します。この後1回の登板後1軍での衝撃復帰登板とあいなったのですね。
明日から日本シリーズですが、颯一郎もまたきっといいピッチングを見せてくれるでしょう。その後は間が開くけれど、このスタイルを忘れることなく来季も大活躍してほしい。
いかがでしたか?。プロの練習を素人が妄想してもピントが外れているでしょうけれど、クイズ問題の◯◯探しをやっているみたいに楽しいですよ。皆さんも気になったら時々こんな暇つぶしはいかがでしょう。