フィールド オブ パリーグ           -パ主義野球ブログ-

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【山﨑福也】バッターサチヤのハッピーナイト【交流戦観戦2023.6.16SvsB】

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 6月16日(金)、神宮球場での交流戦、ヤクルトスワローズvsオリックスバファローズの初戦を観戦しました。2年連続日本一を争った対戦です。ヤクルトは絶不調の最下位、オリックスは好調に首位争いと、今年の明暗はくっきり分かれましたが、カードの人気は高く、スタンドにはぎっしりのお客さん。

 驚いたことに、ビジター側のゲート付近にはオリのグッズのテントが2つも出て、どちらも行列ができています。過去のオリ戦とは全然違う熱気があって、燕ファンの皆さんが「オリックス人気すごいなあ」と目を丸くしていました。

 この日、オリの先発は山﨑福也(やまさきさちや)。オリの人気急騰の大要因である、実力・ルックス兼ね備えた先発陣の一角を担う投手です。だから元々期待値は高いのですが、交流戦のセ・リーグ本拠地の試合では、それが3倍ぐらい増し増しになる。なぜかというと、彼、投手としては別格に打撃が得意だからです。

 とにかくセンスがただものではない。高校生の時に出場した甲子園では大会最多安打タイ記録を樹立し、進学した明大では六大学野球のリーグ戦で3割を放つなど、語り草の打力の持ち主。打席に立たないパ・リーグに来ても才能は一向に衰える節がなく、セとの試合で打席に立つ度に話題になっている選手であります。

 去年の日シリでも、厳しい変化球をカットしまくったり見事タイムリーを放ったりしてその打棒は広く知れ渡ることとなりましたが、なんといっても本領を発揮するのが交流戦。直前しか打撃練習しないのに、セの本拠地での試合に出ると、毎年野手並みのバッティングを披露します。

 オリックスの公式動画では、交流戦間際にいつも、投手陣の打撃練習の様子をアップ。山本由伸や宮城大弥などやる気満々な投手が多いチームですが、サチヤ(山﨑)のフリー打はもう別格です。とにかく終始ウッキウキ。ルンルンとした足取りでケージに入ると、野手顔負けのスイングで鋭い打球を飛ばしまくり、時には楽々スタンド・インさせたりしています。

 今年の動画では、打撃練習が楽しみ過ぎて練習時間よりもはるかに早く球場に着いてしまい、ウロウロソワソワしている微笑ましい様子が伝えられていました。さらに、抜かりの無いオリ広報、今年はとうとう彼の打撃をピックアップしたグッズまで作って売り出してしまったんです。

 「バッター福也」のデザインタオル。スタも本当にポチりたかったところをグッと堪えましたが、かっこいいんですわ、これが。まあ、完全二刀流の大谷は例外として、バッターグッズを拵えてもらえる投手なんて、サチヤが初めてじゃないでしょうかね。

 

 

 さて、バッチリ準備して迎えたに違いない、神宮球場での先発。大学時代を過ごしたこの球場が大好きで、他のセ本拠地以上にイキイキと活躍することは去年の日シリで証明済み。伸び伸び度が増す交流戦となればこりゃあもう……って、ファンの方も期待しかないわけですよ。彼のワクワクが弾けるところしか想像できないわけですよ。

 ということで、試合前のグラウンドに出てきたサチヤくん。もう顔がね。緩みっぱなしですわ、抑えようとしても。ニヤニヤが止まりません。アップの足取りも、なんだか女の子のギャロップのよう。軽やか過ぎて、もしや鼻歌混じりじゃないかと思うほど。様子を見ているスタンドのオリファンも、つられてニヤニヤしてしまう。

 こんな感じで試合が始まり、まずはピッチングの立ち上がり。時々入れ込み過ぎて空回りする時があるんですが、今回の初回は、走者を出したもののしっかり3アウトを取ってスムーズに乗り切ります。今年の彼は既に5勝を挙げていて、かなり安定感を増してしています。

 そして直後の2回表。なんと、早々と彼にとっておきの見せ場が訪れます。2死走者2塁で迎えるバッター8番の廣岡、というところで、ヤクルトの高津監督は申告敬遠して9番サチヤとの勝負を選んだのです。

 いや、申告の瞬間の場内の雰囲気やばかった。ヤクルトファンは、元ヤクルトの選手だった廣岡の打席が見たくてブーイング。そしてオリファンのスタンドからは、「えええーー⁉︎、サチヤと勝負してくれちゃうのん?」という驚きと喜びのどよめきが巻き起こる。「うっそー⁉︎」って、スタも思いましたもん。

 「え?、いやいや投手ったってサチヤですよ?」

 「めっちゃ打撃練習仕上げてますよ?」

 「投手がストライク投げなきゃってなる場面だし…」

 「サチヤ歓喜で燃えあがっちゃってますが…?」

 「いいんすか? ほんとにいいんすか?」

 「なんとこんな願ったり叶ったりの状況が来るとわ」

 「うわぁぁ、ありがてぇ(感涙)」

 (以上心の動き)

 たぶん、オリファンの皆さん全員、スタと似た心境だったと思うんですよ。でもって、「こりゃ打つぞ」って思ったに違いない。

 さあ、そこから打席に向かうサチヤに対する応援の熱気が半端なかった。あわよくばっていう感じじゃないところが普通の投手と違いますな。「よしサチヤ、実力を見せてくれ!」と。「もう、好きに打っていいいぞ!」と。そういう拍手と大歓声。

 気の毒だったのはヤクルトのバッテリーでしょうか。投手のピータースは今年入団の外国人選手。なんで急にこんなに盛り上がっちゃってるのか不思議だったでしょう。捕手もこの日はムーチョ(中村)ではなく若い古賀だったので、そんなにサチヤの打力を知らなかったろうし、2人とも戸惑ってたかもしれません。

 1球目は速球系の球をファウル。2球目は変化球を外目に落としてきたヤクルトバッテリー。そんなに甘い球でもなかったんです。並みの投手なら、空振りか凡ゴロに打ち取られておかしくなかった。でも、相手が並みの投手じゃなかったんですよね。

 チームメイトの長距離砲ラオウ(杉本)からプレゼントされた幸せの黄色い手袋とリストバンドを付けたバッターサチヤ、華麗なスイングでこれを拾い、センター前に運びました。見事プロ入り初打点。沸きに沸くスタンド。

 1塁に達した時に時にはもう満面の笑顔でガッツポーズのサチヤくん。彼の笑顔、遠くからでもニコニコなのがよくわかる。子供の笑顔なんですよね、屈託がなくて。ただただバッティングを純粋に楽しんで邪気が無いのが伝わるから、スタの周囲の燕ファンも苦笑いって感じでした。このヒットからオリは3点先行します。

 

 さあ、これでもう気分アゲアゲだねえ、もう1本打ちそうだね、って同行のオリ姫さんと話してたらばその通り。ピッチングもノリノリになっていきます。一番の山場だったのは6回。彼はいつもこの回がポイントなんですが、やっぱりピンチが訪れます。

 無死満塁。この時はもう、「ほら次の回打席回ってくるよ!、ここで替えられたら打てないよ!」って心中で叱咤激励。絶対、本人もそう思ってたに違いない。ギアを必死に上げてこの回を1失点に抑えると、案の定、直後の打席で今度は見事な流し打ち。

 本当にきれいに、難なくボールの軌道にバットを合わせるんですよね。交流戦でこれまで通算2三振しかしていないという、野手も舌を巻くコンタクト力。試合は4対1でオリが勝ち、プロ入り初のマルチ安打のサチヤは勝利投手となってヒーローインタビューを受けました。

 まあとにかく躍動していたパッターサチヤ。1人舞台の夜でした。投げて打って。それだけじゃありません。塁に出ればまた、走塁が楽しくてしょうがない。盗塁でもするんか、というぐらい集中してるし張り切っちゃう。嬉々として野球していることが、一挙手一投足に表れてました。

 彼、練習でもそうなんですよね。キャンプや練習など見ていても、投内連携ひとつでもめちゃくちゃ楽しそうにやる。上手くできたらその度に満面の笑み。心底野球が好きっていうのが伝わってきます。彼に根強いファンがいるのは、かわいいルックスだけじゃなく、そういう純粋さも理由のひとつ。楽しむ姿勢はチームメイトも触発します。

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 オリファンにとっては最高に楽しい試合だった金曜日。「バッターサチヤ」はもちろんのこと、山﨑福也という誰よりも楽しんで野球する選手が大好きな野球を満喫する姿を拝ませてもらったことが何より嬉しい。

 サチヤもファンも本当にハッピーハッピーなフライデーナイトでありました。

 

 

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