フィールド オブ パリーグ           -パ主義野球ブログ-

なが〜く愛してきたパ・リーグをゆる〜く語るブログ、フィルパリです。

【最終日逆転】パCS争い振返りとCS 1stステージ展望【ロッテ・ソフトバンク・楽天】

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大混戦パ・リーグCS争いの結果

 10月10日、レギュラーシーズン終了しました。いやいやお疲れ様でした。オリックスの超独走で退屈な最終盤になるかと思いきや、ソフトバンク、楽天、ロッテの三つ巴となったCS争いが泥沼…もとい、白熱化。とうとう最終日にもつれ込むという、パ・リーグらしいっちゃらしい展開になりました。

 もうね、わざとやろうったってできないぐらい劇的でしたね。最終日だったはずの9日が、2試合のうち片方だけ雨天中止で翌日に持ち越しになっちゃうとか、最後の順位は勝ち率「毛」の差でひっくり返るとか。

 まあほんとに近年のパ・リーグ担当野球神は、シナリオに凝り過ぎ、遊び過ぎ。振り回される方はたまったもんじゃございません、まったく。

 

3チームの最終盤の戦いぶり

 しぶとい戦いぶりを見せたのは、最終戦に勝って2位に転がり込んだロッテ。佐々木朗希が離脱してからは青息吐息の状態になり、追い打ちを掛けるように発熱抹消が続出。たっぷりあったはずの貯金も底をつきます。が、あわやという所で思わぬタンス貯金が出てきましたね。

 それは谷保(たにほ)さんブースト。なんか気持ちを ハイにしやすいじゃないですか、谷保さんの声※を脳内再生させるのって。また聴きたい!ってなる。アドレナリンが出る。この効果、侮れない。特例抹消続出週間に「アカン手の施しようがない……」という感じの負けが続き、目がドヨンとしていた選手たちが生き生きし始めたのはこれですよ。間違いない。

 (※谷保さんの声:ロッテで33年勤めた名物ウグイス嬢で今年引退となった)

 

 ソフトバンクはCS進出したものの最終戦での3位転落は、去年に続いてしんどかったですね。最後の2試合の勝敗組合せで2位から3位に落ちるケースは確率9分の1しか無かったそう。その9分の1を引いてホーム開催を逃しました。この「9分の1」、去年最後に優勝を逃したのも同じ確率だったというから、やけに因縁めいて見えるところがまた悔しい。

 そして、CSに手が届くところまで行きながら4位に終わった楽天も残念でした。開幕直後の大不調で最下位まで落ちたところから巻き返し、相当勢いあったのになあ。

 いや普通は行くだろう、そのまんま。1週前だって3勝1敗でしかもオリックスに大勝して、残りの試合は今年分がいい相手だったんですよ。なのに、その勢いがしゅうぅ〜としぼむ辺りが今年の楽天だったのかな。

前回記事の展望とのすり合わせ

 そういえば、前記事が最終週の三つ巴の展望でした。3チームについて書いていたことと結果を、ちょっとだけすり合わせてみませう。今回は最終順位順に書きます。


🔹ロッテ(2位)

 ロッテは大変微妙です。直接のCS争い相手が少ない。でも、ソフトバンクと楽天が潰し合いをしてくれるので漁夫の利を得る可能性も高い。とにかく苦手オリックス戦の克服が重要。離脱者続出の中で残り試合が多いのは大変だけど、選手が気炎を上げ続けないといけません。

と書きました。
 前記事の時点では4位だったロッテ。とにかく連日発熱者が抜けていくホラー映画状態でボロボロでしたから、よくぞ立ち直ったと拍手ですね。打者も投手も成績の数字的なものは低いけれど、試合の中で巡ってくる少ないチャンスは石に齧り付いてでもものにする粘り強さが光りました。

 実は最終盤のキーマンは、角中、岡、石川(慎)だったんじゃないかなあ。この3人の代打でのしぶとさがヘロヘロになっていたチームを救った気がしますね。

 それから組合せ。3チームの中で一番ツキがあったと思う。オリックスがね、3試合のうち2試合まで投手見極めのテストモードでいてくれた。「克服」までは行ってなかったと思います。最後の試合でしゃんとされたら完敗したので。でも、勝てそうな試合をちゃんと勝ったからこその逆転2位。

 そして、弱っていたチームに「勝つぞ!」という「気炎」を揚げさせたのが谷保さんの引退だったと思います。なんかもうね、ガッツポーズする谷保さんが、ドラクロワの「民衆を率いる自由の女神」みたいなシンボリックな存在に見えちゃう。

 この勢いをCSでもキープして、戦力豊富な相手に市民革命的勝利を収めたいところ。 


🔹ソフトバンク(3位)

 ソフトバンクは残り試合に得意チームが無いのが不利。現状2位なのでCS枠はなんとかなりそうに見えるけど決して安心ではなさそう。とにかくめちゃ分が悪い楽天戦に勝つことですね。経験豊富な選手が多いけれど、昨年の最終盤にメンタルの脆さを見せたりもあったので、気持ちの強さを全員で思い出して臨みたいですね。

と書きました。
 ホームで対戦できた最初の楽天戦は、「ソフトバンクらしい気持ちの強さを思い出して」連勝。これでほぼCS枠を確定させたものの、2位確保のためのあと1勝が、残り2試合でできなかった。3日後の最後の楽天戦で3点リードを3ランで追いつかれて引分け。そして最終戦の相手オリックスは、今年ターゲットにして色々対策していた相手ですが、ルーキーの先発・曽谷を始めとする投手陣を攻略できずに敗戦。

 手痛いホームランを浴びたり中継ぎ投手が打たれたりする光景、いやでも去年を思い出してしまいましたよね。メンタルが弱くは無いけど脆さが残る。そんな印象はまだ拭えないかも。

 日程のアヤもあって、引き分けた楽天戦も、最初の2連戦から間を置かずに試合できていたら勢いに乗って勝てていたかもしれません。去年といい今年といい、何かペナントレース最終盤で運命的な流れを感じさせるソフトバンク。

 ポストシーズンでは試練を乗り越える強者の勝ちっぷりを披露したいところ。

 

🔹楽天(4位)

 楽天は得意チームとの対戦がほとんどなのが優位な点。でも、CS争いに直接関わる対戦が多いので油断はできません。しかし最近は戦いぶりにも非常に勢いがあります。取りこぼししなければCS枠ゲット1番手に見えます。最後の最後のドキドキを経験していない若手選手が臆さぬことが大事でしょうか。

と書きました。

 本当に、前回記事時点まではCS進出の勢いが一番あるように見えたチームでした。今季の対戦でもソフトバンク相手には優位で、特に8月9月は圧倒していたのです。残っていた3試合のうち、ひとつ勝っていたらと悔やまれます。

 連戦がソフトバンクのホームでの対戦だった、というのは相手に有利だったかもしれません。先発の田中将と則本が早々に失点したのが流れを渡したかもしれません。しかし、それ以上に、野手が硬くなって打てなかったのが敗因かと思います。楽天のソフトバンク戦の勝利は打ち勝った試合が多いのです。

 前記事では「若手選手が臆さぬこと」をポイントに挙げましたが、臆してしまった感じです。途中から飛躍した小郷や村林。ちょっと安定し始めた小深田や辰巳。後半の勢いを生んだのは彼らでしたが、9月に爆発していた打棒は10月には冷え込みました。守備でも硬い表情でエラーが出たりもしました。

 島内、浅村、岡嶋などのベテラン勢は10月の打率が高かったものの、間を繋ぐ若手の硬さを見て「自分が」という気持ちが強くなったのか、大事な場面では空回りしがちでした。

 それでも、CSに指が掛かる所まで行きながら、満員のホームでファンの願いを叶えられなかった悔しさを味わったことは得難い経験。来年はチームが刷新されそうですが、今回の経験はきっと巻き返しに役立っていくでしょう。

<参考>前回記事 

stadienne.xyz

 

名残の感想

 空前のCS争いを見せてくれた3チーム。おかげで、優勝チーム決定後の長い期間が沈滞せずにすみました。この緊迫した戦いの中で、どのチームも、CS争いをやれるだけの底力を感じさせました。と、同時に、優勝したオリックスを独走させてしまった弱さも垣間見えました。

 CS進出を果たしたロッテとソフトバンクは、1stステージを勝ち抜いても、戦力消耗した上で、強力投手陣を要するオリックスとハンデ付きで戦わなければなりません。とにかくなんとかして勢いを付けて維持することが大事ですね。

 そして、どちらが勝ち抜くにしても、その後のオリックスとの戦いで大奮闘してほしい。その頑張りぶりは、来年のパ・リーグの展開にも影響があると思うので。

 下位に沈んだ西武と日本ハムも含め、1チームに独走を許す状況を長引かせないようにチーム力を向上させてほしいもの。群雄割拠こそパ・リーグの魅力ですからね。

 

1stステージ展望

 と、いうことで、いよいよ明日からクライマックスシリーズが始まります。まずは、ZOZOマリンで2位ロッテが3位ソフトバンクと激突!。勝ち率「毛」の差ですからね。ほとんど同率と言っていい両チーム。

 間違いなく満員でしょう。去年を思い出すと、ソフトバンクファンもかなり駆けつけると思いますが、それでもロッテファンの声援はいつもに倍する大きさに違いない。さらに谷保ブーストが加わりますからね。ソフトバンクの選手たちが平常心を保つのは大変です。

 予告先発はロッテが佐々木朗希、ソフトバンクがスチュワートJr.です。今年になって1軍定着したスチュワートJr.にとって、完全アウェイの敵地で短期決戦の先鋒というのはすごい重圧。まずは彼が舞い上がらないことが、ソフトバンクにとっては大事ですね。CS争いの楽天戦では5回までまずまずの出来だったのを6回まで引っ張って痛恨被弾したので、今回はベンチの見切り力がカギになりそう。

 発熱離脱から復帰の佐々木朗希の方はどうでしょうか。離脱者が多く、特に投手の台所事情が厳しいと、今日の記者会見で吉井監督が語っていました。ぎり間に合った、というのは正直な所じゃないかな、と思います。満を持しての準備ができずとも、マリンのマウンドなら安定して良い投球を見せられるのが朗希、という期待があるでしょう。

 さらに、捕手を松川にすることも発表されています。去年の黄金バッテリー。久々のコンビでもすぐに阿吽の呼吸が甦るに違いない、と、吉井監督は踏んでいるのでしょう。前回、捕手のトシくん(佐藤)がフォークを逸らして朗希が投げにくそうになってたりもしたので、気を使わずに済む捕手という配慮もありそう。

 まずは、谷保ブーストで上がったチームの気炎を、若き黄金バッテリーを吹子にしてさらに煽ろうというムードメイク的起用なところもあるのかも。とはいえ、やはり病み上がりですし、バテやすい投手なので、こちらも交代のタイミングはポイントですね。

 ソフトバンクの方は、朗希に楽をさせてはいけませんね。去年オリックスが、序盤にバントを多用して最後にバスターで崩して点に結びつけたりしてました。とにかくランナーを出して揺さぶるなど、スイスイ投げさせない工夫が大事。ロッテはいつも通り、少ないチャンスを粘り強くものにしないといけません。

 今日の記者会見では、ロッテの吉井監督と中村キャプテンはあくまで雰囲気重視なスタンスに感じられました。少しぎこちない風に見せながらも、その謙虚さと飄々とした語り口がかえって普段通りに落ち着けている印象を与えましたね。

 ソフトバンクの藤本監督と今宮選手会長は、悔しい3位から間もないけど思いの外明るい表情。でも、言葉はソフトでしたけど今宮の目つきがしばしば鋭く光るのが印象的。実力者が開き直ったら怖いよね、とちょっとゾクっとしましたね。

 飛び抜けた成績の選手は少ないけれど、コツコツと集団劇で勝つロッテ。
 秀でた選手が能力で引っ張り、脇役選手が支える、花形主役劇で勝つソフトバンク。

 対照的な両チームがどう相手を攻略していくか目が離せません。

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