西武の吉川光夫の戦力外通告、日本ハムの谷口雄也の引退、のニュースが出ました。吉川は、左腕投手不足の西武に昨年トレードされた時は辻監督に随分と期待され、最初の登板は中々よかったのにすぐに打ち込まれ始め、その後は２軍でも結果が出ずにいました。谷口の方は、膝の靭帯を傷めて手術の後はやはり思うような働きができず、最近のツイッターも日常生活を綴って、どこか淡々とした雰囲気になっていました。
2人の若き日、日本ハムに入団してほどない頃に、スタはその姿を比較的間近に見る機会がありました。両選手とも、初々しくて本当に可愛らしかった。今も鮮明に思い出すことができます。
吉川は、入団した2007年、シーズンでもそこそこの活躍をしていました。しかし、世の中の印象に残ったのは日本シリーズだったと思います。第２戦でリリーフすると、第４戦はなんと先発（高卒新人の日シリ先発は４人目くらいとのこと）。失点して敗戦投手になったものの、３イニングは無失点と頑張りを見せました。この時、余計なことに気を回すこともなく、キャッチャーミットを一心に見つめて投げ込む姿が印象的でした。
その翌年の沖縄キャンプ。初めて見学に行ったスタが敷地内を歩いていた時のこと。投手陣の室内練習場の方から移動中のみつを（吉川）と遭遇。おとなしい男の子。ジャージの着こなしもまだ高校生みたい。周りに人も少なかったので話しかけ、持参のボールにサインをお願いしたら、とつとつとした口調で承諾し、サインしてくれました。
その後のみつをはと言えば、ダルビッシュと仲良く、涌井と共にダル軍団などもやってましたが成績は上がらず、ダルにもダメ出しを食らったりして今ひとつ。2012年には覚醒してリーグ優勝に貢献し、MVP。しかし、日本シリーズではボロボロ。読売へのトレード、西武へのトレードでも、復活ならずでした。左腕で剛球という需要の多い投手だったのに、崩れ出すと歯止めが利かないというところがあって、メンタルなんじゃないかなあ、もう少しできるんじゃないかなあ、、、といつも感じさせる投手でした。
それでも、やっぱり最初の日本シリーズでのあのまっすぐな眼差しは懐かしい。本人ももう少しやってみたいという気持ちもあるらしい。あと、数回でもいいから最後に納得できる投球をするチャンスがくればいいな、と思うのです。
谷口の方は、入団年のイベントの新人選手挨拶で初めて姿を見ました。その年は、斎藤佑樹という目玉選手がいたのでもちろん彼がセンターです。しかし、選手たちが並ぶと、ひときわルックスが目立つ谷口にも間違いなく注目が集まっていました。
こりゃあ、人気が出ちゃうだろうなあ。女子殺到だろなあ。
お偉いさんの個々の選手の紹介する時も、谷口へのコメントはふるっていて、「ご覧になってお分かりだと思いますが、何しろかわいい顔立ちなので、うっかり間違いが起きないよう、どうぞ皆さん練習の時から見張ってやってください」みたいな内容でした。
そして案の定、彼はすぐに「きゅん💗」と呼ばれ出し、ファン感の女装など、女子向け企画の度に話題になるアイドル選手に。けれども、入団時のお偉いさんの懸念と違ったことがありました。結局、あれだけちやほやされたにもかかわらず、谷口は軟派な方向に向かうことも、杉谷のようにキャラを前面に押し出すこともなく、ずっとコツコツ努力する地道なプロ野球選手であり続けたのです。
一軍の試合でいいバッティングを見たこともありましたが、定着するには少しだけ特徴と維持する力が足りなかった。今年のチームの不調はチャンスでしたが、大きなケガを克服して割って入るには至らなかった。同期のユウちゃん（斎藤）の引退も、何かけじめの気持ちに向かわせたのかもしれません。
あの年の日本ハムの入団選手で残っているのは、西川遥輝だけになりました。早いものです。皆に紹介された時に、自分の胸のうちに秘めていたであろう希望や期待通りの野球人生ではなかったかもしれないけれど、きゅんは野球に一途に向き合ってきたと思います。本当にお疲れ様、と労いたいと思います。
