フィールド オブ パリーグ           -パ主義野球ブログ-

なが〜く愛してきたパ・リーグをゆる〜く語るブログ、フィルパリです。

【熟練の技】ベテラン・マー君のゴム系投球フォームの深い味わい【投手ウォッチング】

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 2023.4.14、朗希vs由伸のスーパーエース対決で沸いたパ・リーグ。もちろん彼らの対戦は素晴らしかったけれど他の試合も見どころがたくさんありました。その中でスタが感心したのが、楽天vsソフトバンク戦での楽天・マー君(田中将大)の投球です。

 この試合まで8勝2敗の首位と好調なソフトバンクに対し、楽天は5連敗中。おまけに14日は金曜日で、去年から19連敗している魔の曜日。去年から課題の楽天投手陣の調子が上がらぬところへ持ってきて、強力ソフトバンク打線を迎え打たねばならぬとは。

 いやはや、どう見ても分が悪いのです。その悪い流れを断ち切るべく、全力投球を誓っていたのが予告先発のマー君でした。

www.nikkansports.com

 

 マー君は3月30日の開幕投手として5回2/3を投げ、1失点で日本ハム戦に勝利。4月6日の西武戦では7回1失点で惜しくも敗戦投手。どちらもいい投球でした。日本に戻ってきてから一番いい仕上がりができている中、連敗阻止の重責を託された形です。

 試合が始まると快刀乱麻!……とはなりません。投げた5回で3者凡退はなし。しかも、うち4回は得点圏に走者を背負っています。記録を追うと苦しい投球。でも実際のマー君は、汗だくになることもテンパることもなく、淡々と「0」を重ねていきました。

 こうして、ベテラン・マー君が強力ソフトバンク打線を翻弄すると、その後の中継ぎ陣も奮起して0行進を続け、楽天が見事に完封勝利。下馬評を翻す勝ち方でした。

www.rakuteneagles.jp

 

 1年も続いた金曜日の魔物に打ち勝ったマー君の投球は、ここぞできっちり三振をとるテクニックが光ります。ミートの達人コンちゃん(近藤健介)から3三振。動画を見ると、縦スラやらスプリットやらの落ちる系が決まりまくってました。落ち幅やスピードに、どんだけバリエーションあるねん、という感じ。落としてくるとわかっていても振ってしまう、絶妙の誘い具合です。

 

youtu.be

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 去年までと違うなあと感じるのは、体の力の抜け具合。縦スラの時とか、ぽーんとキャッチボールしたのかというくらい軽い感じで、投げた後、ずいぶん長い時間ボールの行方を見届けています。去年まではもっと力感が強くて、最後にヒュッと腕を振って反動があるような硬質な印象の動きだったんですよね。

 膝など足の動きも、去年は突っ張って勢いをつける感じだったのが今年はずっと曲げていて、弾けるような動きがないです。去年は鋼のバネの金属的でハードな弾み方、今年はシリコンゴムの樹脂的でソフトな弾み方、みたいな違いを感じる。

 

※去年の投球はスライダーでもすごく力感ある投げ方。

youtu.be

 

 なんでも、マー君は今年のキャンプでフォーム改造に取り組んでいたらしい。それも、本人的には「ガラッと変える」くらい大きいものだったらしい。プロのフォーム改造ですから、内容はきっと簡単に説明できるようなものではないでしょう。でも、その中に「より脱力して腕を振る」ということがありました。ど素人のスタが感じた変化は、もしかしたらそのあたりが影響しているのかもしれません。

www.daily.co.jp

www.nikkansports.com

 

 このフォーム改造について、スタが良い方向に向かってると気がついたのは、もうオープン戦に入った頃でした。実を言うと、自主トレやキャンプの頃のブルペン動画を見た頃は、スタは正直疑心暗鬼だったのです。

 早仕上げの選手が多い中、マー君はずーっとキャッチボールみたいな投球動画ばかり流れてきてたんですよね。ダイナミックな投球が全然見られない。全然迫力がない。「オフのトレーニング失敗?」「けがでもしてた?」などなど思ったりして、要するに心配でした。

 

youtu.be

 

 でも、その後かなり早くから開幕投手を言いつかり、オープン戦などでもちゃんと好投してきます。そして迎えた開幕戦では、高校時代に慣れ親しんだ北海道で堂々のピッチングを披露して勝利投手に。もう、なんだよマー君、心配して損しちゃったよ、と勝手に苦笑いです。

 

youtu.be

 

 日本に帰ってから2年、そこそこまとまってはいるけれど、決して満足できる数字ではなかった成績。特に去年はなかなか勝ち星がつかず、批判も受けていました。そういう現状を打破しようと取り組んだのが、フォームの改造だったわけです。

 昨日の勝利で早くも2勝目。もう名前だけで食べていける実績の持ち主が、見栄えのよいフォームを捨ててコツコツ努力を重ね、しっかりと実を取り始めました。周りの視線に神経質にならず目標は着実に達成してきたマー君らしい変容です。さすがですね。

 鋼のバネのカッコよさはなくなったけど、熟練の技を駆使するゴム系の投球フォームはまた別の味わいがあるなあ。

 強力ソフトバンク打線に捕まりそうで捕まらないマー君を見ながら、ベテランエースの投球術の深みを感じていたスタなのでした。