フィールド オブ パリーグ           -パ主義野球ブログ-

なが〜く愛してきたパ・リーグをゆる〜く語るブログ、フィルパリです。

【2023オリックスvs阪神日本シリーズ】完全燃焼で燃え尽きてなお、芽吹くものあり【第6~7戦オリ目線振返り】

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 オリックスバファローズと阪神タイガースの関西ダービー日本シリーズは、阪神王手で京セラドームに戻り、最終戦までもつれ込んだ結果、阪神が優勝となりました。

 阪神タイガース、38年ぶりの日本一おめでとうございます!。
 失敗しても「いつもやん」という監督の言葉が気楽さと責任感を両方培(つちか)う感じ。そうして、選手みんなが上手にガス抜きできて力が出せる、完成度の高いチームだなと思いました。

 我がパ・リーグ代表オリックスは、そういうチームを相手に勝利一歩手前まで行きながらも、ほんのちょっぴりずつ歯車の噛み合わせが悪くて前に進む力が働かず、いつの間にか流れを逃してしまった感じです。ケガなどで体調万全でない主軸選手が今年はまたことのほか多く、仲間をカバーしようという気持ちが段々積もって積もり過ぎて、歯車を狂わせたかな、とも思います。

 そりゃもうめちゃくちゃ残念で、悔しさが尾を引かぬわけもない。でもそれでも、負けてなお強し、燃え尽きた後になお芽吹く力あり、と感じさせてくれた戦いぶりでした。ほんとにベンチは手を尽くしたし、選手たちはよく頑張った。気を取り直して改めて、11月4日と5日に行われた最後の2戦をオリ目線で振り返りましょう。

 (※速報等資料は最後に掲載)

 

 

🔸第6戦 B5:0T

 先発は、Bは来年ポスティング渡米が確実な山本由伸、Tは村上頌樹。オリックスは王手を掛けられ、この試合をまず勝たないことには立場逆転の望みを絶たれます。山本由伸、通常ならば究極の絶対エースなはずなのに、CS、日シリ初戦とボロボロな姿を見せられて、オリ応援の身には不安の波が押し寄せる。居てもたってもいられない。

 で、スタは立ち上がってあてどもなく外へ出ました。とにかく家でのんびりしてる場合じゃない。とりあえず「吾輩も臨戦体制である」という自己満足のために電車に乗って、ひとり繁華街のスポーツバーへ。1軒目には空きがなく、もう1軒目で周りを虎ユニのファンに囲まれながらも運よく座れ、ビールとつまみのフライを頼んで観戦開始。

 いやもう、京セラビジター席に紛れ込んだも同じでございます。テーブルの上に小さめに畳んだオリ選手タオルを3枚ほど積み、ささやかにオリ応援の旨を主張するも、んなものは焼け石に水。1点先取された時なんて、店内テレビの音が聴こえない。スタを含め2、3人いたオリファンなんぞ、もはや透明人間、ほぼ亡霊。

 由伸、立ち上がりからやっぱり不安定だったんです。途中何度も、序盤粘るも打たれ始めたら止まらなかった初戦の二の舞か?、という気配もありました。それでも、この日はツイていたのです。相手の強い打球が、オリ守備陣のファインプレーできる範囲に飛ぶ。特に3回のピンチで、近本のライトフェン直気味の打球がジャンプ一番の森のグローブに収まったのは大きかった。あと20cm上だったらヒットでしたから。

 そして、このツキを呼んだのは、由伸の球の力でもあります。同じように不安定でも、この日の由伸の球は初戦より少し押し込めていた。たぶん彼は少しだけ、フォームに工夫をしていたのです。今年1年続けたすり足投法の左足を、この日は少し浮かせてぶらぶら振って、わずかながら勢いをつけていたと思います。

 今年のすり足は、和事の足の運びのようにスッと左足を前に出し、あとの上半身は例のやり投げスタイルです。OBになった能見さんが、あのやり投げスタイルは、由伸の強靭で柔らかい体があるからできること、と言っていました。足を高く上げず振りもしない、つまり足で勢いをつけない今年の投げ方は、尚更高度な、由伸ならではのテクニック。

 初戦が終わった時に、スタが由伸ファンのオリ姫さんに言ったのは、WBCから投げ続けて来た疲れで、さすがの由伸もフォームをこなせなくなってるのだろう、という懸念でした。しかし、そこから1週間。少しでも球の威力を増せるよう、この土壇場でフォームをいじるリスクを選択したのかな、と思いました。

 やがて、この足振りフォームに段々リズム感が出てきます。まるで3回まではウォーミングアップだったかのように、球はどんどん威力を増して、阪神打線を寄せ付けません。100球を超え、120球を超え……。オリファンの誰もが一昨年の日シリの140球超えを思い出していたでしょう。

 そして、その期待通り、彼は相棒の捕手ケンケン(若月)や若い紅林ら打線が頑張って逆転した試合を守るため、9回も「Frontier」の口笛を背にマウンドに上がります。走者が1人出て、諦めることなく応援していた店内虎ファンの声もボリュームアップ。でも、だんだん「あぁ〜」「うわ〜」「エグい…」という溜め息に変わっていきました。

 138球完投勝ち。日シリで勝てなかったエースは、日本で投げる最後の最後に最高の投球で勝利。勝ったのが初戦だったら印象が薄れていたでしょうし、野球の神様がファンの目に焼き付ける演出をしたのかもしれません。

 ひとまず徳俵から土俵中央に押し戻したオリックス。店内で、由伸、ケンケンのベストバッテリー+おとぼけベニー(紅林)のカラッと明るいヒーローインタビューまで見届けて、帰路に付いたスタなのでした。

 

🔸第7戦     B1:6T

 最終決戦の第7戦、先発がB宮城大弥、T青柳晃洋。この日は迷わず自宅観戦。オリックスの次代のエースとして、山本由伸からチームの命運のバトンを引き継いだ宮城の投球を、静かに見守りたかったのです。

 まだ22歳になったばかりの彼の肩には、いろいろな重荷がのしかかりました。去年も同じ最終戦で先発し、見事な好投で勝利投手になっています。でも、重荷の質が全然違う。去年は一番年下で、あれこれ考えず、自分のできることに集中すれば良い立場でした。

 今年1年間、宮城は末弟の立場を山下に譲り、相棒の捕手も森になり、投球内容や振る舞いに自立心を見せて来ました。そして最終登板のこの日シリ第7戦は、まるで大人の階段を昇る彼を野球の神様がテストしてるような流れで巡って来ました。

 チームを救った第2戦の素晴らしい投球がフロックじゃないと示してごらん。次期エースとして現大エースの渾身ラストピッチを無にしない投球をしてごらん。敗戦試合で少しのミスに唇を噛み、涙を流した仲間の無念を全部晴らしてみてごらん。今年の成果、チームを背負える次のエースとしての投球を見せてみようか。

 そんな重荷を受け止めて、立ち上がりはしっかりと投げていた宮城です。けれどプレッシャーはじわじわ強まっていきました。

 相手先発は国際舞台にも立って経験豊富な青柳投手。スタは好きなんですよね、彼。飄々としたユーモアがあって、ピッチングも個性的。強敵です。何よりパ・リーグは彼に弱い。リーグ戦で不調と言われていても、交流戦ではパのチームが打ってるとこほぼほぼ見ない。このシリーズで初登板だった彼は、案の定オリが初回のチャンスを逃すと立ち直り、その後はスイスイとオリ打線を手玉に取っていきます。

 味方の様子に宮城の緊張も高まったはず。落とし穴は、上位打線に2巡目が回ってくる4回に口を開けていました。3番の阪神のルーキー一番星森下くんにヒットを打たれると、次の大山に死球。オリでの宮城くんをずっと見ていた者にとって、この死球はイヤな予感しか湧かないパターン。死球を出すと、その後神経質になってしまって崩れることが多々あったのですね。

 それでも今年はすっかりメンタル面でもたくましくなった姿を見ていたので、きっと乗りきってくれる、と固唾を飲みます。でも、やっぱり死球を出す時の彼は、指先の感覚に僅かな狂いが生じているのでしょう。次打者のノイジーにぽんぽんと2ストライクを取り、1ボール後、アウトコース要求のチェンジアップが中に入ってしまいました。

 打者はなんとか掬い上げたという感じだったけど、ボールは無情にもスタンド・イン。非常に厳しい3点を先行されてしまいます。外国人選手の腕の長さだと届くし、しかも遠心力が一番効いてしまうスポットに当たり、京セラで一番入りやすい場所に飛びましたものね。これも紙一重な運ではあります。

 が、大事な所で手元が狂ったという点は、きっと宮城くんが後悔してもしきれなかった所だったのでしょう。ショックを引きずっての5回にまたもピンチを迎え、交代した比嘉も打たれて致命的な6失点を奪われると、9回にもとどめの1失点。

 中盤での大量失点は打線にもショックでした。相手投手には余裕を持った投球をされ、反撃の糸口が掴めないまま0行進。それでも、9回2アウト後に足を傷めていた頓宮が放った5回席への大ホームランは、一矢を報いてオリファンの胸の痛みを柔らげてくれたと思います。

 その後も、メジャー魂をずっと見せつけていたマーゴ(ゴンザレス)がヒットで続きましたが、オペが必要なほどの負傷を押してプレーしていたラオウの飛球はゆっくりとレフトのグローブの中へ。

 かくして、大盛り上がりの関西ダービー日本シリーズは、阪神の優勝でその幕を降ろしたのでありました。

 

🔸オリのストレスポイント

 短期決戦でチームが負けるのは、誰かひとりのせいじゃありません。何かマイナスなことが起きても、仲間が他でプラスを積み上げればカバーできるわけですから。そして、力が拮抗している対戦ならば、局面で相手が少し上回っただけのこと。

 それを踏まえた上でもやっぱり、ヒビが入ったストレスポイント(負荷点)はあったなあと思うので、今後、改良したい部分として考えてみました。

 

<負傷者>
 シーズン中と同様、カバーし合ってくれるのでは、とスタは思っておりました。でも、あまりにもシリーズ開始直前だったこともあり、やっぱり短期決戦では厳しかった。特に頓宮、ラオウ(杉本)という主軸打者が手負いで痛々しい状態だったことで、他の選手に気負いが生まれました。
 すごく難しい問題でしたね。監督は、自分たち(首脳陣)の責任、と言っていましたけど、日頃から管理はちゃんとされていたと思うので。スタの感覚でひとつだけ対策を挙げられるとしたら、「”絶好調” はケガの前触れ」という点でしょうか。動け過ぎてる状態が続くと、体はどこかパンクすることが多いです。筋肉が真っ先にやられるし、腱も危ない。調子に乗ったら骨折なども発生します。

 CSのラオウはそういうケガだったかも、と思ったりもしました。とにかく打ちまくったから走る量も多かった。体の反応がいいから守備も頑張ってた。そういう時に、早めにブレーキを掛けて休ませる、という手もあるかもしれません。でも、また急に動いた時にケガが出るんですよね……。う〜ん、やっぱり、こればかりは運なのかもなあ。


<打線>

 ケガ人続出ではありましたけど、ベニー(紅林)、頓宮、ラオウ(杉本)、は出た時はそこそこ打ってますね。どちらかというと、繋ぎ役の選手の打撃力が不足でした。安定して主軸に繋いだり、少ないチャンスで相手に嫌がられる選手を育てていく必要がありますね。あと、打撃でも進塁打等に淡白質な隠れミスが出たので、そこも無くさないといけません。

 

<守備>

 思わぬエラーが続出したのは反省点。まあ、お互い様だったのですが……。でもまあ、負けたということは、相手より深手になってたということです。打って取り返すということがシーズンではできたけど、短期決戦では難しい。オリの日シリが3回とも同じような展開で面白いのは接戦になるからですが、ちょいちょいミスで流れを渡す場面があります。スリリングからの脱却を図りたいですね。

 

<先発投手>
 よく頑張ったのですが、由伸(山本)と宮城で2敗は痛かった。特に由伸の初戦は、相手に行ける感じを持たせましたので、宮城で試合は取り返したけど、心理的な面ではチャラにならなかったように思います。それでも、東や田嶋の投球を見たら、やっぱりオリの先発投手力は秀でていると感じさせてくれました。

 

<中継ぎ陣>
 今年は去年ほど中継ぎの数字が良くないと指摘されていたオリ。やりくりは頑張ったけど、細かい所を引き受けてくれる投手の枚数が足りなくなりました。

 スタ的にはまず、泰ちゃん(山岡)のバテが一番チームとして計算が狂った所、という感じ。先発の調子が良すぎると後を受ける投手が大変ですし、調子が悪くて早く降りた時のロングリリーフも大変です。シーズン後半は泰ちゃんがそこを任せられる投手だったのに、ポストシーズンで勘定に入れられなくなりました。厳しかったと思います。

 あと、同点の展開でサヨナラを食らったワゲスパックと、タジ(田嶋)の好投後に逆転された颯ちゃん(山﨑颯)の不調も痛かったなー。ワゲはシリーズ最初の登板は良かっただけに、もう少し気楽な場面なら……という巡り合わせの不運もあったかもしれません。颯ちゃんも、エラーでいきなり得点圏に走者を背負った不運があります。

 でも、乗り切れた力は持ってる投手だと思うから残念。特に颯ちゃんは、去年の日シリ最終戦でも、大量リードの場面で登板して打たれて1点差に詰め寄られてる。だから、今回球が真ん中に集まったのも、メンタル関係あるんじゃない?って思っちゃう。3度目の正直の場面が来た時には、余裕で抑えてほしいです。

 がんば!。

 

<捕手>
 これは友哉(森)です。今年は新チームに入って、全く初めての投手たちと組んで、本当に大変だったと思います。それを、打撃では神がかりなほど大活躍し、宮城にはこれまでと違う傾向のリードで新境地を開かせ、オリをリーグ優勝へと導きました。素晴らしかったと思います。

 ただ、初めての日本シリーズでは、力み過ぎて本来の打撃を見せることができませんでした。段々ベンチで陰気を漂わせてしまったし、とうとう最終戦ではバットを叩きつけて短気を爆発させてしまったわけですが、そんな場面でガス抜きせずに、最後まで我慢強くいてほしかった。辛いだろうけど、彼は主軸。この陰気と短気の修養は課題かと思います。

 捕手としては、精一杯投手を引っ張ったとは思うものの、オリの投手を見てきた者からすると、もう少し手があったのじゃないか、という場面がありました。

 例えば、カーブの扱いです。第4戦のサチヤ(山﨑福)、第7戦の宮城と比嘉。サチヤと宮城は今年はストレートが強さを増して、特に宮城は友哉と組んで新境地を開いた感じでした。ただ3人とも、やっぱり彼らのスパイス球種はカーブだな、と思ったりもする投手なのです。でも、このシリーズでの友哉は、このスパイス球をほとんど使わなかった印象です。

 実を言えば、スタは第2戦で宮城が好投した時に、「友哉、カーブ恐怖症になったかな?」と、ふと感じました。この試合、早い回に中野と大山にカーブをヒットにされたのです。3人の投球を一球速報で確認してみましたが、その後ほとんどカーブを要求しなくなりました。第4戦のサチヤに至っては、5回途中3失点するまでの間、1球しか投げさせていません。

 条件がもちろん違うのですけれど、去年の日シリを見るとやっぱり3人ともカーブがいい具合に散りばめられていました。ちょっと失敗があったからといって消してしまうには勿体無い球だったような気がします。

 また、失敗した球を消す、ということに追加しますと、去年の日シリでサチヤが好投した時、チェンジアップが続け様にボールになって連続四球になったのに、次打者にもチェンジアップで勝負して打ち取った場面(4回裏)がありました。こういう、大事な球を諦めず大事に使うという勉強も、友哉にはこれからはして行ってほしいなって思いました。

 続ける止める、についてはやっている人の感覚だから、素人が傍目からあれこれ言えることじゃないんです。そうなんです。でも、やっぱりうじうじしちゃうんです。ごめんなさい。逆に第7戦の宮城被弾までの経過では、フォークの後の同じコースのチェンジアップは、森下くんにじーっと見切られた所でやめといて欲しかった、とかね。

 はぁ、未練がましい。わかってるんです、こういう戦いで捕手を要因に挙げるのは酷って。スタも捕手大好きファンなので、誰かが捕手を槍玉に上げたら「そんなことはない」「それだけのせいじゃない」って言います。

 でも、友哉には「強打者」だけじゃなくて「名捕手」にもなってほしいんですよね。開幕前に解説者の達川氏が、「 (森は)打たれ始めるといい加減になる」「5点取られたら6点でも同じとなる」みたいなことを言ってたことがある。そういうの見返してほしい。

 リーグ内の戦いとはまた意味合いが違う日本シリーズという舞台に立てて、何かを得たはずですから、もっともっと守備でも成長し、ギリギリの場面を凌いで見せる捕手になって行ってほしいです。

 がんば!。

 

<参考>

第2戦がカーブ消えた原因?
(掲載が期間限定のためスポナビから引用)

 

 

去年の日シリのサチヤ

hochi.news

今年の日シリのサチヤ

hochi.news

去年の日シリの宮城

hochi.news

hochi.news

いろんな方向で腹立つけど証拠で載せる資料

www.news-postseven.com

 

🔸阪神にあった見えない支え

 38年ぶりの日本一に輝いた阪神。スタは事前考察の記事で随分楽に勝てると踏んでしまっていました。ごめんなさい。何より「しぶといな」と思った所は、ミス慣れしてるというか、ミスに凹まない図太さです。これはプロとして凄い強み。そして、技術的には、落ちる球の捌きが打者全員上手。

 こういった、チーム自体の強さもそうですが、スタがもうひとつ見忘れていたのが、横田さんの魂でした。若くして病で野球を離れざるを得なかった彼は、今年の夏に亡くなりました。チームメイトみんなから愛されていた選手。

 彼のユニフォームが阪神ベンチにずっとあったこと。それがどんなにか、ギリギリの戦いの中にいる仲間を勇気づけたことか。横田さんは、ずーっと仲間の後ろで応援していたと思います。選手たちは、振り返るたびに彼と目が合っていたんですね、きっと。

 そういう思いが、選手たちの勇気を沸き立たせたし、力を出させたし、運を引き寄せたのでしょう。勝利の女神様は、満身創痍で戦うオリとどちらを勝たせるかめっちゃ迷ってたに違いないけれど、最後は命への思いに軍配を上げたのかな、と思います。

 

🔸オリックスに芽吹く新芽 

 さて、こうしてあと一歩で日本一連覇を逃したオリックス。関西での阪神偏重人気を少しでも盛り返すチャンスだっただけに、悔しさ無念さもひとしおです。ケガ人だらけの中で最終戦まで戦い抜いた完全燃焼。何も残らないくらい燃え尽きたように見えます。でも、その焼け跡にはちゃーんと芽吹くものがありますね。

 まず、一番は先発投手の新芽ですね。この芽吹き力は確かだと、日シリでも判明しました。育成から今年飛躍した東のピッチング素晴らしかった。ケガや発熱などのアクシデントでなかなか登板できなかった田嶋も一世一代レベルの好投で、オリの投手メンテナンス力の確かさを証明しました。

 こうなれば、只今メンテナンス中の山下や椋木辺りの来年も心配が要りません。絶対エースの山本由伸が抜けても、ある程度のカバーができるという見込みが立ちます。もしかしたら、もう1人や2人は凄いのが出てくるんじゃないか、という期待もできます。

 あとは、優秀選手賞を受賞したベニーの活躍も力強い。若干21歳で、守備も打撃も目を見張る向上っぷり。指をケガしていたのに、それが逆に素直なバッティングに結びつくというたくましさ。強いチームの条件のひとつ、強力で安泰なショートとしてのインパクトが素晴らしかった。

 また、最終戦で打たれて、試合後涙していた宮城の姿も芽吹きだと思います。ずーっと先輩たちの突き上げ役だった彼は、いつも「背負い過ぎ」と言われてきました。でも、今までの荷物とは段違いの重さを今回背負うことになりました。由伸が抜けた時にかかってくる重さを体験したと言ってもいいでしょう。

 ここで『風と共に去りぬ』の主人公スカーレット・オハラの言葉が頭をよぎる。

「重荷はそれを背負える肩にだけかかる」

 子供の頃から家族を支え、小さな肩で重荷を背負ってきた宮城。プロ野球に入っても重荷はやっぱり減らないけれど、その肩はすっかり分厚く頑丈になりました。今回の経験もいい予習ができたと思えたらいい。こういう重さをどうやっていなしていくか、彼は彼らしくしっかり考え、対策を身につけていくでしょう。

 他にも色々あったと思いますけれど、最後にファンの姿にも素晴らしい芽吹きがありました。圧倒的な阪神人気の中の関西ダービー。それでも、こんなにオリックスファンが増えているということが伝わったと思います。甲子園での勝利で、関西の新聞の一面がオリックス主語の記事になったという、画期的な現象も起きました。まだまだ阪神に追いつくまでには至らずとも、オリの魅力や存在感は段々伝わってきていると思います。うん、そうだな。それが一番の芽吹きかもしれないな。

 

🔸まとめ

 ということで、オリックスvs阪神日本シリーズ振返りいかがだったでしょう。連覇を狙ったオリックスが散り、スタの予想も枯れ落ち葉。来年は、またパ・リーグ覇者が日本一を奪還する姿が見たい。今年はオリにダントツ独走を許したパ・リーグですが、他の5チームも来年はもっと頑張って食らいつかねばいけません。

 世代交代期に苦しんでいるチームも多いけれど、言い訳にはなりませんよ。強いオリに追いつき追い越すつもりで切磋琢磨し、自分たちが日シリに出たら阪神に勝てるのか、という所まで考え抜いて、精進してほしいと思います。

 もちろん、オリもおめおめと受け身には立てませんね。今年同様、ぶっちぎって見せるという気構えで来年に備えるでしょう。とにもかくにも、燃え尽きたのはパ・リーグ6チーム全部です。芽吹くものがあるのも全チームです。

 みんな自分たちより上のチームができました。その上を行くための鍛錬を、今からみんなが積み重ねていってくれると思います。

 がんばれ、パ・リーグ!

 

<前回記事:試合前考察,試合振返り> 

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