フィールド オブ パリーグ           -パ主義野球ブログ-

なが〜く愛してきたパ・リーグとファイターズをゆる〜く語るブログ、フィルパリです。

【捕手ウォッチ】沖縄でベテランと若手それぞれの魅力を堪能【伏見寅威・梅林優貴・古賀悠斗】

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沖縄西武vsハム第2戦概要

 さて、スタンドの指笛応援の温かさに感動した沖縄セルラースタジアムでの西武vs日本ハム戦。初戦は日本ハムが平良と伊藤の素晴らしい投手戦を制しましたが、翌日の第2戦も投手戦となりました。初戦よりはちょっと拙攻も目立ったのですが、それでも両チームの投手の頑張りが素晴らしかった。

 西武の先発は、前日の平良に続く沖縄出身投手、與座海人。対するハムの先発も沖縄出身の上原健太。地元の方々の応援はこの日も熱かったです。故郷への思いを胸にその雰囲気に応えた両投手、勝敗は付きませんでしたがナイスピッチング。

 中々得点が入らない膠着状態のゲーム展開で、継投の隙を突いて先取点を奪ったのが西武。こちらの中継ぎ陣は、8回の森脇パパも9回の増田も走者は出しましたがしっかり投げきり、そのままハムを完封して勝ちました。

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沖縄開催西武vsハム3人の捕手

 

 2連戦だったこの対戦、スタは投手の好投を引き出した捕手たちに目が行きました。ハムは初戦が伏見寅威、2戦が梅林優貴、西武は2戦とも古賀悠斗。蒸し暑い南国の球場で、防具をまとった捕手たちは汗をいっぱい流しながら、それぞれの個性で一生懸命投手を引っ張ってみせました。

 ハムの寅威(伏見)はオリックスからFA移籍したもう11年目のベテラン選手。1軍レギュラーでの捕手経験は実質3、4年ですが、オリではリーグ優勝や日本一にもなって経験豊富。梅ちゃん(梅林)は4年目ですが、1軍マスクは去年が初めてで、出場数もまだまだ少ない。今年は1度目が雨で流れたので、実質この沖縄が初めてのスタメンマスクでした。

 西武の古賀っちはまだ2年目。主戦捕手だった森がFA移籍で抜け、後継の柘植が2軍調整という中、経験が浅いのに多くの試合を任されて、色々苦労の真っ最中。リードの勉強や打撃練習に打ち込む暇もないでしょう。チームの成績が悪くて辛い思いもたくさんある中、必死にホームベースを守っています。

 3人とも、主軸級の打撃力があったり爆肩で派手に目立ったり、というタイプではありません。どちらかといえば、コツコツと投手を支える縁の下の力持ち系捕手。2試合連続の投手戦は、そんな彼らの献身も浮かび上がらせてくれたのです。その3捕手の様子をウォッチングしたいと思います。

※記事中にある「配球」はスポナビ一球速報を参考にしています。動画は前回記事とダブりがあります。

 

頼もしさの伏見寅威

 アキレス腱断裂から捕手に復帰した頑張り屋で、スタは滅法推しています。見栄えのいいがっちりタイプの体型も良いし、何よりリードが好きなんですよね。もし「伏見寅威はどういう捕手か」と聞かれたら、「彼は味方の投手を諦めない」って答えたい。

 技術の上手い下手はど素人のスタにはわからないけれど、投手の調子が悪くてもなんとか持ちこたえさせよう、失点してもなんとか最小限でとどまらせようと、次の最善の一手探しに集中し続ける。その諦めの悪さが好きですね。

 さて沖縄の初戦、彼はまず、先発の伊藤大海をぐいぐいと牽引しました。危なげなかった伊藤が6回ちょっと不運な当たりのヒットから1失点し、なお1死2塁と続いたピンチ。追加点は絶対与えたくない場面で迎える打者は主軸です。ここを、まずは4番の渡部に対し変化球の連投で空振り三振を奪うと、5番のおかわりくん(中村)はストレート2球で追い込み、なんと次のスライダーで見逃しの3球三振。

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 このおかわりくんへの配球が実に面白いんです。それまでの2打席、最初が全球ストレート(結果:死球)、次打席初球打ちでツーシーム。ですからこの6回の打席の最初の2球まで、全部ストレート系の球。そして最後に、大事な場面用のとっておきの変化球で3球勝負に行ったわけです。この見逃し三振は、投手の気持ちも高揚させる成功で、伊藤は次の回もすっかり立ち直って試合の流れを引き寄せました。

 現地で見ていた時は、なんだかおかわりくんとの勝負うまいこと行ってるなあ、と感じただけでしたが、後から球種の記録を確認したら、対戦プランは最初の打席から練られていることがよくわかります。おかわりくんに対しては、8回の2死走者1、2塁の場面でも、投手・池田で見逃し三振。こちらの最後のアウトローには寅威のフレーミングもひと役買いました。

 さらに、寅威は9回の走者2塁の場面でも、西武のベテラン栗山を3球三振に打ち取っています。投手は田中正義で、3球とも持ち前の剛球ストレートでした。この場面は、現地で見ていても3球勝負しそうな感じがありました。最初の2球でだいぶ差し込んでいたからです。セルラースタジアムは照明がやや暗め。見えづらさも計算に入っていたかもしれません。ハムの公式有料動画Miru(ミル)で、寅威が駆け引きを感じる対戦相手のひとりに栗山を挙げていました。裏の裏をかいた読み合いを楽しんだことでしょう。

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 とにもかくにも、この日、ピンチをことごとく三振で逃れたのは本当に見事でしたね。もちろん投げ切った投手陣が全員素晴らしかったのですが、その決め球の1球を引き出した寅威のリードが際立った試合です。推しの良さフル発揮で大満足しました。

 最近ちょっと出番が減ってファンをヤキモキさせていますが、それは色々チーム内の事情もあるわけで、ベンチの信頼が揺らいでいるとは思いません。緻密に計画を立て、状況にアンテナを張り、投手たちをなだめつすかしつして集中させるベテラン捕手の頼もしさ。チームが一番大事な時にまた目立ってくると思っています。

 

 

キビキビフレッシュな梅林優貴

 沖縄の西武vs日本ハム戦、第2戦でハムの捕手を務めたのは梅林優貴。6月の初めに1軍登録されたものの、最初のスタメンだったDeNA戦は雨で流れる不運もあって、中々出番が巡らずにいました。そんな中、沖縄の初戦を練習から、スタは「あ、これは梅ちゃん出番ありそう」って感じてたんですよね。だから、2戦目のスタメンを見た時の感想は「やっぱり!」でした。

 

 

 出番の気配、本当に練習中ぷんぷん漂ってたんですよ。捕手練習や打撃練習でひとり居残り特訓していたし、まあなんたって、山田バッテリーコーチがもうソワソワ落ち着かないんですもん。

 捕手ブロッキング練習でバウンドボールを投げてる山田コーチ、梅ちゃんがちょっと逸らしただけで「あああぁ〜!それやあ!それ止めんとぉ!」って指差して大騒ぎ。練習が終われば、身振り手振りで一生懸命なにごとかをアドバイス。打撃練習に向かう時でさえ、引き留めて何か言っている。もおお、気が気じゃない。孫が運動会のリレーに出るおじいちゃんみたいになってたです。

 

 

 今期初出場が慣れない地方球場ということで、山田コーチだけじゃなく、ファンも含めてみんながドキドキしてたと思います。こんなに心配されたら、「ちゃんとやらねば……」とド緊張するのとちゃうか?、なんて懸念はしかし、梅ちゃんには無用でした。打撃ではマルチヒットで目立ちまくり、守備もいい所を見せたのです。

 初回の守り、先頭打者の源田を大胆に3球三振に取ると、その後は好調な上原をぐいぐい強気に引っ張ります。前回登板はまあまあ良かったとはいえ今年はちょっと不安定さが目立っていた上原が、別人のように吹っ切れた投球を見せ、間違いなく今年一番の投げっぷり (冒頭動画参照)。

 故郷沖縄の空気が合う、と言っていた上原本人がもちろん素晴らしかったのですが、梅ちゃんのテキパキしたリードも大きな要因だったと思います。試合中、建山コーチからお褒めの言葉も出ていました。全く忘れていたのですが、調べたら、上原は去年好投した時のバッテリーも梅ちゃん。もしかしたら、ウマが合うのかもですね。

 冒頭の第2戦概要の通り、こうして緊迫の両チーム0行進となったわけですが、継投となった8回に、梅ちゃんの課題が顔を覗かせました。2番手の河野が先頭打者を出しながらも自らの好守備もあって1死2塁までたどり着き、3番手玉井に継投。しかし、曲者の外崎に打たれ、さらに渡部に四球を挟んでおかわりくん(中村)にもヒットで前夜のリベンジを果たされて2失点。結局これで勝負が決まりましす。

 この時の配球を見ると、外崎に6球、渡部に5球、おかわりくんに3球、だったのですが、梅ちゃんは玉井にシュートとカットボールしか投げさせてないのです。玉井も「?」な雰囲気がありましたが、そこは梅ちゃんの経験として任せたのかも。その後の打者に使った9球もほとんどその2種でカーブ1球だけ混ぜて、最後にストレートで3アウト目をやっと取った状態。(球種比較:7月12日の玉井と寅威が2打者13球で5種)

 もしかしたら、この日は上原予想外の好投で急遽継投まで受けることになったとか、何か事情の変更があったのかな。ともかく、梅ちゃんに意図があったのか球種を思いつけなかったのかはわからないけれど、継投になったらリードが単調になったのは事実。

 臨機応変な対応を要求される継投リード。今はここが梅ちゃんの課題かな。その後の出場を見ると継投の捕手を任されています。勉強ですね、きっと。逆に言えば、先発のリードは合格点だということなので、そこは自信を持っていい所。様々な場面の経験を積んでいってほしいと期待されたわけですね。

 彼のエピソードを探してみると、学生時代は全然遊ばなかったとか、プロの契約金を奨学金返済に充てたとか、真面目な性格を伺わせるものばかり。キャンプでも夜は公務員試験問題を解いていたというくらいの勉強好きだから、経験は何ひとつ無駄にしないでしょう。

 沖縄でのたったのひと試合で、そのキビキビしたフレッシュな動きでファンに好印象を与えた梅ちゃん。まだまだ1軍の道が開けたばかりのところだけれど、いい所をぐんぐん伸ばしていってほしいです。

 

※建山コーチがリードを褒める

www.nikkansports.com

※去年も上原と好相性

www.nikkansports.com

キャンプの夜は公務員試験問題で脳トレ

www.doshinsports.com

 

 

 

苦労を糧に発展途上の古賀悠斗

 沖縄でのハム戦で、西武の捕手は2戦とも古賀悠斗でした。開幕当初から主戦力の選手が欠けたりして苦しい状況が続くチームの中、まだ2年目の経験の浅さで、扇の要として試合に出続けています。打つ方の悩みも相まって苦しいことも多く、ベンチの中で頭を抱えていたこともあります。

 去年のルーキー時代を思い出してみれば、キャンプではもうヘトヘトになっていて、まだいた森に「古賀はまだまだ」と言われていました。本当はじっくり下で鍛えたかった選手でしょう。それが、森のケガなどで5月早々には1軍に上がることになりました。


 そこからの古賀は、チーム事情が重なってずっと1軍でOJT、実戦訓練状態です。しかも、今は主戦捕手の責任を負っている。本当に大変なんだろうと思います。

 沖縄の試合は、その直前に2試合でわずか2失点と好リードが続いて連勝していたので、この調子を続けたいと臨んだのでしょう。初戦は敗戦となったものの、やはり2試合で2失点で抑え込み、投手の頑張りを支えまくりました。

 初戦では、完璧な投球だった平良が、味方が先制した直後の回に逆転ホームランを打たれ、かつてないほどの動揺を見せた所を懸命に励まし続け、1点差でしのぎ切ります。

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 さらに9回にも、決してメンタル鋼ではないティノコが、エラー絡みで無死2、3塁→2死満塁という流れの大ピンチを迎えた時も、冷静なリードで無失点で抑えました。この我慢強いリードぶりが、初戦の対戦相手捕手だった寅威(伏見)と被る。

 実は彼と古賀は今年自主トレ仲間でした。その時に、寅威に色々と啓蒙されたことを古賀はコメントで語っています。

www.sponichi.co.jp

 

 そんなわけで、彼らが試合で会うといつも、挨拶したり言葉を交わす姿が見られるんですよね。もちろんプレーも意識しているでしょう。この沖縄の試合でも、寅威が冴えたリードで投手を引っ張ってピンチを切り抜ける様子を目の当たりにしていた古賀が、対抗心を燃やさないはずがありません。

 初戦は敗戦とはいえ立派な女房ぶりを発揮。さらに第2戦では、初回から走者が絶えず、3回には満塁にまで至った先発の與座を根気よくリードして立ち直らせます。継投では8回の走者が溜まった場面で見事な三振斬りをしてその裏の味方の先制点を呼び込み、前日のリベンジを果たしました。

 投手の不安定さや不利な状況にへこたれず引っ張り続け、コツコツ解決していく姿が、自主トレ仲間のベテラン捕手によく似ていると感じるのです。

 その後、西武は長い連敗が続き、古賀にも迷いが見えたりする時がありました。それでも毎日、一休さんみたいな丸い穏やかな笑みで頑張っています。直近では、強いソフトバンクに3連勝という最高の結果を出しました。特に、隅田、今井という、安定感の無い投手たちで近藤と柳田をほぼ抑えきったのは素晴らしい。

 しんどい中でも我慢強く成長している古賀が、自主トレの先輩と同じように「味方の投手を諦めない捕手」になるんじゃないかな、って心密かに期待しているスタであります。 

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