フィールド オブ パリーグ           -パ主義野球ブログ-

なが〜く愛してきたパ・リーグとファイターズをゆる〜く語るブログ、フィルパリです。

【澤村拓一】ロッテの " 帰ってきた用心棒 "【痛快復帰劇】

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 スタが子供の頃、テレビドラマでたくさん「痛快時代劇」をやってました。ファミリー向けで、基本的に明るく、ストーリーはシンプルで明快。そういった中で多かったシリーズドラマに用心棒ものがあります。一昨日の、メジャーに渡っていた澤村拓一がロッテに復帰、というニュースを見たら、用心棒もの痛快時代劇を思い出しました。

 スカッとしたんですよね、彼の復帰劇。スタはそんなにちょくちょく「スカッとする」ほうではないんです。十分トシ食ってしっかりひねたオトナなもので。どっちかと言えば、「物事には事情がある」と斜(はす)に構えているほう。だけど、今回はシンプルにスカッとしました。

 プロ野球の移籍話なんてものは特に「事情」の塊。「ええ〜⁉︎」と驚くようなニュースだって、色々思い返したり流れる噂話を見返したりすれば、「ふ〜ん、なるほどねえ」「そりゃそうなるだろね」と、すぐにクールな気分になることが多い。トントン拍子に進む話ほど裏は色々あるよね、なんて穿った見方もしてしまう。

 そんなスタが、昨日のサワムラー帰還のニュースでは、「おう!サワムラー、ロッテに復帰かい!。そりゃあ、何よりじゃねーか!」ってなりました。

「細けえ事情はいーんだよ!」

 なんだか江戸っ子みたいな、べらんめえで言いたくなっちゃう。ぽーんと膝のひとつも打ちたくなる。

 どうしてこの移籍話は、ひねたスタまで素直に割り切り気分にさせるのか?。不思議に思いましたが、彼がロッテに移籍した時からの物語って、展開がすごく明快で、節目に胸のすくカタルシスがあるんですよね。それが「細けえ事情」を吹っ飛ばしちゃう。

 その物語は、主人公澤村拓一(名前がまず用心棒ぽい)のどん底ぶりから始まります。熱望が叶って入団できた読売で、実績を残しているのになぜか歯車が噛み合わなくなりバッシングも受けたりする。そうこうしている内にファーム落ち、さらには3軍降格まで命じられる。億の年俸選手としては異例の扱い。

 セ・リーグの情報を追っていないスタでさえ、「どうしちゃったのかな?」と心配になるほどの状況でした。降格で奮起させて、というやり方で立ち直れそうな感じも無いよね……。何かメンタルの部分かも?、という気配が伝わってくる。

 ほどなくして、最初のびっくりニュースが伝わりました。ロッテへのトレードです。びっくりはしたけれど、環境を変えるしか残る手立てがなかったんだろうなって思いました。この突然の移籍は、とにかく細けえことを言ってる場合じゃないんだ、最後の手段なんだ、って理解できました。

 その後がまた急展開です。移籍発表の翌日には入団会見。その日の夜には選手登録されて初登板。ほんの数日前まで3軍でくすぶっていた投手が、アタフタと環境を変えられ試合に出されて大丈夫?😅。

 しかし、懸念は杞憂でした。あれよあれよと言う間のパ・リーグデビューは、周囲の懸念を吹き飛ばす劇的な大成功を収めるのです。彼にくよくよ考える時間を与えず、いきなり試合の重要な場面に放り込んだ吉井コーチの演出がすごい。澤村の笑顔も引き出す明るいムードでリードした、"助演男優賞" ※1 の捕手・タムタム(田村)も偉い。

 パテレですごい再生数を稼ぐ動画は、いつ見てもワクワクさせてくれる、サワムラー※2誕生シーンです。胸がすく。まさにカタルシス。

 ※1:彼がキャッチャーフライを落としたおかげで3者連続三振となった。
 ※2:人気ゲームのキャラ名とこの日の澤村の背番号が被ってついたあだ名。

 

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 彼の移籍物語、長い低迷からの、たった1日での復活劇の序破急が見事でした。まず、ここのテンポが痛快過ぎて、細けえ事情がどーでも良くなる。そして、その後日談がまたいい。

 当時、ソフトバンクと首位争いを繰り広げていたロッテに飛び込んだ用心棒の拓一は、その後もバッタバッタと敵をやっつける活躍を見せると、シーズン終了後にはメジャーへの道が開け、風のように去っていきます。と言って、出す方が未練たらたらだったり、出ていく方が後ろ足で砂をかけるような形ではありません。

 ロッテは、短期間でよくチームに馴染んで精一杯の貢献をしてくれたことに感謝しながら、送り出す。本人も、どん底だった自分を甦らせてくれたチームやファンに、心からの謝意と敬意を払いつつ、夢を叶えるのが恩返しと決意を持って新天地に向かう。両者、微塵の後腐れもなく握手して別れた感じ。

「いいねえ、さっぱりしたもんじゃねーか!。男はこうでなきゃいけねえ」

 ここでも、細けえ事情が吹っ飛びますな。

 その後、それぞれの道を歩んだ両者。澤村は、厳しいメジャーで立派な成績を上げるものの、評価は見合ったものではない。澤村の活躍もあって優勝争いを経験したチームは、その後夢の一歩手前まで行ったものの力尽き、ずるずると降下中。

 このタイミングで続編の始まりです。混乱が始まりそうなチームを再建する役割を担ったのが、自分を甦らせてくれた恩師と知り、おっとり刀で馳せ参じる用心棒サワムラー。

 澤村とロッテの物語は、まあ、どこまでもタイミングとテンポがいい。

 もちろん、澤村へのメジャー提示の条件云々もあるでしょう。でも、それも "細けえ事情" と思えるのは、彼のロッテへの恩義を感ずる気持ちが見る者に真っすぐ伝わるから。下で紹介するメジャー移籍後のパテレ企画インタビュー動画では、端的に率直に、当時の吉井コーチや大学の先輩でもある美馬の優しさに救われた心情を語っています。

 このインタビューを聞いて、スタは、ロッテでの初登板の時の彼の表情を思い出しました。リリーフカーに乗って入ってきた時は、明らかに表情が硬く見えた澤村。谷保さんが彼の名をコールしてファンが大拍手で迎えた時、表情がふと変わったような気がしたものです。

 自分の内側にばかり向いてた意識が、ふと、周りに気づいたような。応援されていることを肌で感じ、ちょっとびっくりして、それからぐっと高まっていったような。読売での最後の方では、彼が登板すると場内に不安な空気が漂う感じがありました。そういうものを弾き返すために張っていたバリヤーが弾け、雰囲気を取り込む表情に変わったように見えたのです。

 インタビュー動画では、この時の解説者ジョニー(黒木)の澤村に好意的な言葉にも驚いた、と言っています。マリンのマウンドに上がった瞬間に、彼は自分は歓待される存在なんだ、主役でいいんだ、という感覚を思い出せたのかな、と思いました。意気に感じるということが、彼には何よりの燃料だったのでしょう。

 今回の復帰劇では、彼は最初から主役の自覚を持って振る舞っています。記者会見に臨む裏側を、ロッテ公式動画がアップしてますね。長髪をまとめて結わいてヒゲを蓄え、ノシノシと胸を張って歩き、若いチームメイトたちに「よおっ」と片手を上げて挨拶する姿は、本物の用心棒の風格。

 ほんとにパ・リーグの水が合ったんだな、彼は。

 メジャーに行ってもロッテの試合をチェックしていたチーム愛。最初の移籍時と同じく、ノビノビイキイキ投げてほしいですね。豪胆で優しい姿も開けっぴろげに出してほしい。そうして、ちょっと不安定なロッテ中継ぎを支えてもらいたいと思います。

 がんば!。

 

※ロッテでの活躍まとめ(エラーのタムタムを慰める姿◎) 

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※メジャー移籍後のパテレインタビュー動画

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※ロッテ復帰記者会見の裏側。
カジー(梶原広報)動画の腕上がったなあ。

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