フィールド オブ パリーグ           -パ主義野球ブログ-

なが〜く愛してきたパ・リーグをゆる〜く語るブログ、フィルパリです。

【さちとらトークショー見聞録後編①】仲良しバッテリー即席漫才を披露する【新春再タッグお披露目会】

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さちとら登場!

<前編はこちら>

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 1月10日(水)大宮で開催された「さちとらトークショー」。告知〜入場までは大変だったけど、総合司会の田口恵美子さん(元TBSスポーツキャスターでオリックス田口コーチ夫人)とMCの山本圭壱さんという凄腕プロが雰囲気を整え、いよいよ (山﨑)福也と(伏見)寅威のふたりが舞台に呼ばれます。

 まずは寅威が登場。ファンの皆さんがた、散々待って、スタと同様の半信半疑な気持ちだったに違いない。だって、どよめきが半分ため息みたいでしたもの。おぉ〜(ほ、ほんもの…???)、みたいな。ほっぺたつねってみる?、みたいな。そういうニュアンスのどよめき。

 そして福也が呼ばれます。カーテンの陰からライトの下へ。その瞬間に、歓声のトーンが5倍くらい上がりましたね。わあああー!!!(息止まる)、って感じ。ほぼ悲鳴。

 いやもう、この日の2人、姿がほんとに良かったんですよ。すっきり軽やかな白基調で爽やかに登場した寅威。小顔長身が際立つエレガントなロングコートを黒でまとめた福也。完全に貴公子。そりゃファンは息も止まります。撮影タイムの写真、動揺してほぼ失敗したけど無事だった数枚載せますね。

 寅威はただ単調な真っ白ではなく、羽織ったシャツの明るいブルーグレーの影色や、ネックレスの銀色がアクセント。福也も、インナーとコートの生地やボタンの質感の違い、視線が降りた先の靴の色でアクセントをつけてます。お洒落ですね。大人っぽいのがよろしおます(着倒れ京都人風)。

 対照的な装いなのに、モノトーンに統一感があってすごくモダン。黒いカーテンの前で、2人はなんだか演劇の俳優さんのよう舞台映えしていました。

 

 

 ファンが気圧(けお)されるぐらいカッコよく登場した2人。「こんにちは〜」とこれまた軽やかな挨拶の寅威。で、貴公子然とした福也はというと……。

 「お疲れ様です!」(体育会系で元気よく)

 場内爆笑でございます。「職場かい」と呟くスタの隣席の男性。一瞬で和みました。あ、今日は演劇とかファッションショーとかじゃなかったね、さちとらだったね、と、みんな我に返りました。なお、見事な掴みを放った本人は、なぜみんな笑ってるのか全然わかってなかった模様。

 そんな感じで始まったトークショーをこれからレポしていきます。ただ、限定イベントの内容を丸々書き起こしというわけには行きませんので、内容は順不同で一部のご紹介としております。楽しい雰囲気を感じていただければ幸いです。

  今回、主催選手は福也の形。オリ選手複数でのトークイベントの出演はあるものの、会場をとってやるのは初とのこと。ニュースでは、福也のハム移籍が決まった時に2人で話しているうちに、なんとなく「やろうか」という話になったようです。大きな転機の勢いに乗って、企画が進んだのかもしれませんね。

 開始前にはマスコミがインタビューをしたとのことで、トークショーの内容も、これを受けたところもあった感じですので記事を貼っておきます。道新記事は途中より有料ですが、全部を書き起こしてくれています。報知の記事は、道新の有料部分の一部と同じ内容が簡易に紹介されています。

www.doshinsports.com

hochi.news

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FA話に滲むそれぞれの心情

 福也の挨拶で巻き起こった爆笑が落ち着くと、さっそく司会の恵美子さんがぶっ込んできます。

 「お2人に伝言を預かっておりまして」

 夫であるオリックスの田口コーチから、と開くメモ。普通ね、寂しいよとか、頑張れよとか、なんかしみじみした言葉を想像しますわね。ところがぎっちょん(死語オブ死語)。そういうキャラの方じゃございません。

 田口コーチ、ブログ日記のまとめを始め、ユーモアあふれる野球話の本を何冊も出している人ですよ。ありふれたホロリコメントなんて金輪際言いませんよ。恵美子さんの落ち着き払ったアルトの声で読み上げられたメモは以下。

 「なんでわざわざ北海道でバッテリー組むねん!!大阪でええやんけ!!」

 ごもっとも。

 オリックスサイドの前上司からの、ど真ん中直球的感想が飛んだところで、待ってましたとばかりにFA移籍に話を振るのはMCの山本さんです。こんな絶妙な取っ掛かりを提供されたら、そりゃ福也も寅威も話しますね。トークショーの最初っからモゴモゴしたら盛り下がっちゃいますもんね。

 とはいえ、衝撃の新事実みたいなものはもちろんなく、ハムを選んだ理由など、ほぼマスコミ既出の内容です。ニュースなどで出なかった部分というなら、オリックスへの本音的な所を聞かれて2人が言った心情でしょうか。

 寅威が「(オリに)残れるものなら残りたかった」と静かに言い、福也が「(オリより)やっぱり他の方が条件が良かった」と正直に答えました。

 2人とも前チームの環境や仲間は大好きだったので、未練は当然あったのですね。でも、翌年以降の起用のされ方の予測も踏まえ、より期待の高さを示してくれる組織を選択することになったわけです。職業ですからね。言い回しの少しの違いは、FA権取得までの過程にあるのかな、と感じました。

 最近は複数制が浸透してますが、それでも、捕手というポジションは確保するのが大変です。寅威は、守備位置あっちこっち時代や再起も危ぶまれる大ケガを乗り越えてやっと掴んだ捕手のポジション。そこを手放すのは本当に辛かったに違いない。

 無我夢中でやっていて、気づいたらFAのレールに乗って分岐ポイントの上に立っていた。這い上がった場所で落ち着いてやりたかったけれど、そういうわけには行かなかった。移籍すればまた一からの積み上げです。リセットするのは勇気が要ったことでしょう。その複雑な思いが「残れるものなら」という言葉と静かな口調に込められていたように感じます。

 投手のほうは、そもそも引く手数多で個人の個性や特徴を活かせる範囲が広い。自分の実力さえ上げていけば、チームの重要ピースになれる可能性は捕手よりぐんと高いです。上り調子の中でFAできた福也は、雑念少なく向上心で動けた感じかな。

 子供時代の病気のエピソードからもわかるように、決めたことにはせかせか一直線タイプ。ビジネスライクにも聞こえる言葉は、自分にとって一番いい選択をした、と決定に自信を持つからこそでしょう。基本、さっぱり竹を割ったような性格かも。

 まあ、こうして当人たちの言葉を聞いていますとね、最初の田口コーチの「なんでやねん」の伝言が思い返されてきます。字面だけだと、現チャンピオンで強くて居心地も悪くないチームをわざわざ出ていって移籍なんて苦労する必要ないだろ?という、上から目線な言葉に聞こえなくもない。

 でも、逆ですね。田口コーチは、自身がアメリカのメジャーに飛び込んで苦労した経験がある。そして、さちとらをすぐそばで見てきている。新しい場所に向かう2人の事情や心情を深く理解しているに違いないのです。伝言の言葉からは、わかってるよ、行けよ、しっかりやれよ、という秘めたエールが伝わってきましたね。

 また、この話題の最中に恵美子さんや山本さんが、「なんで日本ハム……言ってはなんですが、最下位の……」みたいなことも何度か聞いてましてね。これも字面だけ見たら、失礼じゃん、てなることだけど、これに2人が答えることで、ハムのいい所が浮き彫りになるんですよね。

 トークの主たちみんなが優しいなあ、って思いました。オリファンに対しては、チーム愛があったとわかった上で、「ああ、いい受け入れられ方で前向きな希望を持って選んだ道だね」と惜しむ気持ちも柔らげる。ハムファンには、前のチームにも愛され惜しまれている様子がわかるし、それでも選んでもらえたという嬉しみが増す。

 そんなこんなで初っ端は、ワイワイガヤガヤ雰囲気明るい移籍話で盛り上がったのでありました。

 

即席漫才するバッテリー

 ニュース既出の内容が多かったFA話。その中で、こりゃあここでしか見れんかったな、という貴重なわちゃわちゃがありました。寅威が先にFAになった時、福也も色々訊いたんだけど話かわされて、みたいな話になったら、山本さんがそのやり取りを再現してっておねだりしたんですよ。

 そうしたら、真面目な顔をして向き合った2人。セリフは正確に覚えてませんが、ほぼこんな調子で、寸劇やり取りし始めました。

福「ボクがまず、『どうなってんすか?FA』って感じで訊いて……」

寅「でボクが『ん?なにが?』みたいな感じで」

福「たらボクが『どこか決めたんすか?』って」

寅「でもボクは『いや〜まだ全然だな〜』とか」

福「でボクが……」

寅「で」

福「で」

 

 とまあ、このやり取りの往復を繰り返して見せる。めっちゃいいテンポ。ほぼ漫才。一年も前の会話なのに、どちらも全然考え込むことなく言葉がぽんぽん飛び出して。両者記憶力良すぎませんか?。

 意外にもノリノリだったのが福也。前のめりで訊き出そうとする感じを完全再現してて面白いのなんの。再現なのに寅威の顔を見据えちゃうし、なんたって語尾の「すか?」のぐいぐい感が素晴らしい。

 寅威のFA宣言の頃、福也がインスタライブした時に「寅威さんを引き留めて」みたいな質問があり、「今必死でやってます」って答えてたんですよ。訊き出しを再現する様を見て、ああこれかあと、つい思い出し笑い。

 一方、寅威ののらりくらり感もなかなかです。名人餅つきのつき手と合いの手のような妙味。入れ込み気味で質問被せてくる福也を面白がりつつ、とぼけ通そうとする口調が味わい深い。この話題の入り口で、「福也がキラキラした目で訊いてくるんで」って言ってたので、きっとかわいいやらおかしいやら、とぼけるの大変だったんだろな。 

 後の質問で、福也が「寅威さんはなんでも受け止めてくれる」と言ってたんですが、そこも窺い知ることができた感じ。彼はロッカーでもじっとしてられない人(本人談)。この思い立ったら爆進しちゃうせっかちさんを、冷静に制御しつつもそのペースについて行って合わせられ、安心感を与えられるのが寅威なのかな。

 なんだか、このバッテリーが相性が良い理由も、この再現漫才で垣間見えたような気がしました。

 

頼る福也わかる寅威  

 オリックス時代数年間ずっとバッテリーを組んで、さちとらと呼ばれるほど名コンビになった2人。MC山本さんが福也に、他の捕手とどう違うのか、その特別感について聞いてくれました。

 登板の時の捕手が寅威だと聞いた時はどんな感じなんですか?、と聞かれた福也の答えは、「知ってる〜♪ 、って思ってました(ニコニコ)」。超軽い。

 もうそれが当たり前で慣れていて、たまに捕手が変わった時は、ダメというわけではなく抑えてもいるのだけど、やっぱり戸惑いが出たりするらしいんですね。決めの場面で思っている球と違うサインが出たりすると「え?それ?」と思うし、それでリズムが崩れたりすることもある。寅威だとそれがない、と。

 そして、寅威がオリックス時代にコロナでいなくなっちゃった時は大変だった、と思い出話。

 福也「『どうしよう?』と思って」

   「『いつ戻って来るんすか?』『まだですか?』って聞くんですけど」

 寅威「『まだダメ』って」

 

 いやそりゃダメですし、コロナですし、サチヤくん。

 思い出しましたよ、一昨年の春先のこと。練習の最初にいた寅威が途中からいなくなったってSNSがざわついたと思ったらコロナ。でも1週間くらいで戻って来たんですよね。げっそり痩せて。まだケホケホむせ込みが出る状態で。ああ結構無理してるなあ、と思ったものです。

 そうだったのか、裏でかわいい後輩にこんなにオロオロされてたのか。なるほど、そりゃ無理するわ。納得。復帰した時真っ先に福也の所に向かったのも、これがあったからなのね。カメラ女子さんがしっかりその時のことを記録してくれてたっけ。この後、やっぱり寅威の体調が中々戻らなくてコンビ解消の試合もあったりして、結構さちとら試練の頃だったなあ。

 


 でも、こんなにオロオロしていたけれど、寅威のコロナ離脱間の福也は、頓宮を相棒にいい投球できていたのです。そのことについて、寅威は思いを語りました。ちょっとあやふやですが、こんな感じだったと思います。

 福也は僕じゃなくても誰が捕手でも勝てる力は持っていて、あとは気持ちの問題。自信さえ持てば勝てる。頓宮と組んで良かったんだから、それが実力だよって。

 さちとらをウォッチしていれば、福也が寅威パイセンを心底頼っているのは一目瞭然。でもいなくなって不安になっちゃうのは自信の不足。それが、誰もが認める才能の足を引っ張るひとつの原因にもなってしまう。大雑把に見えて、ピッチングに関してとてもデリケートなんでしょうね。

 で、寅威パイセンはそこをわかっていて、君は捕手が誰だろうと少しぐらいの環境の変化で揺らがない実力を持っているんだよ、って伝えたいのだろうと思いました。

 去年の福也は、寅威が言う実力の一端を表現することができました。1年間、寅威以外の捕手に投げることに慣れ、好成績を収めたことはすごく自信になったはず。頼れるパイセンとの再タッグは嬉しいけれど、もう頼り切ることも減るでしょう。相棒のことが誰よりわかる寅威も、そこを楽しみにしてるはず。

 名人餅つきのような即席漫才と同じようなコンビネーションが、きっと投球でも見られるだろな。そんな期待がどんどん膨らむトークショーです。

 

<まだまだ続く>

 

<続きはこちら>

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<参考:田口コーチと司会の恵美子さんの本>

何苦楚日記

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